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私は状況説明と避難誘導をしてもらう為にイガラシ邸に向かった。
この家も久しぶりだわ。
グレン個人の邸宅で暮らしてるわけだし。
まぁ帰国してからずっとマリアの家に居たんだけど。
「ふむ。有事と言うことなら、ゴルド」
「はっ、マシバ様」
彼がマシバ様の護衛であるゴルドさん。
話には聞いてたけど初めて見た。
想像より細いし、ゴツゴツもしてない。
「聞いたな。マーティンとやら、貴様は倒せそうか?」
「抜かりなく」
「そうか。じゃあいけ。グレンに遅れを取るなよ」
「御意」
そこまでは求めてなかったけど、でも戦力が多いに越したことはないわよね。
「避難誘導はイガラシ財閥の商会長達に頼もう。その方が円滑に進むだろう」
「それもそうですね。色々と助かります」
「我が国の危機だ。当然のことをしたまで。それにしてもこれはただの謀反なのか?」
「と言うと?」
「君の話を聞く限り、何か裏に誰かがいるとしか思えないのだよ。それが神国かナンチョウ人民国かはわからないがね」
「それはほぼ確実でしょう。しかし後ろ盾が片方だけとは限りません」
「両国が居る可能性もあるか。まぁゴルドが捕まえてくれるはずだ。あとは任せて大丈夫だろう」
マシバ様がそれだけ信頼しているって事はかなりの実力者なのね。
確かゴルドさんはグンジョーのお父さんと聞いているわ。
彼も精霊魔法使いなのかしら?
「そう言えばこの紙をマシバ様に渡すように言われてたのですが」
「ふむ、どれだ」
私はグレンから渡されたゴールドマリーが置いていった紙をマシバ様に渡した。
マシバ様がその紙を見ると大きく目を見開いた。
やっぱり読めるのね。
「驚いた。これは誰が書いたのだ?」
「帝国のゴールドマリー・・・聖女です」
「聖女がこの字の紙を渡してきたのか。彼女は何て言ってたんだ?」
私も詳しく聞いたわけじゃ無いからどう答えるか迷っていると、室内にペタペタと這いずってくる音がする。
何事かと思ったら、女の人が首輪を付けてる。
でもドレス着てるわ。
一体どんなプレイ?
「はぁはぁ・・・わんっ!」
「なに?」
「その紙を渡してきた彼女は、あなたがその紙について何か知ってるって聞いたのよ」
「ヒスイ!」
ヒスイさんだったんだ。
でもその鎖繋がれてる女性のインパクトが強すぎて、言葉が出てこなかった。
「いくらお前でも流石にそれはやり過ぎだ・・・」
「いいじゃない。彼女は自ら望んでやってるんだ」
「だからってこの国の王妃を・・・」
お・・う・・ひ?
私ちょっと疲れてるのかしら?
そこの犬のように扱われて頬を紅く染める女性が王妃!?
「えぇえええええ!?」
「傲慢さは見る影もなくなったわ」
「王妃の気品も見る影もなくなったがな!」
そうよ、マシバ様もっと言ってあげて。
頭抱えたくなるわよこんなの。
「細かい男は嫌いよ」
「そうだな。問題ないな」
マシバ様ぁ・・・
頼みの綱は落ちてしまった。
この情態でもオリバー様は喜びそうで怖いわよね。
「それでその聖女が私なら知ってるとそう言ったのだな」
「えぇ、彼女は他にも色々語っていたのよ」
ヒスイさんは、ゴールドマリーとヒスイさんが対峙したときのやりとりを全て話してくれた。
それにしても、ヒスイさんが殺気で撤退を選択したなんて信じられないわ。
「なるほどな。そのゴールドマリーと言う少女は恐らく勇者だろう」
「勇者?」
「勇者ってなんですか?」
「魔獣達の王である魔王を殺すために呼ばれた人達のことを指すのだ。過去には平気で異界から勇者を召喚していたんだ。そこで出てきた者達総じて勇者と呼ぶ」
「魔王に勇者。初めて聞いた名前だわ」
「現在は異世界人とも言われてる。イガラシ財閥の先祖もその異世界から来ていると」
驚いた。
だったら紙に書かれているのはまさか。
「ここにはイガラシと一番上の文字が五、二番目が十、そして最後の文字が嵐と書くそうだ」
「ごじゅうあらしでイガラシと読むのね」
「ではゴールドマリーも?」
「さぁな。しかしヒスイが聞いた例え話が事実だとすれば、彼女は被害者と言うことになるな」
彼女が被害者?
認めたくない事実と、マシバ様がそのことにたどり着いたと言うことは事実である可能性が高いと言うこと。
「まぁお前達が気にすることではないんじゃないか?それよりも、今はこの国内の問題だろう」
「それもそうね。あ、あたしは王妃の護衛があるし、ゴルドが離れたからこの人も守らないといけないから頼んだわよルルシアちゃん」
「そ、そうですね・・・」
気になることは多々あるけど、二人が動けないんだから私は早く現場に戻った方がいいわよね。
それに避難誘導がうまくいってなかったらそれのサポートもしないといけないもの。
「グレンをよろしく頼むわルルシアちゃん!」
「わかりました。二人とも気を付けて」
「あぁ、避難誘導は任せてもらおう」
取りあえずは国民の避難はすぐに出来そうね。
何処に避難誘導するのかはわからないけど。
「お任せしました。では私は行きます」
ひとまずは置いておこう。
まずはマーティンよ。
この家も久しぶりだわ。
グレン個人の邸宅で暮らしてるわけだし。
まぁ帰国してからずっとマリアの家に居たんだけど。
「ふむ。有事と言うことなら、ゴルド」
「はっ、マシバ様」
彼がマシバ様の護衛であるゴルドさん。
話には聞いてたけど初めて見た。
想像より細いし、ゴツゴツもしてない。
「聞いたな。マーティンとやら、貴様は倒せそうか?」
「抜かりなく」
「そうか。じゃあいけ。グレンに遅れを取るなよ」
「御意」
そこまでは求めてなかったけど、でも戦力が多いに越したことはないわよね。
「避難誘導はイガラシ財閥の商会長達に頼もう。その方が円滑に進むだろう」
「それもそうですね。色々と助かります」
「我が国の危機だ。当然のことをしたまで。それにしてもこれはただの謀反なのか?」
「と言うと?」
「君の話を聞く限り、何か裏に誰かがいるとしか思えないのだよ。それが神国かナンチョウ人民国かはわからないがね」
「それはほぼ確実でしょう。しかし後ろ盾が片方だけとは限りません」
「両国が居る可能性もあるか。まぁゴルドが捕まえてくれるはずだ。あとは任せて大丈夫だろう」
マシバ様がそれだけ信頼しているって事はかなりの実力者なのね。
確かゴルドさんはグンジョーのお父さんと聞いているわ。
彼も精霊魔法使いなのかしら?
「そう言えばこの紙をマシバ様に渡すように言われてたのですが」
「ふむ、どれだ」
私はグレンから渡されたゴールドマリーが置いていった紙をマシバ様に渡した。
マシバ様がその紙を見ると大きく目を見開いた。
やっぱり読めるのね。
「驚いた。これは誰が書いたのだ?」
「帝国のゴールドマリー・・・聖女です」
「聖女がこの字の紙を渡してきたのか。彼女は何て言ってたんだ?」
私も詳しく聞いたわけじゃ無いからどう答えるか迷っていると、室内にペタペタと這いずってくる音がする。
何事かと思ったら、女の人が首輪を付けてる。
でもドレス着てるわ。
一体どんなプレイ?
「はぁはぁ・・・わんっ!」
「なに?」
「その紙を渡してきた彼女は、あなたがその紙について何か知ってるって聞いたのよ」
「ヒスイ!」
ヒスイさんだったんだ。
でもその鎖繋がれてる女性のインパクトが強すぎて、言葉が出てこなかった。
「いくらお前でも流石にそれはやり過ぎだ・・・」
「いいじゃない。彼女は自ら望んでやってるんだ」
「だからってこの国の王妃を・・・」
お・・う・・ひ?
私ちょっと疲れてるのかしら?
そこの犬のように扱われて頬を紅く染める女性が王妃!?
「えぇえええええ!?」
「傲慢さは見る影もなくなったわ」
「王妃の気品も見る影もなくなったがな!」
そうよ、マシバ様もっと言ってあげて。
頭抱えたくなるわよこんなの。
「細かい男は嫌いよ」
「そうだな。問題ないな」
マシバ様ぁ・・・
頼みの綱は落ちてしまった。
この情態でもオリバー様は喜びそうで怖いわよね。
「それでその聖女が私なら知ってるとそう言ったのだな」
「えぇ、彼女は他にも色々語っていたのよ」
ヒスイさんは、ゴールドマリーとヒスイさんが対峙したときのやりとりを全て話してくれた。
それにしても、ヒスイさんが殺気で撤退を選択したなんて信じられないわ。
「なるほどな。そのゴールドマリーと言う少女は恐らく勇者だろう」
「勇者?」
「勇者ってなんですか?」
「魔獣達の王である魔王を殺すために呼ばれた人達のことを指すのだ。過去には平気で異界から勇者を召喚していたんだ。そこで出てきた者達総じて勇者と呼ぶ」
「魔王に勇者。初めて聞いた名前だわ」
「現在は異世界人とも言われてる。イガラシ財閥の先祖もその異世界から来ていると」
驚いた。
だったら紙に書かれているのはまさか。
「ここにはイガラシと一番上の文字が五、二番目が十、そして最後の文字が嵐と書くそうだ」
「ごじゅうあらしでイガラシと読むのね」
「ではゴールドマリーも?」
「さぁな。しかしヒスイが聞いた例え話が事実だとすれば、彼女は被害者と言うことになるな」
彼女が被害者?
認めたくない事実と、マシバ様がそのことにたどり着いたと言うことは事実である可能性が高いと言うこと。
「まぁお前達が気にすることではないんじゃないか?それよりも、今はこの国内の問題だろう」
「それもそうね。あ、あたしは王妃の護衛があるし、ゴルドが離れたからこの人も守らないといけないから頼んだわよルルシアちゃん」
「そ、そうですね・・・」
気になることは多々あるけど、二人が動けないんだから私は早く現場に戻った方がいいわよね。
それに避難誘導がうまくいってなかったらそれのサポートもしないといけないもの。
「グレンをよろしく頼むわルルシアちゃん!」
「わかりました。二人とも気を付けて」
「あぁ、避難誘導は任せてもらおう」
取りあえずは国民の避難はすぐに出来そうね。
何処に避難誘導するのかはわからないけど。
「お任せしました。では私は行きます」
ひとまずは置いておこう。
まずはマーティンよ。
応援ありがとうございます!
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