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1章
デーヴィド帝国の国民達
しおりを挟むライラット王国の国民が混乱と不安をいだいている頃、国境を越えた皇帝達一行は、デーヴィド帝国の王都へと向かっていた。
国民達は、その知らせを聞きみな喜んでいた。
普通はそれほど、喜ぶことではないが今回は特別だった。
〝神・精霊・妖精の寵愛を受けた愛し子〟で皇太子様の婚約者で、国民の全てが敬愛するソフィアが帰ってくることが、白龍騎士団の団長ホティス・アルタンによって帝国の国民全てに伝えられたからだ。
帝国に住む国民なら、ソフィアのことを敬愛しない者はいない。
ソフィアが、率先して行った行動を知っているから。
1つ目として、孤児達の保護・教育
2つ目として、内職の紹介
3つ目として、教育方法の一新
4つ目として、食事の改善
などなど、ソフィアは幼いながらも色々な知識をもっていたため、多くの人の生活を豊かなものに変えたので、多くの人に慕われるようになったのだ。
帝国に留学してきて、学びはじめた頃のソフィアは、天才児の才能の鱗片を少しずつ見せていた。
大人でも、難しいだろうと思うこともどんどん吸収し、それを帝国の国民のために役立てていた。幼いソフィアには、それがどれだけ国民の信頼に値するか知らなかっただろう。
なぜならソフィアは、
〝みんなに幸せになってほしい〟という単純な思いからやっていたから......
多くの国民のことを無意識に助けていたからこそ、多くの国民に慕われていた。
「よっしゃ~!もうすぐ、ソフィア様に会える!」と1人の国民が言えば、
「そうだな!私達のお姫様が帰ってくるんだよな。早く会いてぇ!」
「ええ、そうね。元気かしらね、あの可愛い可愛いソフィア様。」
と、1人、また1人と呟いていた。
今、喜んでいる彼らはまだ知らない。
愛しのソフィアが、実の父親と家族に傷つけられて、一生治らない傷を負っていたので皇帝達が連れて帰って来たなんて......
しかも、ライラット王国はそれを黙認し、ソフィアを傷つける側にいたことも。
ソフィアの姿をみて、ライラット王国を滅ぼしたくなるほど怒りに、溢れるなんてまだ誰も、思ってもみなかっただろう。
しばらくして、無事王都に皇帝、皇妃、皇太子、ソフィア、ウィリアム、フェリークを乗せた馬車は到着した。
まだ、彼らも予想はしていなかった。
今のソフィアの姿を見た、神、精霊、妖精がどう思うかを......
愛し子を傷つけられた彼らが、怒りのあまり力を制御出来なくなってしまうことを。
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