勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁

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2章

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大聖堂の奥に位置する円形の魔法陣の上に、私は立っていた。

「え?」

わっと歓声が上がった。おそらく喜んでいる。
しかし、私はそれどころではなかった。
会社帰りの電車から、一瞬で違う場所にいると気づいた瞬間、視界がぼやけるような感覚がした。頭は冷え、腕には鳥肌が立ち、わけもわからず二の腕をさすりながら、周りに耳を傾けることもできず、ただただ目の前の魔法陣を見つめていた。魔法陣は、不思議な模様と神秘的な色彩に包まれており、まるでこの世界に来た私を歓迎しているような感覚を与えていた。

私は最初、自分が異世界に召喚されたことを現実として受け止められなかった。ただ、聖堂の中で呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

「聖女が召喚されたぞ!私たちは成功したのだ」
「儀式は完璧だった。魔法陣はうまく機能したようだ」
「マリアンヌ様が残してくださった聖杯のおかげだ。おかげで、もうわずかしか魔力はないが」
「構わんさ。あの娘に今度は注いでもらえばいい」
「あの娘、とても強い魔力を持っているようだ。聖女として育て上げるのにふさわしい」
「確かに。強い力を感じる。心配することはない。この儀式が失敗しなかった。それだけで聖女としての適性は十分にあるだろう」
「陛下が喜ぶ。期待に応えることができてよかった」
「それにしても、今回の召喚は特別だ。あの魔法陣は、かなりのエネルギーを必要としたはずだ」
「聖杯を使った甲斐があった」

呆然としている私の様子は、目に入らないらしい。
ファンタジー映画か少し昔のゲームに出てきそうな神官らしき白い装束と長細い帽子をかぶった男たちといかにもな三角の帽子と黒いローブを羽織った魔法使いのような男たちは、口々に興奮して叫びあっている。
そんな彼らの姿を見て、私は改めて、自分が立つ空間を見渡した。
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