最強✕最弱Re:start

…誰が予想できただろうか。
年下の幼馴染…それも女の子に守られる日が来ると。
「私の男に手を出して良いと、誰が言った?」
いや、それ俺のセリフだから…。
そんなツッコミを心の中で入れながら退治しているのは《第五級指定災害サカヅキ》である。
地味に長いので《Grade 5 Designated Disaster Sakazuki》の頭文字4つと数字を取って人々はこう言う《GDDS:5》と。
もっとも、見た目は人間であるがゆえ、見分けるのは難しいわけだが、俺らなら見分ける事ができる。
いや、正確には《対災害指定人物》は見分けることができる。
こちらも人々は略し、《Disaster Designated P erson》の頭文字3つを取り、《DDP》と呼んでいる。
そんな特別な人なのだからさぞ特別な所に住むのだろうと思いきやそうでは無く、普通の住宅街の普通の家に住んでいる。
なので、僕らは《GDDS》にはよく会い、人々は《DDP》との関わりも深い。
…と、話を戻し、目の前にいるのはその《GDDS》だ。
俺が戦えばいいのだが…いや、傍から見れば男である俺が戦うべきであるのだが、どうもこうも戦闘技術で言えば俺は最弱だ。
パラメーターがあるのであれば俺のそれは戦闘系パラメーターは…すべて1…いや、0だ。
…であるから、幼馴染のこいつ…水月が戦っている。
おっと、考え事をしている間に戦闘が終わったらしい。
10人を軽く超えるそれを水月は時間にして1分かからないくらいで倒した。
息切れ1つしていない。
…これが、最強。
《DDP:Ⅹω》。
え?俺のランクは何かって?
…聞かないでくれ。
…はぁ、どうせ俺は《DDP:Ⅰα》ですよーだ。
どういう意味かって?
最初の“ファースト”や“エクサ”はローマ数字。
ローマ数字が意味するのはランクだ。
ⅠからⅩまである。
ギリシャ文字が示す“オメガ”や“アルファ”はレベル。
ランクが高ければ高いほど適応力があり、レベルが高ければ高いほど強い。
しかし、GDDSは逆だ。
10から1あり、10が最弱。1が最強となる。
俺は、その最弱の10にすらも勝てない。
なぜなら、俺のタイプは_____だから。
俺も、水月も、スキルを複数持つ特殊タイプである。
その上、俺ら二人は一定距離離れるとスキルが不安定になるというデメリットがある。
…他の人であれば嫌であろうが、俺らは別だ。
なぜなら、ランクやレベルが割り当てられる前から仲が良かったからだ。
お互い、互いに遠慮をするということを知らない。
が、故に、嫌なことは嫌と言える性格なので、どちらかが嫌と言わない限り、離れる事は無いだろう。
…前置きが長くなってしまった。
この物語は、最弱の俺と最強の水月が出会い、そしてこの世界を手中に収めるまでの物語である。

絵師:リバティ様
24h.ポイント 0pt
0
小説 184,585 位 / 184,585件 ファンタジー 42,454 位 / 42,454件