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迷宮6-4)増築と防衛といじめっ子
しおりを挟むほっぺたを押さえ、それでも涙をこらえる黒髪の少年。
酷いよ。
なんなのこの二人。
自分よりも小さくて弱い子を苛めるとか。
なんかもう、本当に大っ嫌いですよ?
「さーて、嘘つきはどうしてやろうか」
「二度と冒険出来ない身体にしてやるのはどうよ」
ニヤニヤと笑って、二人は黒髪の少年を部屋の隅に追い詰める。
あーもー、許せないっ。
レンガを落とし……たら危ないか。
二人に上手く命中するかわからないし、当たり所が悪かったら死んじゃうし。
そうだっ。
『オレ、守ル? ソコニ、行ク』
『ゴーレムさん、死なない程度にやっつけて!』
わたしの意思を感じ取ったゴーレムさんが、くわっと動き出した。
即座に宝箱のある最奥の間にやってくる。
「わっ、なんだこいつっ」
「魔物?!」
うががががっ!
ゴーレムさんは雄叫びを上げて意地悪な子をぶっ飛ばす。
もちろん、ほんとに軽くだ。
ゴーレムさんが本気を出したら、この子達のほうが二度と冒険に出れないからね。
「うわ、やべぇっ!」
「逃げろっ」
赤髪の子と意地悪な子は、涙目で逃げ出した。
『オレ、守レタ。迷宮、守ッタ』
『うんうん、ゴーレムさんありがとう♪』
再び雄叫びを上げて、ゴーレムさんは定位置に戻っていく。
黒髪の少年を見ると、金色の瞳を見開いて真っ直ぐにわたしを――女神像を見ていた。
「どうして……女神像がしゃべっているの?」
えっ。
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