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19、男達の悩み その1
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あの後、凪を早々に部屋に帰した男性陣。…もとい、サルージャ達。
暗い表情のまま、一番物が少なく片付いているロルフの部屋に集まっていた。
「しかし、意外だな」
「何がなん?」
「いや、俺ぁてっきりロルフの部屋は薬草や何やらでとんでもないことになってると思っていたからよ」
「それは私も同感ですね」
部屋に入るなり何気にひどいことを言うヴィルムと、それに同意するイージス。
「……失礼」
ロルフは不機嫌そうに呟いた後、棚の中にあった小瓶を手に取る。その顔は酷薄に微笑んでいるように見えた。
「なんか、えげつない事考えてへん?」
「…さぁ?」
いち早く危険を察知したマルクはヴィルムとイージスから距離をとった。
そんなマルクの様子を二人は不思議そうに見るだけで、ロルフの異変に気づいていない。
「……ばいばーい」
楽しそうに、しかし、残酷なほど冷たい声で、瓶の中身をヴィルムとイージスにけたロルフ。
次の瞬間、意識を失い倒れた二人。しかも、それだけでなく二人の体には異変が起きた。
「あーぁ、またえげつないもん作ったなぁ?」
苦笑いをするマルクの視線の先にいるのは二人の子ども。
「若返りの薬か?」
サルージャは動揺することなくロルフに尋ねる。
「……数日で解ける。……試作段階」
フッと、ロルフは鼻で笑う。つまり、ヴィルムとイージスをムカついたついでに実験に使ったということだろう。
「でも、困らんか?」
「ふむ、いや、今のところはあの二人に重要な仕事はなかったと思うぞ?」
「……反省、ざまぁ」
「ははは…やっぱり可愛い見た目に反してロルフはエグいなぁ」
もはや苦笑いを通り越して、乾いた笑いしか出ないマルク。
「しかし、二人が意識を失っては困るのではないか?」
「…確かに、失敗した」
「次からは用件を済ませてからやるんだな」
「……ん、気をつける」
「それにしても、ちっちゃい時めっちゃ可愛ええなぁ。ヴィルムなんかイージスよりちっちゃいで?」
もはや、ツッコミ不在の状態。
「…で、何で集めた?」
ロルフがサルージャに集めた理由を唐突に尋ねた。
少し気分がスッキリしたのか、いつもの声色に戻っている。
「あぁ、ナギの様子を見て思ったのだが、俺達はどこまで彼女のことを縛ればいいのだろうか。確かに、魔術の行使力が強くナギ自身が傷つく危険があるため一人での使用は禁止した。さっきは、子どもらしい楽しみまで奪おうとした。それに、身を守るためだからと貴族のマナーを学ばせようとしている。ナギのためだと言いながらも、事実、彼女の行動を意思を縛っているのではないかと思うのだ」
そう言ったサルージャの表情は反省してるようで、少し情けない。
「そうやなぁ、ワイもそう思うわ。ナギちゃんの意志を尊重したいと思うんやけど、女の子いうだけで過剰に心配してしまうんやなぁ」
希少で貴重な女性だからこそ、扱いに困る。
男と一緒に扱っては体力的、精神的にどうしても無理が出てくる。しかし、特別に扱えば貴族連中に変に目をつけられる。
全員、上手く距離感がいまいち掴めないでいた。
「大体、ナギはあまりにもものを知らなすぎる。親に関しては、先日陛下が言葉にした時泣き出した。会いたくても会えないのだろう。そうなると、考えられるのは誘拐されて途中で自力で抜け出したか、何らかの転移魔法で辺境から飛ばされたかのどちらかだろう」
「後半の方が有力な説やと思うなぁ」
「俺もそう思う。しかし、こればかりは本人に確認しないと分からない。だが、今すぐ聞いたとしても、あの様子からして傷つけてしまうのは間違いない。だから、慎重にいこう」
「……ん」
「まぁ、それを考えるんはこの二人が起きてからにしよか」
すっかり存在を忘れ去られていたヴィルムとイージスに、マルクが意識を向ける。
……まだ意識を失ったままだった。
暗い表情のまま、一番物が少なく片付いているロルフの部屋に集まっていた。
「しかし、意外だな」
「何がなん?」
「いや、俺ぁてっきりロルフの部屋は薬草や何やらでとんでもないことになってると思っていたからよ」
「それは私も同感ですね」
部屋に入るなり何気にひどいことを言うヴィルムと、それに同意するイージス。
「……失礼」
ロルフは不機嫌そうに呟いた後、棚の中にあった小瓶を手に取る。その顔は酷薄に微笑んでいるように見えた。
「なんか、えげつない事考えてへん?」
「…さぁ?」
いち早く危険を察知したマルクはヴィルムとイージスから距離をとった。
そんなマルクの様子を二人は不思議そうに見るだけで、ロルフの異変に気づいていない。
「……ばいばーい」
楽しそうに、しかし、残酷なほど冷たい声で、瓶の中身をヴィルムとイージスにけたロルフ。
次の瞬間、意識を失い倒れた二人。しかも、それだけでなく二人の体には異変が起きた。
「あーぁ、またえげつないもん作ったなぁ?」
苦笑いをするマルクの視線の先にいるのは二人の子ども。
「若返りの薬か?」
サルージャは動揺することなくロルフに尋ねる。
「……数日で解ける。……試作段階」
フッと、ロルフは鼻で笑う。つまり、ヴィルムとイージスをムカついたついでに実験に使ったということだろう。
「でも、困らんか?」
「ふむ、いや、今のところはあの二人に重要な仕事はなかったと思うぞ?」
「……反省、ざまぁ」
「ははは…やっぱり可愛い見た目に反してロルフはエグいなぁ」
もはや苦笑いを通り越して、乾いた笑いしか出ないマルク。
「しかし、二人が意識を失っては困るのではないか?」
「…確かに、失敗した」
「次からは用件を済ませてからやるんだな」
「……ん、気をつける」
「それにしても、ちっちゃい時めっちゃ可愛ええなぁ。ヴィルムなんかイージスよりちっちゃいで?」
もはや、ツッコミ不在の状態。
「…で、何で集めた?」
ロルフがサルージャに集めた理由を唐突に尋ねた。
少し気分がスッキリしたのか、いつもの声色に戻っている。
「あぁ、ナギの様子を見て思ったのだが、俺達はどこまで彼女のことを縛ればいいのだろうか。確かに、魔術の行使力が強くナギ自身が傷つく危険があるため一人での使用は禁止した。さっきは、子どもらしい楽しみまで奪おうとした。それに、身を守るためだからと貴族のマナーを学ばせようとしている。ナギのためだと言いながらも、事実、彼女の行動を意思を縛っているのではないかと思うのだ」
そう言ったサルージャの表情は反省してるようで、少し情けない。
「そうやなぁ、ワイもそう思うわ。ナギちゃんの意志を尊重したいと思うんやけど、女の子いうだけで過剰に心配してしまうんやなぁ」
希少で貴重な女性だからこそ、扱いに困る。
男と一緒に扱っては体力的、精神的にどうしても無理が出てくる。しかし、特別に扱えば貴族連中に変に目をつけられる。
全員、上手く距離感がいまいち掴めないでいた。
「大体、ナギはあまりにもものを知らなすぎる。親に関しては、先日陛下が言葉にした時泣き出した。会いたくても会えないのだろう。そうなると、考えられるのは誘拐されて途中で自力で抜け出したか、何らかの転移魔法で辺境から飛ばされたかのどちらかだろう」
「後半の方が有力な説やと思うなぁ」
「俺もそう思う。しかし、こればかりは本人に確認しないと分からない。だが、今すぐ聞いたとしても、あの様子からして傷つけてしまうのは間違いない。だから、慎重にいこう」
「……ん」
「まぁ、それを考えるんはこの二人が起きてからにしよか」
すっかり存在を忘れ去られていたヴィルムとイージスに、マルクが意識を向ける。
……まだ意識を失ったままだった。
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