侯爵令嬢は前世で冷酷夫だった皇太子に挿入られている最中に思い出す

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第一章

17 調教

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    「…あ………っふぅ……!!」

    「汚いなぁ…床をよごすなって言ってるだろ?」

    ハニエルは口を塞がれたシャロンが床に垂らした涎を一瞥した後、その身体を複雑に縛る縄を乱暴に引いた。

    「んんんんーーーー!!!」

    ぎちぎちと縄が締まる音がして露にされたシャロンの股に深く食い込んだ。

    「僕は腹が立ってるんだよ。わかるか?」

    荒い縄の表面が柔い秘部を擦る度、シャロンの身体が跳ねる。

    「僕に抱かれたかったんだろう?悪いが僕はお前になんて触れたくもないんだ。だから代わりに用意してあげたよ。」

    そう言うとハニエルは部屋の角で控えていた男二人を呼んで、シャロンの身体に触れるよう命じた。

    「……んっ……んっっ……♡」

    両側から男二人に乳房を舐められシャロンの頬が上気する。

    「ほらね…誰だっていいんだろう?気持ち良さそうな顔しちゃって…。でもアマリールは違う。あいつに無理矢理されて“許して”と叫んでた。なんて可哀想なアマリール…僕が…早く僕が助けてあげないと…。」

    アマリールの美しい身体を思い出してうっとりと遠くを見ているハニエルの横で、身体中に舌を這わされながらシャロンが啼く。
    ごつごつとした四つの手は触手のように乳房の突起を擦り、そして縄の食い込んだ割れ目の周囲をなぞる。

    「んっっ♡んん♡んーっっ♡♡♡」

    「ああそうだ…君達、絶対にその子をイカせちゃ駄目だよ。気が狂うほどお預けして、壊れそうになったら僕を呼んでくれ。」

    男達に言い付けるとハニエルは部屋を出て行った。
    そしてあの日アマリールとドロドロに溶けるまで愛し合ったベッドへ身体を沈めた。

    「アマリール…アマリール…アマリール…!」

    目を閉じれば目蓋の裏に鮮やかに甦る。柔らかな甘い匂いのする肌。僕の初めての恋を叶えてくれた最愛の人。
    ハニエルは自身の昂りにそっと手を添えた。この滾る熱を包んでくれたアマリールの柔らかく蕩ける肉の感触を思い出しながら。

    『ハニエル様…ハニエル様…もっと、もっと愛して…。大好きなの…ハニエル様……。』

    「あぁ!!アマリール……っ!!」

    堪えきれず勢いよく放たれた白く濁る熱い欲がシーツを濡らす。
    
    「…早く…早く助けてあげなきゃ…だってどれくらい愛し合ったと思う?毎日毎日何回君の中に僕の愛を放ったと……。」

    …愛の証が…君の中にいるかもしれない…。

    「アマリール…もう少しだから…もう少しで君を取り戻せるから…待っていて…。」

    隣室から聞こえる絶叫も、今のハニエルには届く事は無かった。



    *****



    「何から話せばいいか……。」

    ルーベルは寝台の上でアマリールを腕に抱きながら、自分達の過去を知りたいと言った彼女にどう伝えようか迷っていた。 
    忘れてしまった記憶を“これが真実だ”と突き付けて認めさせるのが果たして本当に自分達にとっていいことなのかわからなかったからだ。

    「…俺は無理に思い出す必要は無いと思っている。今の俺とお前で歩いて行ければそれで…」

    しかしアマリールは首を振る。

    「知りたいのです。」

    好奇心ではない。知ったから何かが変わるという訳でもない。ただ知らなければならないと思ったのだ。おそらく今生が前世と違っている原因は失われた記憶に関係がある。前世では私と彼が幼少期に共に過ごした事など一度もない。同じ環境、同じ人物、全てが同じ中で唯一違うもの。それが子供の頃の私達だ。
    ルーベルは少しの間考えていたが、やがて口を開いた。

    「…一つずつだ。」

    「一つずつ?」

    「あぁ。今日は一つだけ教える。あとはまた今度な…。」

    何故だろう。何故一つずつなのだろう。
    けれど彼は答えてはくれない。

    「…俺が成人する一年前、この皇太子宮を改築したのは知ってるか?」

    「はい。その最中に皇后陛下のお茶会に呼ばれたのでこの目で見ています。確か…お妃を迎え入れる準備だと聞きましたが…。」

    「確かにそうだが細かく言うと違う。」

    「?」

    「この皇太子宮をその昔厠と間違えた失礼な奴がいた。」

    「厠!?この宮を!?」

    信じられない。こんな煌びやかな宮を厠と間違えるなんて一体どこの馬鹿者なのだ。

    「厠に嫁がせるのは酷だろうと思ってな…直させたんだ。」

    本当に愚かだった。盲目だった。
    もしかしたら記憶が戻っているんじゃないかと…何度婚姻を申し込んでも断られるのはこの宮が悪いのではないかと本気で思ったのだ。




    『…あの…厠はここで合ってますか?』

    美しい少女だった。丸くつぶらな瞳は庭園を飛ぶ美しい小鳥のようで、癖のない艶やかな髪がサラサラと風に揺れるたび、辺りに甘い香りを放っていた。

    『厠!?』

    確かに厠はある。だがメインが厠ではない。皇太子宮のおまけに厠がついているのだ。この女、頭がイカれてるとしか思えない。
    しかしもじもじとしているところを見ると限界間近なのだろう。だがそんなの関係ない。いつもの俺なら放っておいたはずなのに…。

    『こっちだ!』

    身なりからして母上のお茶会に呼ばれたどこぞの令嬢だろう。
    急いで厠に案内すると

    『ありがとうございます。』

    深々と礼をして中へ駆けて行った。
    帰り道は勝手に帰れるだろう。
    俺はそのまま自室へ戻った。

    しかしその一月後だった。
    二度と会うこともないと思っていたあの時の少女は再び俺の前に姿を現したのだ。

    『こんにちは。あの…この前はありがとうございました。』

    『…何しに来た?』

    だが俺の言葉にキョトンとしている。

    『何…って…またお借りしに来たのです。』

    こいつ…本当に俺の宮を厠だと思ってやがる…!!



    「…それからだ。その少女が俺の宮を訪れるようになったのは。」

    「…その少女って…まさか…」

    「幼い頃のお前だ。」

    「えぇ!?」

    何と言う顔をしているのか。
    …本当に何も憶えてないんだな…。

    「今日はここまでだ…。」

    「もう少し教えて下さいルー!ル…んっ…」 

    甘い匂いはあの頃と変わらない。いや、あの頃よりももっと甘くかぐわしくなった。首筋に顔を埋めその甘い香りをいっぱいに吸うと、やり場のないこの心が少しだけ満たされる。

    「見ろ、アマリール。」

    ルーベルは自身の昂りをアマリールの花弁に擦りつける様を見せる。もう何度も交わっているはずなのに、こんなに太く大きいものが自分の中に入っているのだと思うと途端に頬が熱くなる。
    (最初は痛いだけだったけど今は…)
    交わるたびに今まで得たことのない快感がこの身を溶かすようになった。

    「…欲しいか?」

    まただ。最近彼はこんな風に私の口から自分を求める言葉を聞きたがる。叱られた後の子供のような顔で。
    滑らかな先をわざと音を立てるようにして蜜の滴る入り口に擦り、ちゅぽちゅぽと指先ほどの僅かな抽挿を繰り返す。
    私は薄情で淫乱な女なのだろうか。あんなにも大切に想っていたハニエル様。それなのに毎夜この人に抱かれるたび、身体はその体温に馴染み悦びに震えるようになった。

    「俺に抱かれるのは嫌か?」

    いつの間にか嫌じゃなくなっている。諦めたのとは少し違う。
    振り向いて欲しかった。優しくして欲しかった。あなたの子を生み育てたかった。命の終わるその時に手を握っていて欲しかった。
    今度はそれが叶うのだろうか。

    「…アマリール?」

    あの頃…望んだら待っていたのは失望と絶望だった。
    だから怖くて望めない。

    「…ルーの思うようにして下さい。」

    私の返事に彼は仕方なさそうに目を逸らす。

    「でも…嫌じゃない…ルーの事、嫌じゃありません。」

    それを聞いた途端彼は逸らした目を再び私に戻し、見つめ合ったままゆっくりと奥まで挿入ってきた。

    「あ…あぁぁん♡♡」

    もう痛みは感じない。彼の形を覚えた私の中は嬉々としてその昂りを受け入れる。私の口から漏れ出る甘えるような啼き声。切なそうな愛おしそうな、何とも言い難い表情をして彼はずっと私の顔を見つめている。

    「…記憶なんてどうでもいい…。」

    「…ルー?」

    「お前は今俺の側にいる。それだけでもう十分だ。愛してる…愛してるアマリール。」


    “愛してる”
    その夜彼はその言葉を何度も何度も囁いた。
    まるでその言葉の鎖で私を繋ごうとするかのように。

    
    

    

    
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