28 / 30
case3:杉原未蕾様
3-1
しおりを挟む
──カチャリ。
至極丁寧にタオルをセットして、大きく深呼吸をしようとしたその時……普通の部屋では聞こえない程の極々小さい音がした。
背後。左斜め後ろ辺りに、いつも通りの気配を感じる。
大場千恵子様は、この店ではまだまだ珍しい「リピーター様」で、施術中毎回必ずその過去に“いける”唯一のお客様だった。
今日の『後悔』は、ここに来る前に通りがかった和菓子屋さんで「水まんじゅうを買っておけば……」というものだった。
──私が大場様の『過去』の中で「今すぐにそれを買うべきだ」と進言したところで、ピピピピッという電子音が響く。
………
……
施術を終えた大場様は、案の定とてもスッキリとした顔をされていて、帰り際に「おすそ分け」と言って、あの水まんじゅうをくれた。よかった。無事に今日も大場様を癒せたみたいで一安心。
それに……ケータが私の施術を覗き見していた事にも、気付かれずに済んだみたいだ。
至極丁寧にタオルをセットして、大きく深呼吸をしようとしたその時……普通の部屋では聞こえない程の極々小さい音がした。
背後。左斜め後ろ辺りに、いつも通りの気配を感じる。
大場千恵子様は、この店ではまだまだ珍しい「リピーター様」で、施術中毎回必ずその過去に“いける”唯一のお客様だった。
今日の『後悔』は、ここに来る前に通りがかった和菓子屋さんで「水まんじゅうを買っておけば……」というものだった。
──私が大場様の『過去』の中で「今すぐにそれを買うべきだ」と進言したところで、ピピピピッという電子音が響く。
………
……
施術を終えた大場様は、案の定とてもスッキリとした顔をされていて、帰り際に「おすそ分け」と言って、あの水まんじゅうをくれた。よかった。無事に今日も大場様を癒せたみたいで一安心。
それに……ケータが私の施術を覗き見していた事にも、気付かれずに済んだみたいだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる