【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki

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第四章  指し示される道

9  Sideアーデルトラウト

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 這う這うの体で王都へ戻った私はこれで問題は片付いたのだと、もう全て終わったのだと思い込んでいた。
 
 何故なら相手は……って何も祠を壊して中身を確かめた訳じゃない。
 でもあの話が真実ならば大魔女は間違いなくあの寂れた小さな祠に封印されている。

 だって本人もと言っていたし!!


 今私のいる王都は実家のあるイルクナー領より馬車で三日はかかるくらい遠く離れた場所。
 流石にここにいれば何も問題はない。
 だから私は何も考えず何時もの生活へ戻ればいい。

 今までの様に力のある男達の間を渡り歩き、この均整の取れた豊満な身体を使って金とある程度の出世をすれば……いい。

 そうして好きでもない男と身体を重ね……はぁ、初めて惚れた男ジーク以外は本当にどうでもいいクズ同然な男達。
 
 酒に酔い、臭い息と慾の捌け口に相応しい荒々しくも性急過ぎる愛撫……とも言えないって言うかよ。
 抑々愛情の籠った愛撫ってなんだそれ。

 男は皆獣であって人間ではない。

 小説によく書いてある愛の行為って普通に想像出来ないわ。
 だってヤる事は皆同じだろ。
 要は処女が男を怖がらない為に比較的優しく身体を解せばよ。
 後はモノを突っ込んで好きなだけ、そして気が済むまで、出すモノが出るまで腰を振れば終わりだろうが!!

 大抵のセックスは男本位。
 女を大切に扱う男の方が珍しいと言うか、私はそんなものなんて知らない。
 
 確かに私は処女じゃないしそれなりに回数も重ねている。
 周りもその手の女なのだと思っているから当然マグロではいられないしいる心算もない。
 時には男達の慾が掻き立てられる様に妖艶且つ女からも積極的にセックスを仕掛けなければいけない。

 はっきり言ってアレは一種の運動だ。

 訓練の一環だと、そうお金の貰える訓練だと思えばよ。
 でっぷりテカテカに肥え太った男だろうが、見目はまずまずでも男のモノがチョリソーみたいな細長い……入っている感じがほぼなしなのに、『俺のモノは凄いだろ』ってヤってる最中に自慢気に囁いてくる男のチョリソーを食い千切ってやろうかと考えた事もある。
 若しくは恐ろしい程に、あぁこれで良く三人も子供を仕込めたんだなって思えるくらい短いのもあったな。

 それもこれも――――。

 全てはジークを知るまで。
 正確にはジークと共にいる時間が長くなり、お互いの背中を託せる程に親しくなり……ってあくまでも友情の枠から絶対に出ないけれど!!

 それだけに任務の中不意に頬と頬が触れるのではないかと思うくらいに顔が近づき、その度にどれ程私が胸を高鳴らせても、無垢な乙女の様に頬を染め上げてもジークは清々しいくらいに気が付かない。

 本当に何処までも鈍感野郎。

 これだけいい女が傍にいるって言うのに他の男の様に少しも慾を滲ませる事はない。
 その清々しさに苛立てば何度そのお綺麗なお顔を殴ってやろうかと、可愛さ余って憎さ百倍ではないけれどもよ。
 少しは私の事を異性として見てくれてもいいんじゃないかと思う。
 
 これまで星の数とまでは言わないけれど、それなりに男とは肌を合わせてきたわ。

 だから絶対に退屈な思いはさせない。
 それに私のあそこは締りがいいって評判だもの。
 きっと気持ちいい事間違いなし!!

 何なら何時も別料金でするアレもジーク、あんたならただで、然も何回でも口の中にも出させてあげるしアンタのだったら喜んで一滴残らず美味しそうに飲んでもあげる。
 
 なのに顔を合わせば何時もエルネスティーネ、エルネスティーネって小娘の事ばかり!!

 7歳も年下の、何も知らない……ジークがこれだけあの小娘の事を想っていても当の小娘は直ぐにジークを忘れ何時でもの様に扱うんでしょ。
 
 ジークの想いをずっと踏み躙り、病気か何か知らないけれどそんなの関係はない!!

 惚れた女に自分の事を何時も忘れられてしまうジークの悲惨な気持ちを一切気付かないだなんて、絶対に許せないしって言うかこの私が許さないわよ!!


 一体何様なのよ。
 侯爵令嬢だかお姫様だとかきっと私とは月と鼈な世界で、何の手垢にも塗れる事も無くぬくぬくと、柔らかな真綿に包まれ皆に護られている娘がジークの想い人……か。


 はは、私には絶対に無理。
 そう私の身体と心は既に手垢に塗れているなんてものじゃない。
 抑々誰かに護られた事もないし……まぁ無自覚にちょっとした事で女性扱いをするジークはいるけれどね。
 何気ない仕草って言うか流石は貴公子だわ。

 嫌味のないさり気なさと気遣いが、その一瞬だけ私を娼婦からお姫様へと変わらせてくれる。


 決して手の届かない相手。

 そして私には何よりもなりたいものがある。

 勿論私の望みはジークの隣に立ちたい。
 ただそれは今のアーデルトラウトじゃない。
 慾や手垢に、色々なモノに塗れ穢れきった私ではなく無垢な、そう何物にも穢されてはいない者。

 そう私はエルネスティーネ、あんたになりたい。

 あんたになってジークの隣に立ち、優しく微笑んで貰いたいのよ。
 これより先エルネスティーネが体験するだろう全てを手に入れたい!!
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