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第三章 別離
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しおりを挟むそう今もエルは静かに眠り続けている。
寝顔すらも超絶可愛過ぎる俺達の大切なお姫様。
愛しくも大切なエルが眠り続けて早一週間。
此度は何時まで眠り、そしてどれ程の記憶を失うのだろうか。
ファーレンホルスト家の女児に課せられた呪いとも言えるこの奇病に対し俺は余りにも無力過ぎる。
この世で最も大切な存在が苦しんでいると言うのに、俺は助ける事が出来ない。
エル、君は悲しいくらい何時も何も覚えてはいない。
そして俺を含め皆全てを、俺達は君の代わりに覚えているよ。
君が誕生したあの日からずっとだ。
俺はこの国の第四王子で、三つ子の末っ子として生を受けた。
その二年後に俺の永遠の恋敵でもある叔父のジークが生まれた。
全く前公爵であったシュターデンの祖父母も年甲斐もなくよくやるよって内心思ったものだが、年下の叔父であるジークとは年齢が近いのもあり、長兄のクリス兄上とは別に三つ子で次兄のベルン……って普通にそこは俺達は帝王切開で誕生したからな。
因みに三つ子のベルンとエーベル、俺との時間差なんてものはほぼほぼ存在はしない。
では何故兄弟の順番を決めたかと言えばだ。
所謂足の大きさだったらしい。
普通は母親の胎の中に三人も子がおれば体格差が出て当然。
しかし俺達三つ子は体重から始まり、腹囲や頭囲に至るまで全く同じだったのだよ。
十月十日の間母上も随分お辛かったと今更ながらに思うね。
そこで仕方なく……でもないか。
最後に足の大きさを測定すれば、そこで初めて微妙な誤差が出たらしい。
その瞬間俺達兄妹の順番が決まったと言う訳だ。
三つ子の経緯は正直どうでもいいのだが、このまま2歳年上の長兄のクリス兄上が問題を起こさなければ、将来父上の跡を継ぎ国王となるだろう。
俺達三つ子は言ってみればクリス兄上のスペア。
だが大人しくスペアになってやる心算なんて少しもないな。
俺達は三つ子としてでなく個人として、それぞれ好きな人生を生きていく心算だよ。
とは言え王族、また家族や兄弟としては普通にクリス兄上を尊敬をしているし愛しているからね。
ただし為政者としては――――だ。
人間性までは言わない。
兄上の趣味嗜好は兄弟の中で一番理解が出来ないからな。
先ず俺達三つ子ははっきり言って脳筋だ。
文官は絶対性に合わない。
俺達の中でもとりわけ足が大きかったベルンは好奇心旺盛な男で、冷静なんてものは母上の胎の中へ置いてきたと思う。
おまけに成人前にはギルドマスターとなり、今では世界中を渡り歩く冒険家となっている。
果たして現在はどの国にいるのだろうか。
因みに俺とエーベルは騎士だよ。
兄弟の中で一番愚直で馴染めなエーベルは第一騎士団の団長となり、兄弟の中で一番要領の良い俺は第二騎士団の団長となって今は虎視眈々と総騎士団の団長の椅子を狙っている。
そう要領の良い、甘え上手な末っ子キャラで押し通す心算だったのだが……な。
仲良く本当の兄弟の様に過ごしていた俺達三つ子とジークとの間に微妙な溝……とまでは言わないよ。
俺達の中で変化が生じる切っ掛けとなったのはエル、俺達の大切な従妹姫の誕生が始まりだった。
最初は普通にだな。
エルの百日の祝いの席で初めてジークは彼女と出逢った。
因みに俺達はエルの誕生した時に出逢っていたよ。
俺達四兄弟は皆彼女を歓迎した。
大切な妹姫として。
また一人の愛しい女性として……。
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