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第6章 八百万の神々

01 力の解放

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空を雲が厚く覆い日中にもかかわらず薄暗い10月の頭、大分県の国東くにさき半島の両子山ふたごやまの山頂に近い場所にある、とある祠でそれは起こった。

祠は木製で大人3人ほどで持ち運べる程度の大きさ。崖に入り込む様に安置されたその祠には観音開きの扉があり、それを封印する様なお札が貼ってあった。

数日前から同地域では地震が頻発していた事が原因で祠が安置されている崖の窪みの上の部分が崩落。その結果祠は完全に土砂に埋もれてしまった。

そして…崩落が起きた日から数日後、周囲にはその地域に生息する生物が集まっていた。

イタチ、ウサギ、サル、アナグマ、シカ、イノシシやクマなども多数見える。
それ以外にも鳥類も多数確認できる。

カワウ、サギ、オシドリ、カモ、ハチクマ、ハヤブサ、コチドリ、アオバズク、フクロウ、コクチョウ、それ以外にも日本のどこにでもいるカラスやスズメ、ツバメやヒバリなども多数見える。

崩れた祠のあった場所に1匹のタンチョウ鶴が近づいてくと、祠のあった崩落場所に大型の哺乳類が近づき土砂を排除し始めた。
イノシシやサル、クマなどが土砂を掘り起こし始めると祠のあった辺りから淡い緑色の光の珠が多数浮かび上がってきた。

ひと際強い光を放っていた珠がタンチョウ鶴の赤い頭部に吸い込まれて消えると、その他の光の珠もそのほとんどが周囲に集まっていた動物達の頭に吸い込まれて消えた。

「我々は神託によりこの地に集った。これより我らが神の望む約束の地の選定に入る。それぞれの能力にて約束の地を選定しなければならない。始めよ」
タンチョウ鶴が口を開かずに日本語にて指示を出すと周囲に集まっていた動物達が動き始めた。

「お前達は海に向かい遠隔地に神託を届けろ。我らが太陽神のお言葉を」
タンチョウ鶴の言葉が終わると光の珠は地面を離れ、別府湾、周防灘、伊予灘に向かって飛んで行った。

「神を受け入れるにふさわしき生物の選定…世界の理を離れ、肥育された人にその様な者が居るのだろうか…」
タンチョウ鶴は最後に自分だけになった祠の前で一言呟き飛び立った。
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