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SSの置き場
お気に入り100人記念:願望実現の秘訣
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リチャード様との事件の後、公爵家の令嬢としてしっかりしなければ!と気を張っていましたけれど、本当いうとアリステア様の反応が気になって、崩れ落ちそうでしたの。
「お嬢様、西の魔女に相談してみてはいかがですか?」
落ち込んでいるわたくしを見てサラスがいう。
「西の魔女?」
「ええ。願望実現の秘訣を伝授してくれる、恋愛方面で有名な方ですよ?現実的に頑張ることもいいですけれど、恋愛とかそのようなものは色々なことが作用しているといいますから、こういう見えないものに頼るのもいいのではないでしょうか?」
「魔術師のイルーシャじゃだめなの?」
「あの方は人嫌いで、恋愛とは無縁な方ですよ?」
「そうね。でも邪道じゃない?」
わたくしはあくまでアリステア様の純粋な気持ちが欲しいのだ。
「お嬢様のような身分の方では政略結婚がほとんどではないですか。やれる事はやるべきじゃないでしょうか?」
「そうね。試してみることにするわ」
******
数日後、西の魔女の家を訪ねた。わたくしは一旦決断すると行動は早い。
西の魔女の家は薬屋でも魔術師の家のようではなく、何の変哲も無い普通の家だった。
「いらっしゃーい。あなたがレティシアちゃんね?」
目の前にいるのは金髪の色気ムンムンのお姉さん。どう見ても魔女という感じではない。
「サラスから既に話は聞いている。で、あなたの望みは何?」
わたくしの後ろでサラスがにっこりと微笑む。さすが私の侍女、有能だわ。
「わたくしは、一目惚れした運命の相手、アリステア様と一緒になりたいと思っております」
「そう」
普通の庶民というか豪商の家のキッチンでお茶を勧められて、テーブルには美味しそうなお菓子がたくさん置かれている。ほとんどはクッキーやパウンドケーキだが、目についたのはチョコレートケーキ。
「これねえ、今度の新作なの」
「ありがとうございます」
西の魔女は普通の豪商の奥さんという感じで、普通に紅茶を淹れてくれる。セクシーなだけで特に変わったところはない。
「で、そのアリステア様のお嫁さんになることってどれぐらい大切?」
「それは、とても大切ですわ。どんなことがあっても叶えたいぐらい」
わたくしの言葉を聞いて西の魔女は、ケーキを薦めた。
「この中ではこれが特にオススメ!さっどうぞ?」
わたくしは、目の前に出されたチョコレートケーキを見つめた。この国ではカカオが取れないのでチョコレートを使ったお菓子はあまり見ない。見ても王家のお茶会ぐらいだろうか。豪商の家でもこれがあることは滅多にない。わたくしの家でも1年に1度目にするぐらいですもの。
「ありがとうございます」
ケーキを口に入れると甘さが口に広がった。
「とても美味しいですわ」
「そう。よかった。願望実現の秘訣なんだけどね?叶えたいことの想いを下げることが大切なの。絶対!とかそういうエネルギーは重すぎて、逆に叶わなくなるから」
「えっ、そうなんですの?」
「ええ。叶わなくてもどっちでもいいぐらいの軽ーい姿勢が大切なのよ?考えてみて?どうでもいい願望の方がスッと叶ったりしない?例えば、ケーキが食べたいなー、とか思っててすぐにそれが叶うとか?」
「ええ。実は甘いものが欲しいなと今朝思ってたところですわ」
「でも絶対!とかそういう感じゃなって、ふっと思って、別に考え続けたりしなかったでしょう?」
「ええ。することがたくさんあって、忘れてしまいましたわ」
「ねっ?それが秘訣なの。力を入れすぎるとバランスが崩れるの。絶対に手に入れるとか思ってると、とんでもないどんでん返しが起こったりするわ。だからパーっと忘れて、ケーキを食べたり楽しいこと、ワクワクすることをしてればいいわ」
なんとなく、信じられない気がするのはわたくしの執着のせい?それともこの西の魔女が全てにおいて魔女らしくないせいかしら?
「それだけでいいんですの?おまじないとか恋の魔法とかしなくても?」
「そういうのよりも、感じて、手放す。願望を叶えるのはあなたなの。魔法やおまじないではないわ」
「そっ、そうですわね」
「ええ」
「お代は、あなたがこのケーキを広める広告塔になってもらえればいいわ。お茶会や夜会でこのケーキのことを話してもらえれば。近いうちに旦那の商会で売りに出す予定なの。カカオの取引が上手くいってね」
「ええ。それは喜んでやらせてもらいますが」
「ありがとう。なりたい将来を想像して、映画を見るようでなく、自分がその場面にいる感じで、あなたの目線で願望の世界を体験して、感じて?であとは手放してね?その後は忘れて楽しく過ごしてればいいわ。重要度を下げてね?」
「ええ。わかりました。トライしてみますわ」
西の魔女のいったことは完璧にわからなかったけれど、とりあえず「絶対アリステア様をゲット!」の力を抜くことにしましたわ。
それからお土産のケーキをリーシア様とエルメリア様に渡して、それから楽しいことをして毎日を過ごしたら、リチャード様の件のことを考えなくなってましたわ。
とりあえず気分が軽くなったわたくしは西の魔女のケーキを広めるためと気晴らしにお茶会を開くことにしましたの。
彼女のアドバイスが本物であったと知るのは後の話なのですけれど。
「お嬢様、西の魔女に相談してみてはいかがですか?」
落ち込んでいるわたくしを見てサラスがいう。
「西の魔女?」
「ええ。願望実現の秘訣を伝授してくれる、恋愛方面で有名な方ですよ?現実的に頑張ることもいいですけれど、恋愛とかそのようなものは色々なことが作用しているといいますから、こういう見えないものに頼るのもいいのではないでしょうか?」
「魔術師のイルーシャじゃだめなの?」
「あの方は人嫌いで、恋愛とは無縁な方ですよ?」
「そうね。でも邪道じゃない?」
わたくしはあくまでアリステア様の純粋な気持ちが欲しいのだ。
「お嬢様のような身分の方では政略結婚がほとんどではないですか。やれる事はやるべきじゃないでしょうか?」
「そうね。試してみることにするわ」
******
数日後、西の魔女の家を訪ねた。わたくしは一旦決断すると行動は早い。
西の魔女の家は薬屋でも魔術師の家のようではなく、何の変哲も無い普通の家だった。
「いらっしゃーい。あなたがレティシアちゃんね?」
目の前にいるのは金髪の色気ムンムンのお姉さん。どう見ても魔女という感じではない。
「サラスから既に話は聞いている。で、あなたの望みは何?」
わたくしの後ろでサラスがにっこりと微笑む。さすが私の侍女、有能だわ。
「わたくしは、一目惚れした運命の相手、アリステア様と一緒になりたいと思っております」
「そう」
普通の庶民というか豪商の家のキッチンでお茶を勧められて、テーブルには美味しそうなお菓子がたくさん置かれている。ほとんどはクッキーやパウンドケーキだが、目についたのはチョコレートケーキ。
「これねえ、今度の新作なの」
「ありがとうございます」
西の魔女は普通の豪商の奥さんという感じで、普通に紅茶を淹れてくれる。セクシーなだけで特に変わったところはない。
「で、そのアリステア様のお嫁さんになることってどれぐらい大切?」
「それは、とても大切ですわ。どんなことがあっても叶えたいぐらい」
わたくしの言葉を聞いて西の魔女は、ケーキを薦めた。
「この中ではこれが特にオススメ!さっどうぞ?」
わたくしは、目の前に出されたチョコレートケーキを見つめた。この国ではカカオが取れないのでチョコレートを使ったお菓子はあまり見ない。見ても王家のお茶会ぐらいだろうか。豪商の家でもこれがあることは滅多にない。わたくしの家でも1年に1度目にするぐらいですもの。
「ありがとうございます」
ケーキを口に入れると甘さが口に広がった。
「とても美味しいですわ」
「そう。よかった。願望実現の秘訣なんだけどね?叶えたいことの想いを下げることが大切なの。絶対!とかそういうエネルギーは重すぎて、逆に叶わなくなるから」
「えっ、そうなんですの?」
「ええ。叶わなくてもどっちでもいいぐらいの軽ーい姿勢が大切なのよ?考えてみて?どうでもいい願望の方がスッと叶ったりしない?例えば、ケーキが食べたいなー、とか思っててすぐにそれが叶うとか?」
「ええ。実は甘いものが欲しいなと今朝思ってたところですわ」
「でも絶対!とかそういう感じゃなって、ふっと思って、別に考え続けたりしなかったでしょう?」
「ええ。することがたくさんあって、忘れてしまいましたわ」
「ねっ?それが秘訣なの。力を入れすぎるとバランスが崩れるの。絶対に手に入れるとか思ってると、とんでもないどんでん返しが起こったりするわ。だからパーっと忘れて、ケーキを食べたり楽しいこと、ワクワクすることをしてればいいわ」
なんとなく、信じられない気がするのはわたくしの執着のせい?それともこの西の魔女が全てにおいて魔女らしくないせいかしら?
「それだけでいいんですの?おまじないとか恋の魔法とかしなくても?」
「そういうのよりも、感じて、手放す。願望を叶えるのはあなたなの。魔法やおまじないではないわ」
「そっ、そうですわね」
「ええ」
「お代は、あなたがこのケーキを広める広告塔になってもらえればいいわ。お茶会や夜会でこのケーキのことを話してもらえれば。近いうちに旦那の商会で売りに出す予定なの。カカオの取引が上手くいってね」
「ええ。それは喜んでやらせてもらいますが」
「ありがとう。なりたい将来を想像して、映画を見るようでなく、自分がその場面にいる感じで、あなたの目線で願望の世界を体験して、感じて?であとは手放してね?その後は忘れて楽しく過ごしてればいいわ。重要度を下げてね?」
「ええ。わかりました。トライしてみますわ」
西の魔女のいったことは完璧にわからなかったけれど、とりあえず「絶対アリステア様をゲット!」の力を抜くことにしましたわ。
それからお土産のケーキをリーシア様とエルメリア様に渡して、それから楽しいことをして毎日を過ごしたら、リチャード様の件のことを考えなくなってましたわ。
とりあえず気分が軽くなったわたくしは西の魔女のケーキを広めるためと気晴らしにお茶会を開くことにしましたの。
彼女のアドバイスが本物であったと知るのは後の話なのですけれど。
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