14 / 26
14 シャロン視点(後編)
しおりを挟む
「……聞き間違えかもしれないわね……もう一度言ってくれるかしら?」
「私、今は病気じゃないんです。病気のフリをしている時、義兄様が心配して側にいてくれるのが嬉しくて……」
「……じゃあ、あのお酒もシャロンちゃん、あなたが仕組んだというの……?」
「はい……アルコールが入ってしまえば健康診断がなくなって、今の生活が続けられると思って……」
全てを話して、お母様の力を借りて罪をなるべく軽くしてもらうしか方法がない。
お母様はしばらく黙ったままだ。当然か。こんな犯罪を犯しているような娘のカミングアウトを聞いてしまえば私のことを見る目だってきっと……。
「かわいそうにシャロンちゃん……こんなに思い詰めていたのね……」
「え!?」
「大丈夫よ……シャロンちゃんはお母さんが守わよ。このままじゃシャロンちゃん、捕まってしまうもの……私の大事な娘にそんなことさせないわ」
「お母様……」
まさかの全面協力してくれるというの……? 話してよかった……私のお母様は世界一よ。
「それに、ハーベストのことが好きで、愛しているからやったことなのよね?」
「はい……それは誓って嘘ではありません」
「ならばお父様と使用人にだけは教えましょう」
「そ……そんな……」
私の愛する人を公開してしまって恥ずかしい気持ちと、怒られてしまうんじゃないかという恐さが同時にのしかかってくる。むしろ自首しろと言われてしまうんじゃないだろうか。
「これはきっとチャンスよ。私としては、ゴチャゴチャうるさいゴミみたいな女とハーベストが結婚するよりも、シャロンちゃんと結ばれてくれた方がよっぽど良いわよ」
それは私だって同じ気持ちだ。
あんな女さえいなければ、病気のフリをする頻度も少なくて済んでいたのだから。
「良いこと? お父様と使用人には、ハーベストのことを愛していることだけは伏せておくのよ。もちろんハーベストには絶対に言わないように私からも言い聞かせるわ」
「では動機はどうしたら……」
「お父様の気を引きたかったで良いんじゃないかしら。シャロンちゃんのこと溺愛していたし。でもシャロンちゃんに変なことしてこないか心配ね……」
それはそれで別に良いと思ってしまっていることは言えなかった。
「まずはここから出ましょう。さっきから変な虫も壁に止まったままだし気持ち悪いものね」
お母様が指差す方向を向くと、指のサイズくらいの変な虫が壁に止まっていた。
見たこともない変な虫だ……病院なのに、こんな害虫を進入させてしまって良いのかしら。
「気がつきませんでした……どうやって出るのですか?」
「さっきから警備もないし、人通りもいないでしょう? だから、こっそり出てしまいましょ! 後で文句言われても、診療まで待たせすぎで頭にきたとでも言っておけば」
「さすがお母様ですわ!」
私たちは、警備が手薄なうちに脱出した。
大急ぎで家に帰り、お父様と使用人には今回のこと、そして仮病だったことまで正直に話した。
まずは大至急、調査期間に依頼していたお酒の件をキャンセルしてもらう。
お父様にこっ酷く叱られてしまったが、なんとか味方につけた。
これで、もしかしたら義兄様と念願の結婚が叶うかもしれない。
「私、今は病気じゃないんです。病気のフリをしている時、義兄様が心配して側にいてくれるのが嬉しくて……」
「……じゃあ、あのお酒もシャロンちゃん、あなたが仕組んだというの……?」
「はい……アルコールが入ってしまえば健康診断がなくなって、今の生活が続けられると思って……」
全てを話して、お母様の力を借りて罪をなるべく軽くしてもらうしか方法がない。
お母様はしばらく黙ったままだ。当然か。こんな犯罪を犯しているような娘のカミングアウトを聞いてしまえば私のことを見る目だってきっと……。
「かわいそうにシャロンちゃん……こんなに思い詰めていたのね……」
「え!?」
「大丈夫よ……シャロンちゃんはお母さんが守わよ。このままじゃシャロンちゃん、捕まってしまうもの……私の大事な娘にそんなことさせないわ」
「お母様……」
まさかの全面協力してくれるというの……? 話してよかった……私のお母様は世界一よ。
「それに、ハーベストのことが好きで、愛しているからやったことなのよね?」
「はい……それは誓って嘘ではありません」
「ならばお父様と使用人にだけは教えましょう」
「そ……そんな……」
私の愛する人を公開してしまって恥ずかしい気持ちと、怒られてしまうんじゃないかという恐さが同時にのしかかってくる。むしろ自首しろと言われてしまうんじゃないだろうか。
「これはきっとチャンスよ。私としては、ゴチャゴチャうるさいゴミみたいな女とハーベストが結婚するよりも、シャロンちゃんと結ばれてくれた方がよっぽど良いわよ」
それは私だって同じ気持ちだ。
あんな女さえいなければ、病気のフリをする頻度も少なくて済んでいたのだから。
「良いこと? お父様と使用人には、ハーベストのことを愛していることだけは伏せておくのよ。もちろんハーベストには絶対に言わないように私からも言い聞かせるわ」
「では動機はどうしたら……」
「お父様の気を引きたかったで良いんじゃないかしら。シャロンちゃんのこと溺愛していたし。でもシャロンちゃんに変なことしてこないか心配ね……」
それはそれで別に良いと思ってしまっていることは言えなかった。
「まずはここから出ましょう。さっきから変な虫も壁に止まったままだし気持ち悪いものね」
お母様が指差す方向を向くと、指のサイズくらいの変な虫が壁に止まっていた。
見たこともない変な虫だ……病院なのに、こんな害虫を進入させてしまって良いのかしら。
「気がつきませんでした……どうやって出るのですか?」
「さっきから警備もないし、人通りもいないでしょう? だから、こっそり出てしまいましょ! 後で文句言われても、診療まで待たせすぎで頭にきたとでも言っておけば」
「さすがお母様ですわ!」
私たちは、警備が手薄なうちに脱出した。
大急ぎで家に帰り、お父様と使用人には今回のこと、そして仮病だったことまで正直に話した。
まずは大至急、調査期間に依頼していたお酒の件をキャンセルしてもらう。
お父様にこっ酷く叱られてしまったが、なんとか味方につけた。
これで、もしかしたら義兄様と念願の結婚が叶うかもしれない。
95
あなたにおすすめの小説
姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話
【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます
コトミ
恋愛
セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。
「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」
困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
【完結】何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので魔法で言えないようにしてみた
堀 和三盆
恋愛
「ずるいですわ、ずるいですわ、お義姉様ばかり! 私も伯爵家の人間になったのだから、そんな素敵な髪留めが欲しいです!」
ドレス、靴、カバン等の値の張る物から、婚約者からの贈り物まで。義妹は気に入ったものがあれば、何でも『ずるい、ずるい』と言って私から奪っていく。
どうしてこうなったかと言えば……まあ、貴族の中では珍しくもない。後妻の連れ子とのアレコレだ。お父様に相談しても「いいから『ずるい』と言われたら義妹に譲ってあげなさい」と、話にならない。仕方なく義妹の欲しがるものは渡しているが、いい加減それも面倒になってきた。
――何でも欲しがる義妹が『ずるい』とうるさいので。
ここは手っ取り早く魔法使いに頼んで。
義妹が『ずるい』と言えないように魔法をかけてもらうことにした。
妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる
ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。
でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。
しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。
「すまん、別れてくれ」
「私の方が好きなんですって? お姉さま」
「お前はもういらない」
様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。
それは終わりであり始まりだった。
路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。
「なんだ? この可愛い……女性は?」
私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
婚約破棄をされ、谷に落ちた女は聖獣の血を引く
基本二度寝
恋愛
「不憫に思って平民のお前を召し上げてやったのにな!」
王太子は女を突き飛ばした。
「その恩も忘れて、お前は何をした!」
突き飛ばされた女を、王太子の護衛の男が走り寄り支える。
その姿に王太子は更に苛立った。
「貴様との婚約は破棄する!私に魅了の力を使って城に召し上げさせたこと、私と婚約させたこと、貴様の好き勝手になどさせるか!」
「ソル…?」
「平民がっ馴れ馴れしく私の愛称を呼ぶなっ!」
王太子の怒声にはらはらと女は涙をこぼした。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる