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でも、私、このままじゃいけない気がするの…。

「……ポッド」

パチリと、目が覚めた。
ずいぶんと長い夢を見ていた気がする。
外を見ていると、少しだけ太陽が出ていた。

「起きないと」

ゆっくりと体を起こした。
体が、だるくて重い。
頭なんて、ぼんやりしていて、横になれば、また眠ってしまいそうだ。
生きるのは、面倒で、だるくて、しかたない。

でも、起きないといけない。
このままずっと寝ていても、ポッドは来てくれなかった。
だから、起きて、生きて、行かなくてはいけない。

「ポッド。私、……少し、頑張ってみる」



「エミリア?」
「聖女様。おはようございます」
「エミリアッ!」

聖女様は、私を見た瞬間、信じられないという顔をしていた。
ずっと、聖女様がやってくるまで、家に引きこもっていたのだから、その反応は当然だ。

「よかった!もう、起きて大丈夫なの?」
「はい。ご心配おかけしました」
「よかった…本当に…」
「長いこと、仕事を休んでしまって、申し訳ございません」
「いいのっ!いいのですっ!これから、頑張っていけば!」
「はい。励みます」

ずっと休んでいた私を陰でいうものもいた。
それでも私が、仕事をしていると、やがてその声も気にならなくなってきた。
朝、起きて、仕事をして、また夜に帰って寝る。
それの繰り返し。
私には、次期、聖女としての声も上がっているらしい。
妖精の祝福があったからだろうか。
もしくは、この国には、もともと神様の天啓で招かれた場所だからだろうか。
変わらない日常。
変わったのは、ポッドがそばにいないこと。
でも、私はもう加護をもらっている。
皆と同じ魔法を使うことが出来る。
昔の加護なしで、なにも出来なかったころとは違う。

「エミリア。分からないところはありますか?」
「大丈夫です」
「結界を張るのが、上手いわ。きっとあなたなら、どこでもやっていける。もちろん、この国でもね」
「はい。そうだと良いのですが」
「……あなたのお友達が心配?」
「……」
「愚問だったわ。ごめんなさい」
「いえ…すみません」
「どうしてあなたが謝るの?悪いのは、馬鹿な質問をした私よ」
「すみません」
「エミリアは、謝るのが癖になってしまっているのね。…エミリア。もしかしたら、あなたのお友達は、ほかの人のお手伝いをしているのかもしれないわ」
「え?」

ほかの人のお手伝い?
ポッドが、私以外の人の?

「妖精って、サポートしている人が満足したら、ほかの人の手伝いに行くっていうお話があったの。エミリアは、今、幸せ?」
「……はい」
「…幸せなわけないか。お友達がいなくなっちゃったんだから」
「でも、昔よりは、確かに満足している生活をしていると思います」
「そう。…じゃあ、もしかしたら、エミリアには、もう自分は必要ないと思ってしまったのかもしれないわね」
「!…そんなことありません!私には、まだポッドが必要です!」
「ええ。エミリアは、そうかもしれない。でも、そのお友達は?どう思っていたのかしら。…ごめんなさい。私、余計なことばかり言っているのかもしれない」
「いえ。…いえ、そう、なのかもしれません。でも、ポッドは、ずっと一緒にいてくれるって、言ってくれて…でも、ポッドには、ポッドの生活があるから、…だから、きっとこれでよかったんです。私は、確かに今の生活で満足していますから。だから、」

きっとこれでいい。
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