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楽しい情景。
子供が三人で仲睦まじく遊んでいる。
これは私の記憶?
「ロア、レイン、こっちに来て遊びましょー」
「ルルー、そんなところ危ないよー」
ロアが木登りをして、高いところから呼びかけてくる私を注意してきた。
彼女は真面目だから、やんちゃな私にも注意を諭してくれていた。
「ロア、ルルはそないな事言っても辞めへんで!自分も掴まっとき!」
「にゃー!?レインまでぇ」
レインはロアの婚約者で、生まれた頃からいつも一緒だった。
ロアはいつもそうやっても巻き込まれる。
幼い頃宮殿預かりになった私と、伯爵家のレインが企みでやんちゃをすると、いつも一緒になって怒られてくれる。
レインのが私とロアより歳上だから、最終的にレインだけが怒られてるけど。
「うむうむ。二人ともワシが鍛えたかいがありますな!」
「フォッカー、二人を注意してよー」
「子供はそれくらい元気な方がよろしいのですぞロアーナ様」
「もー!なんで今日の護衛はフォッカーなのー」
今は戦時中であり、宮殿とはいえ敵国の間者が紛れ込んでいてもまずいので、伯爵家の嫡男であるカインな第一皇子の婚約者の私には毎日護衛がついていた。
「また木登りしてるのかレイン?」
「ルル姉様!わたくしもお付き合い致します!」
「ディラ辞めとけ、馬鹿共の菌が感染るぞー」
毎日カインとディラは宮殿に遊びに来る。
カインは歴代聖騎士の中でも優秀で、鍛え上げると皇帝陛下の技量を上回るらしい。
「馬鹿って何よ!私達はあんたより優秀なんだから!」
「やる気かルル?受けてたってやらぁ!」
「稲光る雷鳴よ!」
幼い私はまだ無詠唱で魔法ができなかった。
しかしそれでも魔物を狩ってお金を得る為に、上級の雷魔法は覚えていてレオーネを放った。
「レオーネか!そんなの効かないぜ!おらぁ!」
「あー!私のライオンがぁ!」
「喰らえー」
「いたっ!」
カインの聖剣の柄が私のおでこに当たる。
額を抑えて私はうずくまった。
「レディの顔に傷をつけるとは何事よ!」
「お前がレディ~?百年早いぜ魔女さんよ」
「何を~!私が魔女って呼ばれるの嫌いなの知っててそんなこと言うのね!てりゃー」
私は木の上にも関わらず、カインを蹴り飛ばし落とした。
「おわっ!お前木の上で暴れんーーーおわぁぁ」
カインは落ちる瞬間、私とレインの服の裾を掴んだ。
「離していやぁぁー」
「な、ワイまで!?」
三人で木の上から落っこちた。
ロアはフォッカーに優しく木から下ろされていた。
「カイン、自分落ちるなら一人で落ちぃや!」
「そうよ!どうして巻き込まれないといけないのよ!」
「へへっざまぁみやがれ」
私達は泥だらけになった顔を互いに見合った。
とっても変な顔。
「ぷっ」
「「「アハハハ!」」」
誰から笑ったかはわからない。
それでも互いの泥だらけの顔がとてもおかしかった。
「また三人で喧嘩してるの?」
「アハト、今日は早いねんな」
三人で笑いあったり罵り合ったりしてる中、アハトが私達のところに歩いてくる。
とても歳下には見えない雰囲気だ。
シリィが絡まなければ。
「今日はお義母様の調子がよかったの~!」
「そうなんだ。だから今日はシリィを独り占めに出来るんだよぉ」
「シリィはわたしの妹ですのよ!」
「何をするリィナ!俺は第二皇子だぞ!」
シリィの義母は身ごもっており、リィナとシリィで義母の補助をしていた。
本来貴族令嬢はそんなことしないが、義理の姉妹と思えないほど仲の良い二人は、次に生まれてくる下の子を楽しみにしながら母を手伝っていた。
「相変わらず仲がいいなお前ら」
「ほんとよー、シュナイダーも見習ってくれないかしら?」
「ごめん兄上が」
「別に良いわよ。あーあー、私の婚約者もアハトやレインみたいなのが良かったなー」
「いくらルルの頼みでもアハトはあげないよ~」
「レインもあげないよ」
二人とも互いの婚約者にしがみついた。
アハト様はだらしない顔を、カインは照れ臭そうな顔をしてる。
「おいルル!なんで俺の名前はあげねぇんだよ」
「だってカインだし」
「てめぇ!」
「わたくしお姉様のお嫁さんになる!」
「ディラ!私がこの悪虐魔王のカインから貴女を救い出してあげるわ!」
「きゃー!」
「あ、こらテメェ!人の婚約者に手を出すんじゃねぇよ!」
ディラを抱き寄せ自分のだと言わんばかりに舌を出して威嚇してくるカイン。
「俺のだ!」
「私のディラをかーえーしーてー」
「ふふっ、ほんとに君達は仲が良いね」
これが宮殿でのいつもの日常。
アハトとシリィ、レインとロアーナ、カインとディーラのカップルに囲まれながらそれでも私のところに遊びにきてくれていた人達。
「フォッカー団長!」
「どうしたトバル?」
トバルは帝国騎士団副団長であり、よく私達の世話もしてくれていた。
「お、トバルだ。あそぼーぜ」
「カイン、今2人は大事な話をしてるのよ」
「すまないな二人とも」
トバルは膝立ちになり、カインと私の頭を撫でてくれる。
最近は戦場に出向することも多くて会ってなかったけど、目に傷ができた以外特に変わったような様子はなかった。
「お前達は、汚い大人の様にはなるなよ」
その時のトバルの言葉の意味を、幼い私達はまだ理解しては居なかった。
子供が三人で仲睦まじく遊んでいる。
これは私の記憶?
「ロア、レイン、こっちに来て遊びましょー」
「ルルー、そんなところ危ないよー」
ロアが木登りをして、高いところから呼びかけてくる私を注意してきた。
彼女は真面目だから、やんちゃな私にも注意を諭してくれていた。
「ロア、ルルはそないな事言っても辞めへんで!自分も掴まっとき!」
「にゃー!?レインまでぇ」
レインはロアの婚約者で、生まれた頃からいつも一緒だった。
ロアはいつもそうやっても巻き込まれる。
幼い頃宮殿預かりになった私と、伯爵家のレインが企みでやんちゃをすると、いつも一緒になって怒られてくれる。
レインのが私とロアより歳上だから、最終的にレインだけが怒られてるけど。
「うむうむ。二人ともワシが鍛えたかいがありますな!」
「フォッカー、二人を注意してよー」
「子供はそれくらい元気な方がよろしいのですぞロアーナ様」
「もー!なんで今日の護衛はフォッカーなのー」
今は戦時中であり、宮殿とはいえ敵国の間者が紛れ込んでいてもまずいので、伯爵家の嫡男であるカインな第一皇子の婚約者の私には毎日護衛がついていた。
「また木登りしてるのかレイン?」
「ルル姉様!わたくしもお付き合い致します!」
「ディラ辞めとけ、馬鹿共の菌が感染るぞー」
毎日カインとディラは宮殿に遊びに来る。
カインは歴代聖騎士の中でも優秀で、鍛え上げると皇帝陛下の技量を上回るらしい。
「馬鹿って何よ!私達はあんたより優秀なんだから!」
「やる気かルル?受けてたってやらぁ!」
「稲光る雷鳴よ!」
幼い私はまだ無詠唱で魔法ができなかった。
しかしそれでも魔物を狩ってお金を得る為に、上級の雷魔法は覚えていてレオーネを放った。
「レオーネか!そんなの効かないぜ!おらぁ!」
「あー!私のライオンがぁ!」
「喰らえー」
「いたっ!」
カインの聖剣の柄が私のおでこに当たる。
額を抑えて私はうずくまった。
「レディの顔に傷をつけるとは何事よ!」
「お前がレディ~?百年早いぜ魔女さんよ」
「何を~!私が魔女って呼ばれるの嫌いなの知っててそんなこと言うのね!てりゃー」
私は木の上にも関わらず、カインを蹴り飛ばし落とした。
「おわっ!お前木の上で暴れんーーーおわぁぁ」
カインは落ちる瞬間、私とレインの服の裾を掴んだ。
「離していやぁぁー」
「な、ワイまで!?」
三人で木の上から落っこちた。
ロアはフォッカーに優しく木から下ろされていた。
「カイン、自分落ちるなら一人で落ちぃや!」
「そうよ!どうして巻き込まれないといけないのよ!」
「へへっざまぁみやがれ」
私達は泥だらけになった顔を互いに見合った。
とっても変な顔。
「ぷっ」
「「「アハハハ!」」」
誰から笑ったかはわからない。
それでも互いの泥だらけの顔がとてもおかしかった。
「また三人で喧嘩してるの?」
「アハト、今日は早いねんな」
三人で笑いあったり罵り合ったりしてる中、アハトが私達のところに歩いてくる。
とても歳下には見えない雰囲気だ。
シリィが絡まなければ。
「今日はお義母様の調子がよかったの~!」
「そうなんだ。だから今日はシリィを独り占めに出来るんだよぉ」
「シリィはわたしの妹ですのよ!」
「何をするリィナ!俺は第二皇子だぞ!」
シリィの義母は身ごもっており、リィナとシリィで義母の補助をしていた。
本来貴族令嬢はそんなことしないが、義理の姉妹と思えないほど仲の良い二人は、次に生まれてくる下の子を楽しみにしながら母を手伝っていた。
「相変わらず仲がいいなお前ら」
「ほんとよー、シュナイダーも見習ってくれないかしら?」
「ごめん兄上が」
「別に良いわよ。あーあー、私の婚約者もアハトやレインみたいなのが良かったなー」
「いくらルルの頼みでもアハトはあげないよ~」
「レインもあげないよ」
二人とも互いの婚約者にしがみついた。
アハト様はだらしない顔を、カインは照れ臭そうな顔をしてる。
「おいルル!なんで俺の名前はあげねぇんだよ」
「だってカインだし」
「てめぇ!」
「わたくしお姉様のお嫁さんになる!」
「ディラ!私がこの悪虐魔王のカインから貴女を救い出してあげるわ!」
「きゃー!」
「あ、こらテメェ!人の婚約者に手を出すんじゃねぇよ!」
ディラを抱き寄せ自分のだと言わんばかりに舌を出して威嚇してくるカイン。
「俺のだ!」
「私のディラをかーえーしーてー」
「ふふっ、ほんとに君達は仲が良いね」
これが宮殿でのいつもの日常。
アハトとシリィ、レインとロアーナ、カインとディーラのカップルに囲まれながらそれでも私のところに遊びにきてくれていた人達。
「フォッカー団長!」
「どうしたトバル?」
トバルは帝国騎士団副団長であり、よく私達の世話もしてくれていた。
「お、トバルだ。あそぼーぜ」
「カイン、今2人は大事な話をしてるのよ」
「すまないな二人とも」
トバルは膝立ちになり、カインと私の頭を撫でてくれる。
最近は戦場に出向することも多くて会ってなかったけど、目に傷ができた以外特に変わったような様子はなかった。
「お前達は、汚い大人の様にはなるなよ」
その時のトバルの言葉の意味を、幼い私達はまだ理解しては居なかった。
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