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迷宮3-3)冒険者さんいらっしゃい!

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 そして冒険者が立ち去ると、わたしの身体にちょみっと増える迷宮パワー。
 勝手に迷宮パワーなんて呼んでいるけれど、この迷宮に人が訪れると、わたしの力が増えていくのですよ。
 経験値みたいなものなのかな。
 それが溜まっていくと、たぶん迷宮を大きく出来るんだと思う。
 増築とか改築とかね。

 まだやったことがないから分からないけど、たぶん出来る。
 誰に教わったわけでもないのだけど、これも本能的に感じるんだよね。

『こびっ?』

 コビットさんがいつの間にかわたしの目の前に来ていた。
 わたしは迷宮そのものだけれど、意識の塊っていうのかな?
 迷宮のどこかにいたりするんだよね。
 なんとなく女神像の中にいることが多いけれど。


『コビットさん、どうかしたの? うんうん、雲が出てきて雨が降りそう? そうね、薬草が濡れないようにしましょうか』
『こびっ♪』


 コビットさんはほとんど喋らない。
 でも何を言いたいのかなんとなく判るし、わたしの言葉も通じているので困った事はない。

 空を見上げると、コビットさんが言うとおり雲が出てきていた。
 淡いピンク色の空に陰りはなくて、遠くのほうにも分厚い雲は出ていないから、強い雨にはならなそう。

 わたしは迷宮の横にくっついてあるコビットさん専用の薬草花壇に、意識を集中する。
 ぐぐーっと意識をがんばると、迷宮の壁を作っているレンガが少しずつずれていく。
 レンガは、わたしのイメージどおりに、薬草花壇の上に屋根を作った。


 うん、これで大丈夫かな。
 そんなに厚い雲じゃないから、ちょっとした小雨程度ならこれで薬草は濡れないはず。

 ちなみに、冒険者が迷宮に入らずに迷宮横に来てしまった場合は、レンガをもっと移動させて花壇をしっかり隠していたりする。
 じゃないと、根こそぎ抜いていかれちゃったら大変だからね。

 宝箱に入れるものがなくなっちゃうし、コビットさんが大泣きしちゃうよ。
 ほんとに愛情こめて、一生懸命育ててくれてるんだからね。

 あ、迷宮パワーが溜まったら増築しようと思っていたけれど、温室なんて作れるのかな?
 コビットさんが喜びそうだよね。

 あ、また冒険者が来た!

 うんうん、どんどん来てね。
 わたしの迷宮パワーの為に!
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