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グレンとガウリは事件資料を漁って2日経つ。
しかし二人は2日の徹夜で嫌な気持ちになっていた。
「死者の事件どころか行方不明の事件も起きてないって、んなことあるかよ。逆に不自然だわこんなの」
「それだけ我が国が平和ということだろう」
「あの門番の血は他国の人間から浴びたってのか?」
「そもそも魔装の解析機能が甘かったんじゃないか?」
グレンもそれもあり得ない話ではないと思う自分と、王都では事件は警備が手薄で起きにくいが田舎では起きていると半ば確信を持っていた。
「いや、明らかにおかしいぜ。2年前を境に事件がパッタリと止んで、そして今年から事件の資料はある。事故とかは残ってるのにだ。これは人間社会においてあり得ないんだ。軽犯罪の記録すらないとか、抹消されたとしか思えないだろ」
「結局資料室の資料全てを漁ったが何も出てこなかったしな。二徹はキツいし今日は解散するか?」
「いや、まだやる。それにルルも休息とかでまだ親父のところに行ってないだろうしな」
「ルルシアが?奴はキッチリした性格に見えたが」
「ルルは結構抜けてるとこあるぜ?流石にオリバーには報告しただろうけどな」
グレンの予想は当たっており、ルルシアは正にマリアとパジャマパーティをしている。
それは2日後にお茶会もセットである為、抜けていると言うほどでもなかったが。
「ふむ。誰しも欠点はあるものだ。俺もそろそろ自分の管轄の資料をまとめたいしな。俺は後にする・・・」
「待てガウリ」
「様を付けろテメェ。なんだ!」
「お前の所の資料は乱雑になってたよな!」
「そうだが・・・」
「だったら第三師団の管轄の事件の資料が残ってるかも知れないな!」
「残ってるかもしれんが、第三師団自体厄介師団扱いだ。仕事が回ってきたとは思えんがな」
「だがあんだけ散らかってれば処分し損ねた資料があってもおかしくない!行くぞ!」
「テメェ、人の襟元を引っ張るな!」
グレンとガウリはこれまた腐れ縁で、いつもこの調子で学園を一緒にやんちゃしていた。
ほとんどグレンにガウリが振り回されていただけだったが。
だからこれだけ失礼なことをしてもガウリはキレるだけで処罰をしたりはしない。
いくらイガラシ財閥の御曹司であるグレンでもガウリは公爵令息であり、礼を欠けば処罰されるのだ。
これは二人の仲がかなり深いトコロにあるのを示していた。
「マジで汚ぇなこの部屋」
「お前にまとめてもらった資料整理とは別の手つかずの部屋だからな」
「まぁそんだけ処分出来ない資料も沢山あるって事だろ」
「これで見つかったら俺達の徹夜はなんだったんだってなるがな」
しかしガウリの重いとは裏腹に、グレンが資料の山に手を突っ込んで取りだした1枚目に取った資料が大事件である。
それは二人が見つけたかった、大量殺人で第一発見者がミッドハルド・フォン・ホースだった。
「1枚目で当たりかよ」
「大量殺人か。現場は学園都市の路上で門番の終業後の帰路にもあたるな」
「被害者は五人で全員学生かぁ。ってこれ1年前の事件だし俺らも学生か」
「しかも全員知っている名前だ。これは・・・」
「なんだよ。なんかあるのか?」
「あぁいや。被害者が全員粛正を受けて反省した元貴族達だったからな。まぁあの門番が犯人だとすると、動機はそれか」
ガウリが被害者の名前を確認したことで少なくとも動機は判明した。
しかしこれだけじゃ証拠としては薄い。
「くそぉ、これで検挙しに行ったらそれこそ冤罪もいいところだよな」
「まぁ手がかりがゼロからイチになっただけでも設けものだ」
「でも待てよ。過去2年間の事件の資料を処理したのって、内部に内通者がいないと実行できなくないか?」
「ッ!?あぁ、しかもそれなりの、それこそ師団長レベルじゃないと出来ない。何故なら事件の資料室に入る権限がある人間はオリバー様、いや王族と知己でもない限り師団長くらいだ」
「そして今年になって師団長を辞めた奴っていやぁ、第三師団の前の師団長であるマーティンか」
「奴は学生時代に俺に敗北して以来、立場がなかったらしいからな」
「攻撃魔法が魔装がないと使えないお前に負けるって・・・どんな精神魔法使ったんだ?」
「想像に任せるさ。マーティンは少なくともクロだ。奴が処分した証拠を全て消すなんてまず無理だろう。それくらいの証拠なら、資料を漁るより簡単だ」
「お前のが立場が上だから、記録の開示は可能だろうしな」
「それまで処分は出来ないだろうからな。奴も師団長を追われるとまでは思って居なかっただろう」
「よし、今日は移動ばかりだから、これで一つの手がかりになってくれたら嬉しいぜ」
しかしそう上手く事は運ばない。
資料室は王城にあり、第四師団で暴動が起きていると通達があった。
「ガウリ師団長!ちょうどよかった、報告致します!第四師団内部で暴動がありました。至急馳せ参じてほしく存じます!」
「なに?くそっ、二徹で頭に響くぞこれは」
「しかしながら現在国内には第一師団、第三師団及び第四師団の団長しかおりません!第一師団団長は王妃様の護衛があるため、第三師団団長殿にこの任が舞い下りてきた次第であります」
「いや別に文句を言ったわけではない。案内してくれ」
「はっ!」
そして一兵士の案内で暴動のあった事件現場に向かう二人。
そこには二人がまさに探りを入れようとしていたマーティンの姿があるが二人はまだ知らない。
しかし二人は2日の徹夜で嫌な気持ちになっていた。
「死者の事件どころか行方不明の事件も起きてないって、んなことあるかよ。逆に不自然だわこんなの」
「それだけ我が国が平和ということだろう」
「あの門番の血は他国の人間から浴びたってのか?」
「そもそも魔装の解析機能が甘かったんじゃないか?」
グレンもそれもあり得ない話ではないと思う自分と、王都では事件は警備が手薄で起きにくいが田舎では起きていると半ば確信を持っていた。
「いや、明らかにおかしいぜ。2年前を境に事件がパッタリと止んで、そして今年から事件の資料はある。事故とかは残ってるのにだ。これは人間社会においてあり得ないんだ。軽犯罪の記録すらないとか、抹消されたとしか思えないだろ」
「結局資料室の資料全てを漁ったが何も出てこなかったしな。二徹はキツいし今日は解散するか?」
「いや、まだやる。それにルルも休息とかでまだ親父のところに行ってないだろうしな」
「ルルシアが?奴はキッチリした性格に見えたが」
「ルルは結構抜けてるとこあるぜ?流石にオリバーには報告しただろうけどな」
グレンの予想は当たっており、ルルシアは正にマリアとパジャマパーティをしている。
それは2日後にお茶会もセットである為、抜けていると言うほどでもなかったが。
「ふむ。誰しも欠点はあるものだ。俺もそろそろ自分の管轄の資料をまとめたいしな。俺は後にする・・・」
「待てガウリ」
「様を付けろテメェ。なんだ!」
「お前の所の資料は乱雑になってたよな!」
「そうだが・・・」
「だったら第三師団の管轄の事件の資料が残ってるかも知れないな!」
「残ってるかもしれんが、第三師団自体厄介師団扱いだ。仕事が回ってきたとは思えんがな」
「だがあんだけ散らかってれば処分し損ねた資料があってもおかしくない!行くぞ!」
「テメェ、人の襟元を引っ張るな!」
グレンとガウリはこれまた腐れ縁で、いつもこの調子で学園を一緒にやんちゃしていた。
ほとんどグレンにガウリが振り回されていただけだったが。
だからこれだけ失礼なことをしてもガウリはキレるだけで処罰をしたりはしない。
いくらイガラシ財閥の御曹司であるグレンでもガウリは公爵令息であり、礼を欠けば処罰されるのだ。
これは二人の仲がかなり深いトコロにあるのを示していた。
「マジで汚ぇなこの部屋」
「お前にまとめてもらった資料整理とは別の手つかずの部屋だからな」
「まぁそんだけ処分出来ない資料も沢山あるって事だろ」
「これで見つかったら俺達の徹夜はなんだったんだってなるがな」
しかしガウリの重いとは裏腹に、グレンが資料の山に手を突っ込んで取りだした1枚目に取った資料が大事件である。
それは二人が見つけたかった、大量殺人で第一発見者がミッドハルド・フォン・ホースだった。
「1枚目で当たりかよ」
「大量殺人か。現場は学園都市の路上で門番の終業後の帰路にもあたるな」
「被害者は五人で全員学生かぁ。ってこれ1年前の事件だし俺らも学生か」
「しかも全員知っている名前だ。これは・・・」
「なんだよ。なんかあるのか?」
「あぁいや。被害者が全員粛正を受けて反省した元貴族達だったからな。まぁあの門番が犯人だとすると、動機はそれか」
ガウリが被害者の名前を確認したことで少なくとも動機は判明した。
しかしこれだけじゃ証拠としては薄い。
「くそぉ、これで検挙しに行ったらそれこそ冤罪もいいところだよな」
「まぁ手がかりがゼロからイチになっただけでも設けものだ」
「でも待てよ。過去2年間の事件の資料を処理したのって、内部に内通者がいないと実行できなくないか?」
「ッ!?あぁ、しかもそれなりの、それこそ師団長レベルじゃないと出来ない。何故なら事件の資料室に入る権限がある人間はオリバー様、いや王族と知己でもない限り師団長くらいだ」
「そして今年になって師団長を辞めた奴っていやぁ、第三師団の前の師団長であるマーティンか」
「奴は学生時代に俺に敗北して以来、立場がなかったらしいからな」
「攻撃魔法が魔装がないと使えないお前に負けるって・・・どんな精神魔法使ったんだ?」
「想像に任せるさ。マーティンは少なくともクロだ。奴が処分した証拠を全て消すなんてまず無理だろう。それくらいの証拠なら、資料を漁るより簡単だ」
「お前のが立場が上だから、記録の開示は可能だろうしな」
「それまで処分は出来ないだろうからな。奴も師団長を追われるとまでは思って居なかっただろう」
「よし、今日は移動ばかりだから、これで一つの手がかりになってくれたら嬉しいぜ」
しかしそう上手く事は運ばない。
資料室は王城にあり、第四師団で暴動が起きていると通達があった。
「ガウリ師団長!ちょうどよかった、報告致します!第四師団内部で暴動がありました。至急馳せ参じてほしく存じます!」
「なに?くそっ、二徹で頭に響くぞこれは」
「しかしながら現在国内には第一師団、第三師団及び第四師団の団長しかおりません!第一師団団長は王妃様の護衛があるため、第三師団団長殿にこの任が舞い下りてきた次第であります」
「いや別に文句を言ったわけではない。案内してくれ」
「はっ!」
そして一兵士の案内で暴動のあった事件現場に向かう二人。
そこには二人がまさに探りを入れようとしていたマーティンの姿があるが二人はまだ知らない。
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