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1章
ライラット王国
しおりを挟むライラット王国、国王スチュワー・アズ・ライラットは困惑していた。
なぜ、こんなことになってしまったのだろうか.........と。
長年敵対関係にあった、デーヴィド帝国に和平を“結んでやる”と言われ、歓喜に溢れていた。
そう......昨日までは.........
王都まで帝国の〝皇族ども〟が、来ているのは知っていたが、リリアン公爵家のソフィア嬢の姿を見て怒り、マニスト公爵家、スクレイ侯爵家、エタレナ侯爵家、ランクス侯爵家の令嬢達を捕らえ、
『この国とは和平を結ぶことはやめる』と言い、この国の宰相ウィリアム・ノア・アレクサンダーと王国一の医師フェリーク・レイランドをつれて帝国へ帰ったとは......
しかも、なぜあの〝忌み子〟を一緒に連れて帰ったのだ?理解ができん。
あれは、もはや生きている意味などないはずなのに......
と、国王は考えていた。
それは、実はライラット王国で、
『瞳の色が違う子は忌み子だ。』としていつからか間違った話が伝えられてきてしまったのが原因でした。
そのため、この国の国王は、国民は、その話を信じ疑わなかったのです。
だが、当時の宰相だけは、薄々気づきはじめていました。
瞳の色が違うのは忌み子ではなく、愛し子の証ではないのかと。
そして、リリアン公爵家に、ソフィアと名付けられた〝瞳の色が異なる少女〟が誕生日した日にそれは確信に変わりました。
その年は、奇妙なことに他に子供が生まれたという知らせは王宮に届けられなかった。
そのうえ、ソフィアが生まれた日から領地は昨年よりも、より豊かになっていたのだ。
まるで、この世界の喜びを表しているかのように。
それでも、誰一人として間違いに気づくことはなかった。
そして、ソフィアにあの家族達が暴言・暴力をふるいはじめた日から次第に、豊かだった土地は不作になったり、土地が荒れるようになっていった。
しかも、それをライラット王国の国民達は、ソフィアという〝忌み子〟が生まれたせいだと信じて疑わなかった。
それでも宰相は、愛し子だと確信を得たため、自分の息子のアレクサンダーによーくいい聞かせ、親友であるスティグノ・レイランドとその息子であるフェリークに言い聞かせていた。
本当は、ライラット王国が、リリアン公爵家が豊かになったのは、この世界が
ソフィア・アメリア・リリアンが生まれたことを心から〝祝福〟していたからだ、ということを.....。
まだ誰も、ライラット王国が世界に見捨てられていることには気づかない。
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