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第2章 岡山県1

04 学校と不良と女子

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「君が桜井 博之君だな。私は君のクラスの担任の大里おおさと まもるだ。いわゆる体育の先生だ。よろしくな!とりあえず聞いておくが君はサッカーとか野球とか球技関係に興味は無いか?」
「えっと、きゅ…球技ですか?」
「おう。私は野球部とサッカー部と他にも色々顧問をしていてな、どこも人数不足なんだ。今ならすぐにでもレギュラーの座を獲得できるぞ!」
どうもこの暑苦しい感じの背の高い筋肉質なおっちゃんが担任らしい。

「あーその…俺は…っと、僕は今こんな状態なんでまだ部活とかは考えられないです。もう少し体が動く様になったら考えてみますね」
「ふむ、そう言えば桜井は事故に遭ったって聞いたな。確かにギプスを付けたまま球技は無理か…まぁレギュラーじゃなくてもマネージャー業務とかでも部活に関わる事は出来るから気軽に言ってくれな!いつでも歓迎するぞ!」
ガハハ的な笑い声をあげながら肩の辺りをポンポン軽く叩くおっちゃん担任。
一応ギプスを巻いてる方の肩を力任せに叩いてしまう様な脳内筋肉系では無いらしい。

「大里先生、そろそろ私も自己紹介してもいいですか?」
「ん?あぁ悪い!ちょっと熱くなってしまった様だどうぞ!」
無駄に歯を白く光らせながらおっちゃんが女性に場を譲った。

「では、私は君のクラスの副担任をしている瑞野みずの 美里みさとです。美術部と漫画研究会と吹奏楽の顧問をしてますので気になる様なら声をかけてくださいね」
年齢的には20代かな?ちょっと線の細いオッパイは小さめの女性が副担任らしい。
「よろしくお願いします」

「では時間も良さそうなのでクラスに行くか」
担任が振り向きもせずに職員室のドアを開けて出て行ったのでとりあえず荷物を持って小走りで副担任の瑞野先生と担任を追いかけた。
「コッソリ先生、大里先生っていつもこんな感じなんですか?」
「コッソリ大体こんな感じね。でもそんなに悪い先生じゃないのよ」
なんとなく右目に大里先生と瑞野先生に体の関係があるのが分かる。
「コッソリもしかして瑞野先生って大里先生と付き合ってたりするんですか?」
「コッソリ…まさか、それは無いわ。だって大里先生は2年前に結婚したばかりよ」

あららら…うちの担任(マッチョ)(新婚)と副担任(小さ目)(そこそこ喪女)は不倫の仲ですかぁ…なかなかに面白い状態じゃないか。

今度瑞野先生を色々いじって遊んでみよっと♡
あれっ…瑞野先生は落とす方法がなんとなく見えるけど…なんか…1人で言い寄っても落とせない感じ?
もう少し詳しく見てみないとめんどくさい事になる気がする。

手を出すとしてももう少し先だな。

瑞野先生の膣サイズと大里先生のアレのサイズがジャストフィットサイズなのを感じつつ大里先生が勢いよく開けたクラスのドアを瑞野先生に続いて入ると一気に視線を浴びた。
そしてすぐ目の前にチャイムが鳴る前に見たあのビッチな女の子が座っていた。
「「あっ」」
俺と女の子の声がハモったのに大里先生が気づいた。

「ん?どうした矢井田やいだ?知り合いだったのか?」
「えっ?いえ、今朝グラウンドで見かけたからちょっと…」
お~ビッチちゃんなのになんて可愛い笑顔♡ソフィーさんがいなければ惚れてたかもしれないじゃないか♡
「なんだそうなのか?桜井はもう下見を済ませていたのか?それなら部員が増えそうだな。しっかり勧誘しろよ矢井田!」
「えっと…はい」
恥ずかしそうな顔もまたイイ♡

「そしたら、この間から言ってた転校生が来たから紹介するな!桜井!行け!」
「はい!えっ?え?もう自己紹介ですか?」
「私は桜井の事をそこまで詳しく知ってる訳じゃないから説明できることはそんなに無いぞ?なんだ恥ずかしがってるのか?」
「そうではないのですが…はい。やります」
「よっし行け!ガツンと言ってやれ!」
このおっさん暑苦しい系の熱血漢って思ったの間違いなかったみたいだな。うへぇ…

俺は名前とここに来る事になった大まかな理由とソフィーさんの事を一応自己紹介として説明しておいた。
ちなみにソフィーさんの事を毎日セックスしてる深い仲ってさすがに言えなかったので♡俺がアラスカで救出されてから絶対安静状態の頃からずっとケアしてくれている天使みたいな人って言っておいた。
「…そんな訳でこれからよろしくお願いします」
「よっし!恥ずかしがらずによく言った!偉いぞ!!みんなもニュースなどで見て知ってると思うがあまり騒ぎ立てる様な事はするなよ!それと…クラスではそうだな…矢井田と甲本こうもと!お前らは桜井の面倒を見てやれ」
「「はい」」
「桜井の席は一応後ろの空いてる所…なんだまた桐生きりゅうは休みか…桜井、右の窓際の席を使え。それと矢井田か甲本のどっちかが桜井の席の横に移動しろ」
「あっ!その!すいません!!僕は後ろだと黒板が見えないので…」
こいつが甲本か…って言うか何だ?何かすごく焦ってる感じ?
「あーそうか、矢井田は大丈夫か?」
「…はい」
ふむ…なんとなく嫌そうな声だなぁ…でもこの矢井田さんって俺が乳を掴んで舌を口にねじ込めば簡単に落ちるはずなんだけど…だれか嫌いな奴でも近くに居るのかな?

とりあえず俺が自分の席に移動するのに合わせて矢井田さんが自分の席を持って隣に移動してきた。
「よろしくね」
「こちらこそよろしくです」
一応笑顔で挨拶をしてくれるぐらいだから俺は嫌われてないと思うんだけど…矢井田さん前を向きながらチラっと視線を俺の席の反対側横の方に向けて、ため息を吐きながら背筋を伸ばして座りなおした。

なんとなく休んでる奴が気になる感じか…まあその辺りは追々確認していけばいいな。

俺はこの日約2か月ぶりに授業を受けた。



1時間…実際には50分か。思った以上に疲れた。
「桜井君大丈夫?辛いなら保健室に行く?」
「んーさすがにこんな時間に行ったらソフィーさんに嫌われるかもしれないからもう少し頑張ってみるよ」
とりあえず6時間の時間割でさすがに1時間目でギブアップだと昨日の立ち駅弁は何だったんだって詰め寄られてしまう気がする。
「そう言えば桜井君って昨日入院して転校初日が伸びたって聞いたけど何かあったの?」
「そんな話も先生言ってたの?」
「ふふっ…転校生とかほとんど来ないような田舎だからみんな興味津々でどんな人が来るのかなって噂してたのよ」
「あららそこまで期待されたのかぁ…なんか悪いことした気分になるなぁ…普通の奴が来て期待してた人達ショボーンって感じなんだろうなぁ…」
「そう?桜井君ってそんなにモテない人だったの?でも…」
ん?矢井田さんが前の女の子をツンツンしてるけど…?
「もう!私に振らないでってちゃんと言っておいたでしょー?」
「ごめんねでもあの事を私に教えてくれたのみどりだからさぁ」
「緑…さんが教えたって…?」
名前を呼び捨てにしたら睨まれた。ちょっと怖かった。

ちなみに緑ちゃん、髪はショートでちょっと化粧をしてる感じか?なんとなく垢抜けてる感じがする。元の学校の軽い系女子に近いイメージかなぁ…俺が一番苦手だった感じの奴だ…

「あーそのね…今日ほら、君がソフィー先生の車で送り迎えしてもらうって話がけっこう噂になってたのね」
「噂になってたって…えっ?もしかしてその話も大里先生から?」
「そう、車で来る理由を含めて聞いてたの。それにあのソフィー先生がなんかこうさぁ~嬉しそうにキミの事を話してた話とかも伝わってきてたからさぁ、どんな男子が来るのかって女子の間でもけっこう噂になってて…ね?」
「ソフィーさん…あぁそう言えば少し前から機材の確認とかで学校に行くって言ってたか…で?」
「みんなあの車がソフィー先生の車だって学校の敷地に入って来る所から見てて…その…二人が車から降りる前にその…」

アッ…まさか…

「もしかして…アレが見られてた?」
「もしかしなくても全学年の女子の半分ぐらいが心の中でキャーキャー言いながら悶えつつ見てたね♡」
「全学年の女子生徒の半分…」
チョット気が遠くなった気がした。
「うちの学校の女子は1年から3年まで全員で60人ぐらいだねぇ~♡」
そして緑ちゃんが詳しく教えてくれた。

ニヨニヨ笑顔で。

「そっかぁ…アレ…見られてたかぁ…」
俺、誰かに見られてるとかまったく考えてなかったからソフィーさんのオッパイに顔を挟んで外から両手でパフパフ何度もしたんだよなぁ…それにソフィーさんも俺の股間に手を伸ばしてモミモミずーっとしてたんだよなぁ…
アレ見られてたのかぁ…30人ぐらいの女子生徒に…とりあえず恥ずかしくて顔を上げられなくなった。

「大丈夫だよ~君は外人女性を落とせるほどのナイスガイ(色々未知数)としてうちの学校の女子生徒全員に今頃知れ渡ってる頃だよ♪」
すごくいい笑顔で断言されてしまった。

「そうか、こうなったら女にだらしない男として生きて行くしかないかぁ…厳しい第2ラウンドが始まったなぁ…」
「そうでもないんじゃない?だって君、こんなにテンポ良く会話出来てるじゃん♪ここらの男子はシャイな子か不良しかいないからある意味モテるんじゃないかな?うふふふ~ん♡」
「そうだったらいいんだけどねぇ…ハァー」
楽しい学園生活が始まると思ってたら、なんとなく厳しい始まり方をしてる事に後で気付いたなんて状態ならため息の一つも出るよな。

「ほーら、ため息なんて吐いてたらソフィー先生に振られたとか変な噂が立っちゃうかもだよ~(笑)」
「ちなみに俺まだ君の事を緑ちゃんって名前しか知らないけど、緑ちゃんって呼んでもいいの?」
「あっ、そう言えば自己紹介とかしてなかったね。私は室井むろい 緑。ンーまぁ?桜井君が緑ちゃんって呼びたいなら私も博之君って呼んじゃうけどね?」
「ずいぶんノリのいい子だったのね。よろしく緑ちゃん」
「あらそっち選んじゃった♪こちらこそよろしくね博之君♪」
とりあえず気軽に握手とかできてしまう友人女子♡爆誕♡って感じ♡

「っていうかなに私を無視して仲良くなってるの?お世話係は私なんだけど?」
2人で握手してたら矢井田さんが頬を膨らましながら割り込んできた。

「えーでももう私は緑ちゃん博之君って名前で呼び合う仲になっちゃってるからなぁ~祥子しょうこも名前の方で呼ばれたいって事?」
「祥子さんっていう名前なのかぁ…へー」
「まぁ…どうしてもそう呼びたいって言うなら、呼んでもいいけど?」
ツンって感じにちょっと上を向いて見下ろす目線で俺を見てくる矢井田さん。
「矢井田さんって呼ぶよりは親しみが持てるかも?って気がする」
「じゃぁ今日から祥子、緑、博之って呼び捨ててしまおう♪きーまりっ♡」
「あんたは勝手にそんな事を…ねぇ、博之君は本当にいいの?」
ちょっとニヤケながらも一応緑ちゃんを叱りつつ確認する感じって言うか伺うって感じか?聞いてくれた祥子ちゃん。
「女の人に呼び捨てにされるのって…母さん以外では初めて…かな?」

確かソフィーさんは二人っきりの時は博之様だし他の人が居る時は博之君…日和はお兄ちゃんだし…そう言えばセシリアさんがヒロリンとか呼んでた?…呼び捨てはやっぱり居ないね。
「よかったじゃん祥子♪」
「…何がよまったく」
矢井田さん俺の方をチラチラ見ながら顔を赤くしてるのがカワイイ♡
「博之もその顔は何?!」
「いえいえ特に何か言いたい事がある訳ではありませんですはい♪安心してくれ祥子、キリッ♪」
「もうっ…何がキリッよ…フフッ」
最後には普通に笑顔を見せてくれたんでたぶん呼び捨ては受け入れられたって事なんだろうな。




そう言えば俺…なんでこんなに女の子と普通にしゃべれるんだ?

今までなら絶対に話す事の無かった…どっちかと言えば怖くて逃げていた女の子とまったく気負う事なく普通にしゃべれてる。

あっ…もしかしてソフィーさんが居るから?
確か何かで…webだったかなぁ…読んだ覚えがあるけど、どこかの街で飲み屋の女にすごくモテて遊びまくってる男がその秘訣を何かの時にしゃべったらしい。

確か…『俺には1人だけ何をしてもどんな事をしても絶対自分から別れるって言わない女が居るからあんな高レベルの女達を落とせるんだ。どんなイイ女でもそいつが俺の傍に居ても居なくても特に気にならないからな。それとな、女って連中は自分がどの程度のランクなのかをよーく分かってる。今までは勝手にすり寄ってきていたレベルの俺程度の奴が自分に全く興味を示さないのがどうしても気になるみたいでな。もしかしたら自分が理解できてない何かを持ってるのかも?なんて勝手に勘違いしてくれるみたいだぞ。だからもしお前がそっち系の女達にモテたいって思うなら、どんなブサイクな女でもいいから一人だけ絶対に自分から別れるって言いださない女を捕まえろ。その女を大事にしてる間はお前ら程度の男でも俺みたいにランクの高いイイ女を食い散らかせるはずだ』
なーんて事を言ったとかどうとか…

この話が本当なら俺にソフィーさんが居るから他の女の人に嫌われても特に気にならないから?

かなぁ…なんとなくあってる様なちがってる様な…ンー

なんとなくなぜここまで普通に、なんなら男の田中とか佐々木としゃべってる感じとほとんど変わらない感じに緑と祥子の二人とはしゃべれてしまうのか…答えを探しながら悩みつつ次の授業の準備をしていたら教室の後ろのドアがちょっと乱暴に開かれた音がした。


そして一瞬で室内が静寂に包まれた。
んっ?

とりあえず国語の教科書とルーズリーフを数枚用意して次の授業の準備が終わってから入ってきた奴を見ると…

「あぁ?…お前どっかで…」
祥子の近くで俺の顔を見下ろしてる男が片方の眉毛を眉間に寄せる様な感じの顔をした。
ちなみにその男の顔には半分ぐらい顔が隠れる様に包帯が巻かれていて頭もほとんどが包帯に包まれていた。
それ以外にも左腕にも今の俺と同じ感じのギプスが付いていて、椅子の背もたれを片手で持ちつつバランスを崩してふらついてる感じを見るに足にも何か…祥子の後ろからちょっと首を伸ばして見たら、右足に指からかかとの辺りまで全部を覆う様なギプスが巻いてあった。

「俺もどこかで会った…気がする…ねぇ…あー緑、この人誰?」
とりあえず完全に固まってる祥子に聞いてもたぶん答えてもらえない気がしたから…とりあえず緑に聞いてみた。

「桐生さん…」
緑が絶対に顔は上げません。って言うかなんで私に聞いたの?!やめてよ!って目で俺を睨みながらとても小さな声で答えてくれた。
「桐生…そう言えば大里先生が言ってたか…でも他では聞いた覚えはやっぱり無いよなぁ…やっぱり気のせいかな?えっと、今日から転校してきた桜井です。よろしく」
立ち上がって正面から見るとなんとなく既視感が感じられた。

「あっ一昨日のヤンキー達と似た感じの服…えっ?」
「…嘘だろ…お前そのギプス…ちょっ!」

俺の頭の中で一部分見えている男の顔が車の窓から身を乗り出して俺に車を突っ込ませた男に重なった。
「あぁ~~!!!あの男!!」
「お前何でここに居るんだよ?!もう絶対俺から近づかないって約束しただろ?!なんで…クソ…」

頭の中で男との距離とドアまでの距離、もし逃げ切れたとしてその後の学校生活での彼とのあれやこれやが一瞬で頭の中を走り抜けた。その結果俺は無意識に土下座を選択していた。
ヤバいなぁ…土下座の敷居が随分と低くなって来てるなぁ…無意識にそんな事を頭の隅で考えつつ謝罪の言葉を口にする俺。

「「ごめんなさい!もう絶対あんな事…しな…い?から???ん?許して…?」下さいって…なんで?お前が…へっ??」

どうも俺と桐生は同じタイミングで土下座して、同じようなことを口走っていたみたい?
それにしてもなんでこいつが俺に土下座してるの???

気付いたらクラス中の視線が俺と桐生って男に注がれていた。





アハハ…なんか、すごく有名人になれた気分。
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