122 / 193
120
しおりを挟む
どうも作者です。
予約更新が本日付けになっていたので急遽朝に投稿しました。
楽しみにされていた方は申し訳ありません
どうぞお楽しみください
----------------------
アハトの猛攻にトバルは気圧されていた。
力は大人であるトバルが上だったが、技量、そして精神面においてアハトはトバルを上回り剣を捌く。
また、ルルシアに剣を弾かれた所為で素手というのも彼にとってはマイナスな方向に向いている。
「トバル、君のことは嫌いじゃないけど、この明確な裏切りは万死に値するよ?皇族として裁かなければ民に示しが付かないんだ」
「皇族だったら護衛を担ってた俺より強いのおかしいでしょう?」
「君の精神面が原因だとっ、思うけど!?」
アハトとトバルだけが闘いを繰り広げてるわけではない。
ルルシアとグイドもまた剣とレイピアがぶつかり合い、火花を散らせていた。
「あんた何者なの?呪法使いかと思いきや、こうして剣も扱えて」
「朕か?朕は朕ですよ?」
「そういうことを言ってんじゃないわよ!」
「ヒステリックですね。貴女の方が有利でしょうに」
「その余裕そうな笑みがむかつくのよ」
激しい剣戟の中での会話だったが、二人とも集中力は切らしてはおらず、ルルシアの猛攻に剣を合わしていた。
「守りの剣じゃ私を貫けないわよ?」
「貫く必要はないです。貴女が朕を貫けなければ、貴女の友人は死ぬのですからね」
「あんま私の友達を舐めないでよ?」
闘いにおいて攻める側と守る側ではどちらが楽かと問われれば、攻める側のが楽だろう。
しかし時間制限付く場合は、攻め側のが厳しくなることがあるだろう。
「舐めてないですよ?適当なだけです」
「テキトーって舐めてるじゃない!」
「言葉とは難しいですね」
「その余裕いつまでもつかしら!」
言葉とは裏腹にルルシアの動きは次第に落ちていく。
彼女の言葉が焦りに変わって、次第に単調に変わっていくからだった。
それは恐ろしく巧妙な話術に乗せられている。
追い詰めているのはルルシア達なのに、あたかも追い詰められているような雰囲気に思わせるその話術。
「くっ!」
「落ち着きなよルル!向こうのペースに乗せられるな」
「ふぅ、そうね。こっちが有利なのは変わりないわ」
「残念ですが、朕達に主らを殺す術はなさそうです。しかしです。君達の友は別の話」
「なに?」
「俺達の友をどうにかしようっての?無理でしょ?そもそも俺達が君達を通すつもりがないんだ」
「勘違いをなさっていますね。先ほど飛ばしたではありませんか」
「先ほど・・・?まさか!?あんたのあの分体動いてるっていうの!?」
「さぁ?どうでしょうね?」
ルルシアがヒューマンで彼らの魔法は全部解除された。
それどころかこれから一時間魔法が使えない。
でも分体が動くとしたら?
もし分体が分体ではなく別の意思で動くとしたら、大けがを負ってるレインたちが危ないということは二人にはわかる。
「カインなら間に合うと思うけどね」
「ふぅ~、そうね。どの道私達が慌てたところで結果は変わらないかぁ」
「あら、薄情なのですね」
「そんなことないさ。こっちはこっちの、あいつらにあいつらの戦いがある。それに自分達こそ心配したほうがいいよ?トバルが足でまといだと思うけど、数的不利をどう対処する気かな?」
「俺を勘定から抜くとは、余裕なのが気に食いませんね」
「だって実際余裕だからね。俺一人十分ーーー」
しかし第二ラウンドはまともに戦えるかわからないほど力だった。
剣と剣がぶつかり拮抗するも、ややアハトが押され気味だった。
「力をまだ隠してたんだ」
「殿下相手に手加減は無用です」
「子供相手に大人げない。あぁ大人げない!」
アハトもアハトで、剣を片手に持ち替えて押し返した。
本来であれば両手で押されていたのを、片手で剣を押し返すなんてありえない話だった。
「はっ?」
「剣術だよ。皇族の剣術は滅多に見れないから覚悟したほうがいいね」
「皇族の剣術・・・」
言葉を聞き瞬きをした次にはトバルの剣は折れていた。
まるで見えなかったのだ。
「なんだいその剣術・・・」
「さぁ、第二ラウンドは仕切り直しだ」
そして冷静になったルルシアの猛攻は、流石のグイドも剣技は慣れていない為焦りの顔を見せていた。
「なるほど、この強さ。圧倒的不利から得た光る道もまた暗く閉ざされるというのですね」
「ごちゃごちゃ言わないで。貴女が大人しく剣を捨てて捕まるなら、矛を収めるわ」
「すると思いますか?」
「しないでしょうね」
しかし今度は剣をぶつけ合うたびにグイドの方が押され気味になってきていた。
そして次には、剣が二つに裂け地面へと突き刺さった。
ルルシアはグイドに剣を向けて、彼女は両手を挙げている。
「強いですね。まさか剣先から真っ二つにするとは思いもよりませんでした」
「冗談が上手だわ。剣がこんなきれいに真っ二つにならないわよ。剣である以上鉄なんだし、鉄はバリのようにくね曲がる」
「驚きました。まぁだとしても貴女には適わないですね」
「そんな顔はしてないわよ?」
「ばぁ」
グイドは舌を大きく外に出した。
それは丸薬のような小さな錠剤だった。
「貴女まさか!?」
「自殺ですが、ただでは死にません。魔法を使えない貴女達にこれは防げますか?」
次の瞬間グイドは丸薬を噛み砕き、そしてその音と共にあたり一帯が爆発に巻き込まれた。
その爆発での死者は市民も含めて100名以上だった。
予約更新が本日付けになっていたので急遽朝に投稿しました。
楽しみにされていた方は申し訳ありません
どうぞお楽しみください
----------------------
アハトの猛攻にトバルは気圧されていた。
力は大人であるトバルが上だったが、技量、そして精神面においてアハトはトバルを上回り剣を捌く。
また、ルルシアに剣を弾かれた所為で素手というのも彼にとってはマイナスな方向に向いている。
「トバル、君のことは嫌いじゃないけど、この明確な裏切りは万死に値するよ?皇族として裁かなければ民に示しが付かないんだ」
「皇族だったら護衛を担ってた俺より強いのおかしいでしょう?」
「君の精神面が原因だとっ、思うけど!?」
アハトとトバルだけが闘いを繰り広げてるわけではない。
ルルシアとグイドもまた剣とレイピアがぶつかり合い、火花を散らせていた。
「あんた何者なの?呪法使いかと思いきや、こうして剣も扱えて」
「朕か?朕は朕ですよ?」
「そういうことを言ってんじゃないわよ!」
「ヒステリックですね。貴女の方が有利でしょうに」
「その余裕そうな笑みがむかつくのよ」
激しい剣戟の中での会話だったが、二人とも集中力は切らしてはおらず、ルルシアの猛攻に剣を合わしていた。
「守りの剣じゃ私を貫けないわよ?」
「貫く必要はないです。貴女が朕を貫けなければ、貴女の友人は死ぬのですからね」
「あんま私の友達を舐めないでよ?」
闘いにおいて攻める側と守る側ではどちらが楽かと問われれば、攻める側のが楽だろう。
しかし時間制限付く場合は、攻め側のが厳しくなることがあるだろう。
「舐めてないですよ?適当なだけです」
「テキトーって舐めてるじゃない!」
「言葉とは難しいですね」
「その余裕いつまでもつかしら!」
言葉とは裏腹にルルシアの動きは次第に落ちていく。
彼女の言葉が焦りに変わって、次第に単調に変わっていくからだった。
それは恐ろしく巧妙な話術に乗せられている。
追い詰めているのはルルシア達なのに、あたかも追い詰められているような雰囲気に思わせるその話術。
「くっ!」
「落ち着きなよルル!向こうのペースに乗せられるな」
「ふぅ、そうね。こっちが有利なのは変わりないわ」
「残念ですが、朕達に主らを殺す術はなさそうです。しかしです。君達の友は別の話」
「なに?」
「俺達の友をどうにかしようっての?無理でしょ?そもそも俺達が君達を通すつもりがないんだ」
「勘違いをなさっていますね。先ほど飛ばしたではありませんか」
「先ほど・・・?まさか!?あんたのあの分体動いてるっていうの!?」
「さぁ?どうでしょうね?」
ルルシアがヒューマンで彼らの魔法は全部解除された。
それどころかこれから一時間魔法が使えない。
でも分体が動くとしたら?
もし分体が分体ではなく別の意思で動くとしたら、大けがを負ってるレインたちが危ないということは二人にはわかる。
「カインなら間に合うと思うけどね」
「ふぅ~、そうね。どの道私達が慌てたところで結果は変わらないかぁ」
「あら、薄情なのですね」
「そんなことないさ。こっちはこっちの、あいつらにあいつらの戦いがある。それに自分達こそ心配したほうがいいよ?トバルが足でまといだと思うけど、数的不利をどう対処する気かな?」
「俺を勘定から抜くとは、余裕なのが気に食いませんね」
「だって実際余裕だからね。俺一人十分ーーー」
しかし第二ラウンドはまともに戦えるかわからないほど力だった。
剣と剣がぶつかり拮抗するも、ややアハトが押され気味だった。
「力をまだ隠してたんだ」
「殿下相手に手加減は無用です」
「子供相手に大人げない。あぁ大人げない!」
アハトもアハトで、剣を片手に持ち替えて押し返した。
本来であれば両手で押されていたのを、片手で剣を押し返すなんてありえない話だった。
「はっ?」
「剣術だよ。皇族の剣術は滅多に見れないから覚悟したほうがいいね」
「皇族の剣術・・・」
言葉を聞き瞬きをした次にはトバルの剣は折れていた。
まるで見えなかったのだ。
「なんだいその剣術・・・」
「さぁ、第二ラウンドは仕切り直しだ」
そして冷静になったルルシアの猛攻は、流石のグイドも剣技は慣れていない為焦りの顔を見せていた。
「なるほど、この強さ。圧倒的不利から得た光る道もまた暗く閉ざされるというのですね」
「ごちゃごちゃ言わないで。貴女が大人しく剣を捨てて捕まるなら、矛を収めるわ」
「すると思いますか?」
「しないでしょうね」
しかし今度は剣をぶつけ合うたびにグイドの方が押され気味になってきていた。
そして次には、剣が二つに裂け地面へと突き刺さった。
ルルシアはグイドに剣を向けて、彼女は両手を挙げている。
「強いですね。まさか剣先から真っ二つにするとは思いもよりませんでした」
「冗談が上手だわ。剣がこんなきれいに真っ二つにならないわよ。剣である以上鉄なんだし、鉄はバリのようにくね曲がる」
「驚きました。まぁだとしても貴女には適わないですね」
「そんな顔はしてないわよ?」
「ばぁ」
グイドは舌を大きく外に出した。
それは丸薬のような小さな錠剤だった。
「貴女まさか!?」
「自殺ですが、ただでは死にません。魔法を使えない貴女達にこれは防げますか?」
次の瞬間グイドは丸薬を噛み砕き、そしてその音と共にあたり一帯が爆発に巻き込まれた。
その爆発での死者は市民も含めて100名以上だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
54
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる