寵愛を受けた"元"公爵令嬢は、帝国で本当の幸せを掴む

天音 翔

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1章

アトゥールとティアラ

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 「アル様、アル様!!」
 私の後を、ついて歩くまだ見習いだった頃のティアラ.......

 彼女は、知の女神と能の神の娘ということもあり、プレッシャーもあったはずなのに、次第に才能を開花させていった。
 
 天性の才能だったと言えばいいのだろうか.....とにかく彼女は、凄かった。
 私は、幼いのに多くの才能を持っていて、将来が楽しみだなぁと思っていた。

 だが、それは近くで見ているうちに日に日に違うものになっていった.........

〝私の伴侶になって欲しい、側にいて欲しい〟

 会えば、会うほど気持ちは強くなっていった。

 彼女の才能は凄まじいうえに、顔立ちも美しかったから、多くの神が目につけていた。

 でも私は、ティアラを誰にも渡したくはなかった。 

 どうしても嫌だった.....
 本能が渡してはいけないと、叫んでいた.....

 だから、ティアラが私の〝番〟だと、すぐに気づいた。

 でも、彼女がきちんとした神になるまでこの想いを心に留めておくことにした.........

 この想いが、彼女の迷惑になってはいけないから.....
 
 だけど、彼女はいつの間にか地位をあげ、私の補佐になっていた.....
 
 その次の年には、ティアラは全知全能の神として推薦されていた。
 多くの上位神や、精霊、妖精の推薦があった。

 普通なら、神界のことに精霊や妖精は関わらないのだが、それだけティアラが信頼されていることを教えてくれた。

 それに、長年空席だった全知全能の神がいかに必要とされているか思い知らされた。


 「お久しぶりです、アトゥール様。

 今日から全知全能の神として、再び補佐をさせていただくことになりました。
 知の女神と能の神の娘のティアラです。

 本日から、よろしくお願いいたします。」
 ティアラは、以前よりも美しくなっていた。

 「よろしくね、ティアラ。(可愛いなぁ♡♡ティアラ.....抱きしめたい.....)」

 私のティアラに対する想いは、募るばかりだった.....

 
 ある日、他の女神達がティアラを虐め、暴力をふるっている所を見てしまった。

 その場で、声をかけてしまうと余計に他の女神達を挑発することになることを長年の経験から知っていた私は、先に執務室に行き、ティアラが戻ってくるのを待った。

 「アトゥール様。遅くなりすみません.....
 すぐに、仕事に取りかかりますね。」

 するとティアラは、何もなかったかのように笑顔で振舞っていた.....

 「うん。大丈夫だよ.....」
 何も知らないように装ったが、美しい手には、傷がたくさんできていて、悔しかった.....

 私は、このままではティアラが弱みにつけ込まれ、他の神達に奪われると思ったから、プロポーズをすることに決めた。

 満月の夜、神界の多くの花が咲き誇る庭園にティアラを呼んだ。


 私は、ティアラの前に跪き、指輪を取り出した。

 この指輪は、魔石の女神 ダイアナと鉱石の女神 クリスに頼んで、選んで貰った魔石と鉱石が散りばめられ、加工の神 ガーゴイルと錬金の神 スプリガンに相談し、仕事の邪魔にならくて、ティアラにあった形に仕上げた、世界に1つだけの特別なもの.........

 気に入ってくれるといいんだけど.....

 「ティアラ.....
 私は、これから君だけを愛し続けると誓う。
 だから、私の妻になってください。

 これ以上、私の近くで君が傷つくのを見たくない.........

 でもそれ以上に、俺は、ティアラを他の男に渡したくない!
 君をいや、貴女を俺だけのものにさせてくれませんか?」
 
 「こんな私でよければ、アル様の妻にしてください。
 私も、アル様だけのものになりたいです!

 アル様が、他の女性と結婚するのはぃゃです.....」
 最後、消え入るような声だったが、〝いや〟って聞こえた!!

 もじもじしているティアラも可愛かった。
 私は、思わずティアラを抱きしめた。

 そして、耳元で呟いた.....
 「ありがとう!ティアラ。
 大好き.....愛してる♡♡」

 そういうと、ティアラは顔を赤くそめていた。

 やはりティアラは、可愛い。そう思った。

________


 その後、ティアラの父と母である知の神と能の神には、挨拶をさせていただいた。

 お2人とも、娘の傷のことについて気づいてはいたが、無理に聞いたりはしていなかったらしい。

 (もちろん、あの時の女神達は、アトゥールによって降格処分となっています。)

 ティアラには、あまり後ろ盾がないから、お父様は“全”能の神へ、お母様は“全”知の神へ昇格してもらった。
 
 昇格したお陰か、2人はとても若々しくなったとか、なっていないとか.....


 それから、1ヶ月後.....
 
 私とティアラは、盛大に結婚式をあげた。
 多くの神達が、祝福してくれていた。
 
 ティアラの花嫁衣裳もとっても可愛かった!
 一生忘れられない思い出になった。

 そして、アトゥールとティアラは、あの事件.....反乱が起こるまで幸せに暮らした.....



 _______


 楽しみにしていた読者様もいたかもしれないのですが、結婚式のシーンは、カットさせていただきました.....

 この後、真実編が続くのですが、どんな話が続いて欲しいか、読者の皆様はありますか?

 例として、こんなのを考えています。

 1.ティアラ視点など

 2.アトゥールとティアラの結婚式の詳細など

 3.他の神達視点

など、考えているのですが早めに欲しいお話があったら教えてください(▭-▭)✧

 気軽に感想も送ってくれると嬉しいです!

 これからもよろしくお願いいたします!!

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