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49.唐突
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「あぁ……昨日の子、きみ付きの見習いだったのかい。花代なんて、別にいいよ。わざわざ謝りに来てくれてありがとう」
「そういうわけにはいきません。見習いの失態は上役である自分の失態だとおっしゃったのは、ミゼアス兄さんでしたよね」
「……きみも変なところで生真面目だねぇ」
ミゼアスは苦笑しながら、軽くため息を漏らす。
「厳しい上役に躾けられましたから」
少年は屈託の無い笑みを浮かべる。
「……それじゃあ、花代じゃなくてひとつ頼まれてほしいことがあるんだけれど」
「はい、何でしょう」
「実はね……」
殊勝に頷く少年に、ミゼアスは昨日の願掛けをしていた子供のことを話した。ミゼアスに飴を投げつけたことなどは省き、簡潔に説明する。
「……ということは、俺はその子のことを調べればいいんですか?」
「うん、やってもらえる?」
「任せてください。それにしてもエアイールも相変わらずですね。何となく、理由はわかるような気がしますが」
「理由、わかるのかい?」
ミゼアスが首を傾げる。
「まあ、あいつとは同い年で同級生でしたし、俺なんてよくいじめられたもんですよ。俺をいじめたのと根本的な理由は同じじゃないんですかね」
「きみをいじめたのと同じ理由?」
「ミゼアス兄さんは知らなくていいことですよ。あいつのどろどろした思いなんて。それよりも長くお邪魔してしまってすみません。食事が冷めるから、さっさと召し上がってください」
そう言って、少年は軽やかに立ち上がった。
「せっかくお二人でいちゃいちゃしていたところ、お邪魔してしまい申し訳ありませんでした。邪魔者は消えるので、どうぞご存分にいちゃいちゃを再開してください」
少年はにやりとした笑みを浮かべる。
「きみねぇ……」
「まあまあ、先ほど言っていた子のことはお任せください。それと……よかったですね、ミゼアス兄さん。ジェスさん、ですよね? ミゼアス兄さんのこと、よろしくお願いします」
アデルジェスに対し深々と頭を下げると、現れたときと同じくらいの唐突さで少年は去っていった。
「そういうわけにはいきません。見習いの失態は上役である自分の失態だとおっしゃったのは、ミゼアス兄さんでしたよね」
「……きみも変なところで生真面目だねぇ」
ミゼアスは苦笑しながら、軽くため息を漏らす。
「厳しい上役に躾けられましたから」
少年は屈託の無い笑みを浮かべる。
「……それじゃあ、花代じゃなくてひとつ頼まれてほしいことがあるんだけれど」
「はい、何でしょう」
「実はね……」
殊勝に頷く少年に、ミゼアスは昨日の願掛けをしていた子供のことを話した。ミゼアスに飴を投げつけたことなどは省き、簡潔に説明する。
「……ということは、俺はその子のことを調べればいいんですか?」
「うん、やってもらえる?」
「任せてください。それにしてもエアイールも相変わらずですね。何となく、理由はわかるような気がしますが」
「理由、わかるのかい?」
ミゼアスが首を傾げる。
「まあ、あいつとは同い年で同級生でしたし、俺なんてよくいじめられたもんですよ。俺をいじめたのと根本的な理由は同じじゃないんですかね」
「きみをいじめたのと同じ理由?」
「ミゼアス兄さんは知らなくていいことですよ。あいつのどろどろした思いなんて。それよりも長くお邪魔してしまってすみません。食事が冷めるから、さっさと召し上がってください」
そう言って、少年は軽やかに立ち上がった。
「せっかくお二人でいちゃいちゃしていたところ、お邪魔してしまい申し訳ありませんでした。邪魔者は消えるので、どうぞご存分にいちゃいちゃを再開してください」
少年はにやりとした笑みを浮かべる。
「きみねぇ……」
「まあまあ、先ほど言っていた子のことはお任せください。それと……よかったですね、ミゼアス兄さん。ジェスさん、ですよね? ミゼアス兄さんのこと、よろしくお願いします」
アデルジェスに対し深々と頭を下げると、現れたときと同じくらいの唐突さで少年は去っていった。
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