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「す、すごいわ…」
私たちが住んでいる国は、世界で一番素晴らしくて大きいのだと先生は言っていたから、あまり期待はしていなかったのだけど、隣国は、想像をはるかに超えていた。規模がまるで違う。
これが神に愛された国なのね。私の国とはまるで違うわ。
…だから、教科書には地図がのっていなかったのね。
私の国は、もしかして世界を見渡してみたら、小さな国だったのかもしれない。
これが、井の中の蛙大海を知らずというものなのかしら。
蛙は、海の中では生きられない。私は、大丈夫かしら。
こんな…こんな大きな国で、やっていけるのかな。
私の心配をよそに馬車は、静かに地上に降りていく。
その馬車を迎えるように女の人が立っていた。真っ白なヴェールを被っている姿は、一見すると花嫁のようにも見える。
馬車を下りた私たちを見て、女性がにっこりと笑った。
「エミリア様。お待ちしておりました」
「は、はい…」
頭を下げてくる女性にならい、私も頭を下げる。
「神託がございましたので、貴方を歓迎いたします。長旅でお疲れでしょう。どうぞ、貴方の家にご案内いたします」
「私の家っ!?」
「はい。貴方に仕事と家をご用意するようにと言われておりますので」
「… … …」
私は、困り果てて、ポッドを見つめる。
「どうした?何か問題でも?」
「その家に住んでいる人と私上手くやっていけるかな?」
「ご安心ください。あなた一人…いえ、貴方とポッド様だけの家ですから、他の人のことを気にする必要はありません」
「そうですか…それはよか…わたしとポッドだけ?」
「はい」
「一人暮らしに必要な知識もやり方も問題ないだろ?料理は俺がしてもいいし…」
そういう問題じゃなくて…あぁ、でも、もしかしたら家と言ってもボロボロの小屋かもしれないし、心配しなくてもいいのかも。
…と思っていたこともありました。
私の目の前には、立派な一軒家がたっていた。
妖精と人間の娘一人が住まうには、立派過ぎるくらいな。
「こ、ここここれが私の家っ!?…ですか!?」
驚きすぎて、一瞬敬語が抜けてしまうくらいには、衝撃だ。
「はい。…あ、もしかして、ご不満でもありましたか?外装が気に入らないとか」
「ち、違います違います違います」
「中もご覧ください。家具などは、簡単にこちらで見繕ってみましたが、エミリア様のご趣味に反しているとあれば、取り替えますので」
「そ、そんな…」
「エミリア。さっそく中を見てみよう!」
「ぽ、ポッドぉ」
ぴょいと、私の肩からポッドが飛び降りて、家の中に入ってしまう。
「エミリアも早く来いよ~」
家の中からポッドの呑気な声が聞こえてくる。
「もう…」
私は、渋々と気おくれしながら、家の中に入っていった。
私たちが住んでいる国は、世界で一番素晴らしくて大きいのだと先生は言っていたから、あまり期待はしていなかったのだけど、隣国は、想像をはるかに超えていた。規模がまるで違う。
これが神に愛された国なのね。私の国とはまるで違うわ。
…だから、教科書には地図がのっていなかったのね。
私の国は、もしかして世界を見渡してみたら、小さな国だったのかもしれない。
これが、井の中の蛙大海を知らずというものなのかしら。
蛙は、海の中では生きられない。私は、大丈夫かしら。
こんな…こんな大きな国で、やっていけるのかな。
私の心配をよそに馬車は、静かに地上に降りていく。
その馬車を迎えるように女の人が立っていた。真っ白なヴェールを被っている姿は、一見すると花嫁のようにも見える。
馬車を下りた私たちを見て、女性がにっこりと笑った。
「エミリア様。お待ちしておりました」
「は、はい…」
頭を下げてくる女性にならい、私も頭を下げる。
「神託がございましたので、貴方を歓迎いたします。長旅でお疲れでしょう。どうぞ、貴方の家にご案内いたします」
「私の家っ!?」
「はい。貴方に仕事と家をご用意するようにと言われておりますので」
「… … …」
私は、困り果てて、ポッドを見つめる。
「どうした?何か問題でも?」
「その家に住んでいる人と私上手くやっていけるかな?」
「ご安心ください。あなた一人…いえ、貴方とポッド様だけの家ですから、他の人のことを気にする必要はありません」
「そうですか…それはよか…わたしとポッドだけ?」
「はい」
「一人暮らしに必要な知識もやり方も問題ないだろ?料理は俺がしてもいいし…」
そういう問題じゃなくて…あぁ、でも、もしかしたら家と言ってもボロボロの小屋かもしれないし、心配しなくてもいいのかも。
…と思っていたこともありました。
私の目の前には、立派な一軒家がたっていた。
妖精と人間の娘一人が住まうには、立派過ぎるくらいな。
「こ、ここここれが私の家っ!?…ですか!?」
驚きすぎて、一瞬敬語が抜けてしまうくらいには、衝撃だ。
「はい。…あ、もしかして、ご不満でもありましたか?外装が気に入らないとか」
「ち、違います違います違います」
「中もご覧ください。家具などは、簡単にこちらで見繕ってみましたが、エミリア様のご趣味に反しているとあれば、取り替えますので」
「そ、そんな…」
「エミリア。さっそく中を見てみよう!」
「ぽ、ポッドぉ」
ぴょいと、私の肩からポッドが飛び降りて、家の中に入ってしまう。
「エミリアも早く来いよ~」
家の中からポッドの呑気な声が聞こえてくる。
「もう…」
私は、渋々と気おくれしながら、家の中に入っていった。
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