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ルルシアとレインはロアーナの葬儀のあと馬車で帰路についていた。
二人が一番ロアーナとは関係が深い仲であり、ルルシアも実家に帰る日であったため思い出を語らいながらルルシアの屋敷へと向かっていた。
「しかしロアがいない生活なんて、ちょっと考えにくいで・・・」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃあらへんけど、少しずつ慣れていくしかない」
「そうね。私も相談事はほとんどロアにしていたから・・・辛いわね」
人との永遠の別れは時間が解決してくれる。
先ほどの友の誓いの時に出した元気をずっと出せていられるかと問われればそれは難しいだろう。
「せやな。しかしまさか仇がこんな近くにいたとは思わなかったで」
「えぇ。でもアハトは大丈夫なのかしら?」
「大丈夫じゃねぇやろな。責任感じてなきゃええが」
シリィが調べた結果、グイドやトバリの行為はある人物が関わっていることがわかった。
それはアハトが責任を感じるような身近な人間だったのだ。
「それにしてもこの馬車・・・なんかおかしくないかしら?」
「ん?ほんまや。どうしてこんな森を通るんや?おい御者のおっちゃん!」
しかし御者が返事をすることはなく、馬に鞭を打ち加速させる。
馬車の速度を上げたことでいよいよ何かが起きてると思い、二人はアイコンタクトでうなずきあい外に飛び出した。
「いっつつ・・・走ってる馬車から飛び降りるのは正気やないなぁ」
「正気の馬車だったら、飛び降りる選択をしてないわよ」
馬車は森の奥へと駆け抜けていき、そして歩みを止めた。
御者はその場で降り立ち、二人の方へとじりじり迫ってくる。
「なんか様子がおかしいな。ルル、剣は?」
「持ってきてるけど、斬る気!?」
「仕方あらへんやろ!」
レインは前方へと大きく飛び出し、御者に剣を振り下ろした。
その剣はほかでもないルルシアが受け止めた。
「なにすんや!」
「まだ敵と決まったわけじゃないわ」
「あほ抜かせ!」
「正解よ。流石は私が見込んだお人形さんだわ」
森の奥から女性の声がした。
その声の主の方を見ると、ルルシアもレインも怒りでどうにかなりそうなほどに殺気を放っている。
「あら、11歳が出す殺気じゃないわね」
「黙れクソババぁ!ここにおるっちゅーことはワイらを消しに来たか?」
「えぇ。貴方に関しては正解よ。貴方は邪魔だもの。グイドがつぶす手筈だったのに、まさか失敗してトバリという駒まで失うなんて、失態もいいとこよ。だから私の駒になってくれるかしらルル?」
「私を来易く愛称で呼ぶなリリノアール!」
それは皇帝代理をしている皇妃リリノアールだった。
リリノアールはトバリを使い帝国に暗躍していた。
彼女の元々の出身はナンチョウの姫であり、帝国には諜報員として嫁いできた。
ナンチョウは男尊女卑のすごい国家であるのは表の姿であり、貴族ではむしろ女の方が権力が強く中でもリリノアールの血筋は代々国家主席に収まるほどだった。
「ふふっ、それでこそね。私が求めていた人材だわ!」
「ロアの仇!」
ルルシアは両手にエンペライオンを発動させる。
即座にそれに合わせて飛び上がるレイン。
二人は何度も手合わせしているため、コンビネーションも完ぺきだった。
「貴女の弱点は知っているの」
リリノアールは御者を引き寄せ盾にした。
するとエンペライオンは軌道を曲げて、御者を避けながら迫っていく。
「あら?」
「そのくらい予想済みよ外道!」
「さすがに一筋縄ではいかないか」
すぐに御者の首をへし折り魔法を展開した。
これと似たような魔法をルルシアは知っている。
「精霊生贄魔法・・・でも精霊じゃなく人間を!?」
「人を犠牲にして行う呪法よ」
レオーネ二体は黒い影のようなものに阻まれ打ち消されてしまった。
そして隙をついて切りつけようとしたレインの剣も黒い何かに呑まれると、呑まれた部分が消滅していた。
「なんやと!?」
「あら、この距離で隙を見せるなんて愚かね」
そのまま黒い影を纏った腕がレインの胸に触れようとしてくる。
剣で腕を斬りおとせば解決なのだが、範囲が短くなっているため斬りおとす間に刺されることを意味している。
「レイン!」
「ルル!」
ルルシアはレインに向かって剣を投げていた。
そしてその剣を受け止め、リリノアールの左腕を斬りおとした。
「へぇ、剣を投げるなんてね。受け止めるほうもどちらもやはり突出してるわ才能が」
「助かったでルル」
「しっかりしてよ。貴方まで死んだらロアに会わす顔がないわ。それにロアの仇を討たないと気が済まなーーー」
「ルル!?」
ルルシアはリリノアールの高速移動に意表を突かれ、頭をわしづかみにされてしまう。
そんなリリノアールの顔を見て、その笑みはとても恐ろしくみえた。
「記憶をすべて塗り替えてあげるわ。大丈夫、新しくなった貴女は私の大事な義理の娘よ」
「馬鹿言わないでくそばばぁ!ライトニングアイテル!」
ライトニングアイテルは精神魔法も弾くことができる。
そのため体内で展開すればあらゆる魅了魔法といった精神干渉系の魔法が利かなかった。
「それも織り込み済みよ」
「え?あ・・ァアアアアアア!」
ルルシアは頭が引っ掻き回されるような気分だった。
ライトニングアイテルは呪法を弾く効果はなかったのだ。
ぐちゃぐちゃにかき回され、記憶が頭から抜け落ち新たな記憶が刻まれていく。
大事な記憶が、するりするりと抜けていき偽りの記憶が埋め尽くす。
「離せやクソアマ!」
「えぇ、ちゃんと離してあげる」
そして記憶がいじられたルルシアは立ち上がり、そしてレインへと魔法を放った。
二人が一番ロアーナとは関係が深い仲であり、ルルシアも実家に帰る日であったため思い出を語らいながらルルシアの屋敷へと向かっていた。
「しかしロアがいない生活なんて、ちょっと考えにくいで・・・」
「大丈夫?」
「大丈夫じゃあらへんけど、少しずつ慣れていくしかない」
「そうね。私も相談事はほとんどロアにしていたから・・・辛いわね」
人との永遠の別れは時間が解決してくれる。
先ほどの友の誓いの時に出した元気をずっと出せていられるかと問われればそれは難しいだろう。
「せやな。しかしまさか仇がこんな近くにいたとは思わなかったで」
「えぇ。でもアハトは大丈夫なのかしら?」
「大丈夫じゃねぇやろな。責任感じてなきゃええが」
シリィが調べた結果、グイドやトバリの行為はある人物が関わっていることがわかった。
それはアハトが責任を感じるような身近な人間だったのだ。
「それにしてもこの馬車・・・なんかおかしくないかしら?」
「ん?ほんまや。どうしてこんな森を通るんや?おい御者のおっちゃん!」
しかし御者が返事をすることはなく、馬に鞭を打ち加速させる。
馬車の速度を上げたことでいよいよ何かが起きてると思い、二人はアイコンタクトでうなずきあい外に飛び出した。
「いっつつ・・・走ってる馬車から飛び降りるのは正気やないなぁ」
「正気の馬車だったら、飛び降りる選択をしてないわよ」
馬車は森の奥へと駆け抜けていき、そして歩みを止めた。
御者はその場で降り立ち、二人の方へとじりじり迫ってくる。
「なんか様子がおかしいな。ルル、剣は?」
「持ってきてるけど、斬る気!?」
「仕方あらへんやろ!」
レインは前方へと大きく飛び出し、御者に剣を振り下ろした。
その剣はほかでもないルルシアが受け止めた。
「なにすんや!」
「まだ敵と決まったわけじゃないわ」
「あほ抜かせ!」
「正解よ。流石は私が見込んだお人形さんだわ」
森の奥から女性の声がした。
その声の主の方を見ると、ルルシアもレインも怒りでどうにかなりそうなほどに殺気を放っている。
「あら、11歳が出す殺気じゃないわね」
「黙れクソババぁ!ここにおるっちゅーことはワイらを消しに来たか?」
「えぇ。貴方に関しては正解よ。貴方は邪魔だもの。グイドがつぶす手筈だったのに、まさか失敗してトバリという駒まで失うなんて、失態もいいとこよ。だから私の駒になってくれるかしらルル?」
「私を来易く愛称で呼ぶなリリノアール!」
それは皇帝代理をしている皇妃リリノアールだった。
リリノアールはトバリを使い帝国に暗躍していた。
彼女の元々の出身はナンチョウの姫であり、帝国には諜報員として嫁いできた。
ナンチョウは男尊女卑のすごい国家であるのは表の姿であり、貴族ではむしろ女の方が権力が強く中でもリリノアールの血筋は代々国家主席に収まるほどだった。
「ふふっ、それでこそね。私が求めていた人材だわ!」
「ロアの仇!」
ルルシアは両手にエンペライオンを発動させる。
即座にそれに合わせて飛び上がるレイン。
二人は何度も手合わせしているため、コンビネーションも完ぺきだった。
「貴女の弱点は知っているの」
リリノアールは御者を引き寄せ盾にした。
するとエンペライオンは軌道を曲げて、御者を避けながら迫っていく。
「あら?」
「そのくらい予想済みよ外道!」
「さすがに一筋縄ではいかないか」
すぐに御者の首をへし折り魔法を展開した。
これと似たような魔法をルルシアは知っている。
「精霊生贄魔法・・・でも精霊じゃなく人間を!?」
「人を犠牲にして行う呪法よ」
レオーネ二体は黒い影のようなものに阻まれ打ち消されてしまった。
そして隙をついて切りつけようとしたレインの剣も黒い何かに呑まれると、呑まれた部分が消滅していた。
「なんやと!?」
「あら、この距離で隙を見せるなんて愚かね」
そのまま黒い影を纏った腕がレインの胸に触れようとしてくる。
剣で腕を斬りおとせば解決なのだが、範囲が短くなっているため斬りおとす間に刺されることを意味している。
「レイン!」
「ルル!」
ルルシアはレインに向かって剣を投げていた。
そしてその剣を受け止め、リリノアールの左腕を斬りおとした。
「へぇ、剣を投げるなんてね。受け止めるほうもどちらもやはり突出してるわ才能が」
「助かったでルル」
「しっかりしてよ。貴方まで死んだらロアに会わす顔がないわ。それにロアの仇を討たないと気が済まなーーー」
「ルル!?」
ルルシアはリリノアールの高速移動に意表を突かれ、頭をわしづかみにされてしまう。
そんなリリノアールの顔を見て、その笑みはとても恐ろしくみえた。
「記憶をすべて塗り替えてあげるわ。大丈夫、新しくなった貴女は私の大事な義理の娘よ」
「馬鹿言わないでくそばばぁ!ライトニングアイテル!」
ライトニングアイテルは精神魔法も弾くことができる。
そのため体内で展開すればあらゆる魅了魔法といった精神干渉系の魔法が利かなかった。
「それも織り込み済みよ」
「え?あ・・ァアアアアアア!」
ルルシアは頭が引っ掻き回されるような気分だった。
ライトニングアイテルは呪法を弾く効果はなかったのだ。
ぐちゃぐちゃにかき回され、記憶が頭から抜け落ち新たな記憶が刻まれていく。
大事な記憶が、するりするりと抜けていき偽りの記憶が埋め尽くす。
「離せやクソアマ!」
「えぇ、ちゃんと離してあげる」
そして記憶がいじられたルルシアは立ち上がり、そしてレインへと魔法を放った。
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