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マーラさんをマリア宅に泊めることになった。
マリアには私の感覚で迷惑をかけてしまって申し訳ないわ。
「ルルがマーラさんと話したいと言いだしたときは何かと思いましたわ」
「ごめんマリア、でもあのマーティンって人が様子がおかしかったから」
「あの変態が配属させたから何かあると言うことはないと思いますけど」
「それはそうなんだけど、何て言うか・・・」
『肯定。彼カラ害意ヲ感ジマシタ』
え、ヴァルカンってそんなことまで出来るの?
害意がわかるってすごいわね。
「どうしましたの?」
「ヴァルカンが害意を感じたって」
「進化した魔装はそんなことまで把握できますのね。便利ですわ」
「すいません。私が同席してれば思考を読めましたのに」
「マヤはその力の所為で苦労したんだから、なるべく使わない方向でね」
「はい・・・」
「あ、あの・・・」
マーラだけ蚊帳の外で申し訳ないわね。
彼女は当事者なのに。
「ごめんなさいね。マーティンが貴女を害そうとしていたから、連れて来ちゃったのよ」
「マーティンが!?そんな、彼はかなり優しくしてくれましたのに」
『否。彼ハアノ場ニ居タ全員ヲ害ソウとシテオリマシタ』
「え?」
全員!?
だとするとあの茶会での内容が彼に取っては問題があるってことなのかしら?
「私達全員を害そうと企んでたらしいわ彼」
「ワタクシ達を!?マーティン、彼はもしかして他国のスパイなのかしら?話の内容からするにナンチョウ人民国、または神国の間者」
「可能性は高いわね」
「でも信じられません。あの方はとても親身に私のことを護衛してくださいました」
「間者はそうやって相手を絆させて内部から情報を流すのが役目よ。だから貴女には本当に親身になって護衛を担っていたんでしょうね」
「そんな・・・」
多分彼女は男尊女卑の国で暮らしてて、優しくされれば絆されるのも無理はないわ。
でもオリバー様はどうしてマーティンを配置したのかしら?
「もしかしたらあの変態、マーティンを泳がせていたのではないですの?」
「確かにオリバー様は他人の機敏に誰よりも敏感だものね」
もしそうならオリバー様の作戦の邪魔をしちゃったわね。
「あの変態の思惑はどうあれ、彼がワタクシ達に害意を向けた以上何か言われると言う事はありませんわよ」
「それは事後報告じゃない」
「真面目ですわねー、こんなのはちょちょいと報告すればいいんですのよ!」
「報連相は大事よ」
「聞こえませんわ」
まぁこれを隠したところでどうとかなるわけでもないし、むしろ脅威の深刻さがわかっていいわね。
「ただこの事をどうやってオリバー様に伝えようかしら?」
「マーティンは恐らく今夜動きますわね。証拠隠滅を図るのか、それとも出国するのか」
「私達を排除するって選択もあるわよ」
「それは無理ですわ。マーティンは魔力が少ないんですの」
だからガウリ様でも勝てたとマリアは言うわ。
確かにガウリ様の魔法の多くは援護向きの魔法だわ。
「ルルの魔力量は魔力を扱えないワタクシでも感じ取れるほどの量。まず闘いに持ち込む選択はないですわね」
「猫を被ってたら?」
「それはもうどうしようもありませんわ」
確かに本来なら害意や悪意を感じ取れるアイテムや人が居るだけでも希少だものね。
「マーティンは確か第四師団所属だったはずですわ。連絡しましょうか」
「どうやって連絡するの?」
「第四師団はお母様の妹、叔母様が所属しているのですわ」
そういうとマリアはイヤリングの様なものを取り出した。
これは珍しいタイプだわ。
魔力を充電式の魔導具ね。
「なるほど通信魔導具があるのね」
「そういうことですわ!叔母様にこれで連絡してみますの!」
マリアがそう言うと魔導具の電源が入った。
神秘的な輝きと共に起動される。
ヴァルカンとはまた違うわね。
「もしもし叔母様」
『マリア?どうしたの?今立て込んでるんだけど』
なんだか魔導具から色々な雑音が聞こえて来る。
爆発音だったり、剣の甲高い音だったり色々と。
「あ、なんか取り込み中なら後で掛けますわ」
『大丈夫、手短によろしくね』
「叔母様の部隊のマーティンって居ますでしょう?彼、他国の間者かもしれないんですの」
『なんだって!?』
マリアの叔母さんは驚きと共に信じられない事を告げてきた。
『今、まさにマーティンが裏切り戦闘が始まっているわ!マーティンの不意打ちで師団長は重傷を負ってるの』
驚きを隠せなかった。
マーティンが実行に移すのがこんなにも早い上に一番考えられない戦闘を開始したって事に。
それになんであの場で暴れなかったのか。
師団で暴れる方が証拠隠滅を図るのにはよう難易度が高いじゃないの。
「叔母様、増援は?」
『マリアは魔法が使えないじゃない。彼は魔導具を使ってるからバンバン撃ってくるわよ』
「ここに帝国の稲妻、ルルが居ますわ。ルルを増援に向かわせても?」
マリア、叔母さんがピンチで落ち着いてないわね。
普段彼女は私に対して事後承諾なんてしないのに。
『稲妻ってあの?そうね、彼女の魔力量は王国の中でもトップクラスに入るって聞いたわね』
そう言った矢先に魔導具の通信が切れた。
魔力の輝きが消えてないところを見るに、向こうの魔導具が壊れたのだろう。
「お願いしますわルル!叔母様を助けて!」
「わかってるわよ」
私はヴァルカンを手に握り、第四師団のいる現場へと向かった。
マリアには私の感覚で迷惑をかけてしまって申し訳ないわ。
「ルルがマーラさんと話したいと言いだしたときは何かと思いましたわ」
「ごめんマリア、でもあのマーティンって人が様子がおかしかったから」
「あの変態が配属させたから何かあると言うことはないと思いますけど」
「それはそうなんだけど、何て言うか・・・」
『肯定。彼カラ害意ヲ感ジマシタ』
え、ヴァルカンってそんなことまで出来るの?
害意がわかるってすごいわね。
「どうしましたの?」
「ヴァルカンが害意を感じたって」
「進化した魔装はそんなことまで把握できますのね。便利ですわ」
「すいません。私が同席してれば思考を読めましたのに」
「マヤはその力の所為で苦労したんだから、なるべく使わない方向でね」
「はい・・・」
「あ、あの・・・」
マーラだけ蚊帳の外で申し訳ないわね。
彼女は当事者なのに。
「ごめんなさいね。マーティンが貴女を害そうとしていたから、連れて来ちゃったのよ」
「マーティンが!?そんな、彼はかなり優しくしてくれましたのに」
『否。彼ハアノ場ニ居タ全員ヲ害ソウとシテオリマシタ』
「え?」
全員!?
だとするとあの茶会での内容が彼に取っては問題があるってことなのかしら?
「私達全員を害そうと企んでたらしいわ彼」
「ワタクシ達を!?マーティン、彼はもしかして他国のスパイなのかしら?話の内容からするにナンチョウ人民国、または神国の間者」
「可能性は高いわね」
「でも信じられません。あの方はとても親身に私のことを護衛してくださいました」
「間者はそうやって相手を絆させて内部から情報を流すのが役目よ。だから貴女には本当に親身になって護衛を担っていたんでしょうね」
「そんな・・・」
多分彼女は男尊女卑の国で暮らしてて、優しくされれば絆されるのも無理はないわ。
でもオリバー様はどうしてマーティンを配置したのかしら?
「もしかしたらあの変態、マーティンを泳がせていたのではないですの?」
「確かにオリバー様は他人の機敏に誰よりも敏感だものね」
もしそうならオリバー様の作戦の邪魔をしちゃったわね。
「あの変態の思惑はどうあれ、彼がワタクシ達に害意を向けた以上何か言われると言う事はありませんわよ」
「それは事後報告じゃない」
「真面目ですわねー、こんなのはちょちょいと報告すればいいんですのよ!」
「報連相は大事よ」
「聞こえませんわ」
まぁこれを隠したところでどうとかなるわけでもないし、むしろ脅威の深刻さがわかっていいわね。
「ただこの事をどうやってオリバー様に伝えようかしら?」
「マーティンは恐らく今夜動きますわね。証拠隠滅を図るのか、それとも出国するのか」
「私達を排除するって選択もあるわよ」
「それは無理ですわ。マーティンは魔力が少ないんですの」
だからガウリ様でも勝てたとマリアは言うわ。
確かにガウリ様の魔法の多くは援護向きの魔法だわ。
「ルルの魔力量は魔力を扱えないワタクシでも感じ取れるほどの量。まず闘いに持ち込む選択はないですわね」
「猫を被ってたら?」
「それはもうどうしようもありませんわ」
確かに本来なら害意や悪意を感じ取れるアイテムや人が居るだけでも希少だものね。
「マーティンは確か第四師団所属だったはずですわ。連絡しましょうか」
「どうやって連絡するの?」
「第四師団はお母様の妹、叔母様が所属しているのですわ」
そういうとマリアはイヤリングの様なものを取り出した。
これは珍しいタイプだわ。
魔力を充電式の魔導具ね。
「なるほど通信魔導具があるのね」
「そういうことですわ!叔母様にこれで連絡してみますの!」
マリアがそう言うと魔導具の電源が入った。
神秘的な輝きと共に起動される。
ヴァルカンとはまた違うわね。
「もしもし叔母様」
『マリア?どうしたの?今立て込んでるんだけど』
なんだか魔導具から色々な雑音が聞こえて来る。
爆発音だったり、剣の甲高い音だったり色々と。
「あ、なんか取り込み中なら後で掛けますわ」
『大丈夫、手短によろしくね』
「叔母様の部隊のマーティンって居ますでしょう?彼、他国の間者かもしれないんですの」
『なんだって!?』
マリアの叔母さんは驚きと共に信じられない事を告げてきた。
『今、まさにマーティンが裏切り戦闘が始まっているわ!マーティンの不意打ちで師団長は重傷を負ってるの』
驚きを隠せなかった。
マーティンが実行に移すのがこんなにも早い上に一番考えられない戦闘を開始したって事に。
それになんであの場で暴れなかったのか。
師団で暴れる方が証拠隠滅を図るのにはよう難易度が高いじゃないの。
「叔母様、増援は?」
『マリアは魔法が使えないじゃない。彼は魔導具を使ってるからバンバン撃ってくるわよ』
「ここに帝国の稲妻、ルルが居ますわ。ルルを増援に向かわせても?」
マリア、叔母さんがピンチで落ち着いてないわね。
普段彼女は私に対して事後承諾なんてしないのに。
『稲妻ってあの?そうね、彼女の魔力量は王国の中でもトップクラスに入るって聞いたわね』
そう言った矢先に魔導具の通信が切れた。
魔力の輝きが消えてないところを見るに、向こうの魔導具が壊れたのだろう。
「お願いしますわルル!叔母様を助けて!」
「わかってるわよ」
私はヴァルカンを手に握り、第四師団のいる現場へと向かった。
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