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case2:白金恵太様
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この能力を最初に体験したのは、研修中。
オーナーが私の施術で初めて眠った時のことだった。
私も一緒に寝てしまったのかと思うほど一瞬の出来事で、すぐに「自分」の意識に戻ってきた。
今思えば、私の技術が拙かったせいで、オーナーはすぐに目を覚ましてしまったんだと思う。
それからも、オーナーが眠れば同じ場面を観るようになった。
その内に何となく、それがオーナーの『後悔』なんじゃないかなって気付いた。
でも、そのことには触れてはいけないような気がしたし、何より……施術を受けている間、誰にも知られたくない過去を勝手にみられていたとしたら?
そんなの私なら絶対嫌だ。だから、この能力自体、誰にも悟られないようにしようと心に誓った。だってこんなことができるって知られたら、最悪……クビもありえる。
折角見つけた心から熱中できるこの仕事。私は絶対に手放したくなかった。
お店がオープンする頃には、お客様を必ず眠らせることができるようになっていた。だから私はその『過去』を、もれなく全員分みてきた。でも、その過去にああやって『憑依』してしまうのはレアケースで、より強い後悔がある人だけみたいなのだ。
オーナーが私の施術で初めて眠った時のことだった。
私も一緒に寝てしまったのかと思うほど一瞬の出来事で、すぐに「自分」の意識に戻ってきた。
今思えば、私の技術が拙かったせいで、オーナーはすぐに目を覚ましてしまったんだと思う。
それからも、オーナーが眠れば同じ場面を観るようになった。
その内に何となく、それがオーナーの『後悔』なんじゃないかなって気付いた。
でも、そのことには触れてはいけないような気がしたし、何より……施術を受けている間、誰にも知られたくない過去を勝手にみられていたとしたら?
そんなの私なら絶対嫌だ。だから、この能力自体、誰にも悟られないようにしようと心に誓った。だってこんなことができるって知られたら、最悪……クビもありえる。
折角見つけた心から熱中できるこの仕事。私は絶対に手放したくなかった。
お店がオープンする頃には、お客様を必ず眠らせることができるようになっていた。だから私はその『過去』を、もれなく全員分みてきた。でも、その過去にああやって『憑依』してしまうのはレアケースで、より強い後悔がある人だけみたいなのだ。
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