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第11話 ランスロット 悩む
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公爵邸・ランスの逡巡
夜がすっかり降りて、マルセイユ公爵邸の廊下には静かな蝋燭の灯りだけが揺れていた。
ランスロット=マルセイユは自室の椅子に腰を下ろし、窓の外をぼんやりと見つめていた。
今日一日の出来事が頭を巡る。カンヌと過ごした穏やかな時間。そして、サンオリ=ポールとの不快な遭遇。あのとき毅然と立ち向かった彼女の姿は、胸の奥に深く刻まれている。
けれど――同時に、どうしても拭えない不安があった。
「……カンヌは、僕のことをどう思っているのだろう」
彼女は笑顔を見せてくれた。甘いものを一緒に楽しみ、また一緒に行こうとも言ってくれた。
だが、それは友情にも似た、軽やかな約束に過ぎないのではないか。
ランスは公爵家の嫡男だ。幼い頃から数多の婚姻話や縁談を耳にし、誰かと「家のため」に結ばれる未来を半ば当然のものとして育ってきた。
だからこそ、今日のように心から「一緒にいたい」と思える相手に出会えたことは奇跡に近い。だが同時に、怖くもあった。
――もし、彼女が自分をただの「友人」としか見ていなかったら?
そう考えただけで、胸の奥に冷たいものが広がる。
しばし沈黙してから、ランスは呼び鈴を鳴らした。数分もしないうちに、扉の外から控えめな声がする。
「ランス様、どうされましたか」
「入ってくれ」
扉を開けて入ってきたのは、護衛隊長の一人、アランだった。彼は年若い頃からランスに仕え、兄のように振る舞うことも多い。
「今日は……大変な一日でしたな」
「そうだな。アラン、君たちを近づけなかったのは僕の判断だ。責任は問わない。安心してくれ」
「ありがとうございます。しかし……ランス様、少しお顔が曇っているように見えます」
ランスは苦笑した。アランは昔から勘が鋭い。隠し事をしてもすぐに気づかれてしまう。
「実は……カンヌ嬢のことだ。彼女は、僕のことをどう思っているのだろうか」
「ははぁ」アランは意味ありげに眉を上げた。「つまり、そういうことですな」
「からかわないでくれ。真剣なんだ」
アランは腕を組み、しばらく考えるように目を細めた。
「……拙者の見る限り、カンヌ嬢は悪い感情を持っておられぬように思います。むしろ、殿下と一緒にいるときは自然に笑っておられる。普通、あれほどの緊張の場で女性が毅然と立ち向かうのは難しいものです。ですが、あの方は殿下が隣にいたからこそ、勇気を持てたのでは?」
その言葉に、ランスの胸が少し温かくなる。
だが同時に、不安は消えない。
「……そうだといいのだがな。僕は彼女に想いを伝えたい。でも、軽率に動いて拒絶されるのが怖いんだ」
「恐れは当然です。しかし、行動せねば何も変わりませんぞ。騎士は剣を抜かねば戦えぬ。恋も同じでは?」
アランの言葉は力強かった。けれど、ランスにはまだ決心がつかない。
その夜、彼は眠りにつく前に、もう一人に相談してみようと決めた。母だ。
母との対話
翌朝。庭園に柔らかな朝日が差し込む。
ランスは母の部屋を訪ねた。公爵夫人はすでに身支度を整え、窓辺で編み物をしていた。
「おはようございます、母さん」
「あら、ランス。今日は珍しく早いわね」
彼女は息子の顔を見るなり、すぐに微笑んだ。昨夜よりも腫れの引いた頬を見て、少し安心したようだ。
「昨日のことは聞いているわ。あなたが毅然としていて、そして彼女を守ったと」
「……母さん」ランスは椅子に腰を下ろし、少し視線を伏せた。「実は、迷っていることがある」
母は手を止め、息子をじっと見つめた。
ランスはゆっくりと言葉を続ける。
「僕は……カンヌ嬢のことが好きだ。彼女といると心が安らぐ。だけど、彼女が僕をどう思っているのかが分からない。告白すべきかどうか、悩んでいるんだ」
母は静かにうなずき、糸を置いた。
「ランス。あなたは昔から真面目すぎるの。答えをすべて確かめてから動こうとする。でも、恋は違うのよ」
「……違う?」
「ええ。恋は、先に飛び込む勇気があって初めて芽吹くもの。もし彼女がまだ迷っているなら、あなたの言葉がその背を押すかもしれない。拒まれるかもしれないけれど、それは彼女が誠実だからこそ。大切なのは、あなたが本気であることを伝えることよ」
母の声は優しく、しかし芯の通った強さがあった。
ランスは唇を噛み、胸に湧き上がる不安と希望を天秤にかける。
「……僕から想いを告げるべき、なのだろうか」
「ええ」母は微笑んだ。「それにね、私はカンヌ嬢があなたに心を開き始めていると感じたわ。昨日、あなたのことを話すときのあなたの顔、とても嬉しそうだった。それは、きっと相手にも伝わっているはずよ」
ランスは息をのんだ。昨日、母に「彼女と人生を歩みたい」と口にした。その言葉を思い出すだけで、胸が熱くなる。
「……母さん、ありがとう」
「いいのよ。ようやくあなたに春が来たんですもの。大切になさい」
母は編みかけの布を再び手に取りながら、目だけで優しく微笑んだ。
再びの独白
部屋に戻ったランスは、机に置いたインク壺と羽ペンを前に、じっと考え込んだ。
護衛も母も、自分の背を押してくれた。あとは勇気だけだ。
窓の外には、今日も明るい陽光が降り注ぎ、街のざわめきが遠くに聞こえてくる。
その中で、彼は小さく呟いた。
「カンヌ……君は僕をどう見ているんだろう。友として? それとも……」
心の奥の問いはまだ答えを得られない。だが、それでも前に進まねばならない。
彼は深呼吸をひとつして、羽ペンを取った。白い紙に、迷いのない文字を刻む。
――「カンヌ嬢にお会いしたい。お伝えしたいことがあります」と。
夜がすっかり降りて、マルセイユ公爵邸の廊下には静かな蝋燭の灯りだけが揺れていた。
ランスロット=マルセイユは自室の椅子に腰を下ろし、窓の外をぼんやりと見つめていた。
今日一日の出来事が頭を巡る。カンヌと過ごした穏やかな時間。そして、サンオリ=ポールとの不快な遭遇。あのとき毅然と立ち向かった彼女の姿は、胸の奥に深く刻まれている。
けれど――同時に、どうしても拭えない不安があった。
「……カンヌは、僕のことをどう思っているのだろう」
彼女は笑顔を見せてくれた。甘いものを一緒に楽しみ、また一緒に行こうとも言ってくれた。
だが、それは友情にも似た、軽やかな約束に過ぎないのではないか。
ランスは公爵家の嫡男だ。幼い頃から数多の婚姻話や縁談を耳にし、誰かと「家のため」に結ばれる未来を半ば当然のものとして育ってきた。
だからこそ、今日のように心から「一緒にいたい」と思える相手に出会えたことは奇跡に近い。だが同時に、怖くもあった。
――もし、彼女が自分をただの「友人」としか見ていなかったら?
そう考えただけで、胸の奥に冷たいものが広がる。
しばし沈黙してから、ランスは呼び鈴を鳴らした。数分もしないうちに、扉の外から控えめな声がする。
「ランス様、どうされましたか」
「入ってくれ」
扉を開けて入ってきたのは、護衛隊長の一人、アランだった。彼は年若い頃からランスに仕え、兄のように振る舞うことも多い。
「今日は……大変な一日でしたな」
「そうだな。アラン、君たちを近づけなかったのは僕の判断だ。責任は問わない。安心してくれ」
「ありがとうございます。しかし……ランス様、少しお顔が曇っているように見えます」
ランスは苦笑した。アランは昔から勘が鋭い。隠し事をしてもすぐに気づかれてしまう。
「実は……カンヌ嬢のことだ。彼女は、僕のことをどう思っているのだろうか」
「ははぁ」アランは意味ありげに眉を上げた。「つまり、そういうことですな」
「からかわないでくれ。真剣なんだ」
アランは腕を組み、しばらく考えるように目を細めた。
「……拙者の見る限り、カンヌ嬢は悪い感情を持っておられぬように思います。むしろ、殿下と一緒にいるときは自然に笑っておられる。普通、あれほどの緊張の場で女性が毅然と立ち向かうのは難しいものです。ですが、あの方は殿下が隣にいたからこそ、勇気を持てたのでは?」
その言葉に、ランスの胸が少し温かくなる。
だが同時に、不安は消えない。
「……そうだといいのだがな。僕は彼女に想いを伝えたい。でも、軽率に動いて拒絶されるのが怖いんだ」
「恐れは当然です。しかし、行動せねば何も変わりませんぞ。騎士は剣を抜かねば戦えぬ。恋も同じでは?」
アランの言葉は力強かった。けれど、ランスにはまだ決心がつかない。
その夜、彼は眠りにつく前に、もう一人に相談してみようと決めた。母だ。
母との対話
翌朝。庭園に柔らかな朝日が差し込む。
ランスは母の部屋を訪ねた。公爵夫人はすでに身支度を整え、窓辺で編み物をしていた。
「おはようございます、母さん」
「あら、ランス。今日は珍しく早いわね」
彼女は息子の顔を見るなり、すぐに微笑んだ。昨夜よりも腫れの引いた頬を見て、少し安心したようだ。
「昨日のことは聞いているわ。あなたが毅然としていて、そして彼女を守ったと」
「……母さん」ランスは椅子に腰を下ろし、少し視線を伏せた。「実は、迷っていることがある」
母は手を止め、息子をじっと見つめた。
ランスはゆっくりと言葉を続ける。
「僕は……カンヌ嬢のことが好きだ。彼女といると心が安らぐ。だけど、彼女が僕をどう思っているのかが分からない。告白すべきかどうか、悩んでいるんだ」
母は静かにうなずき、糸を置いた。
「ランス。あなたは昔から真面目すぎるの。答えをすべて確かめてから動こうとする。でも、恋は違うのよ」
「……違う?」
「ええ。恋は、先に飛び込む勇気があって初めて芽吹くもの。もし彼女がまだ迷っているなら、あなたの言葉がその背を押すかもしれない。拒まれるかもしれないけれど、それは彼女が誠実だからこそ。大切なのは、あなたが本気であることを伝えることよ」
母の声は優しく、しかし芯の通った強さがあった。
ランスは唇を噛み、胸に湧き上がる不安と希望を天秤にかける。
「……僕から想いを告げるべき、なのだろうか」
「ええ」母は微笑んだ。「それにね、私はカンヌ嬢があなたに心を開き始めていると感じたわ。昨日、あなたのことを話すときのあなたの顔、とても嬉しそうだった。それは、きっと相手にも伝わっているはずよ」
ランスは息をのんだ。昨日、母に「彼女と人生を歩みたい」と口にした。その言葉を思い出すだけで、胸が熱くなる。
「……母さん、ありがとう」
「いいのよ。ようやくあなたに春が来たんですもの。大切になさい」
母は編みかけの布を再び手に取りながら、目だけで優しく微笑んだ。
再びの独白
部屋に戻ったランスは、机に置いたインク壺と羽ペンを前に、じっと考え込んだ。
護衛も母も、自分の背を押してくれた。あとは勇気だけだ。
窓の外には、今日も明るい陽光が降り注ぎ、街のざわめきが遠くに聞こえてくる。
その中で、彼は小さく呟いた。
「カンヌ……君は僕をどう見ているんだろう。友として? それとも……」
心の奥の問いはまだ答えを得られない。だが、それでも前に進まねばならない。
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――「カンヌ嬢にお会いしたい。お伝えしたいことがあります」と。
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