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とても断れる気がしないです

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「な、何とか勘弁してもらうわけにはまいりませんでしょうか?」
「もちろん可能だ。生徒会には校則を変える権限がある。例えば『冒険者活動はBクラス以上のライセンスを所持している者に限って許可する。この条項は過去に遡って発効する』の一文を盛り込めば、スマイリー嬢に後ろ暗いところはなくなる」

 私はAクラス冒険者です。
 獣人譲りの高い身体能力があり、おまけにどういうわけか魔力も高いです。
 冒険者は天職だと思ってるです。

「どうかそのセンでよろしくお願いしますです!」
「そこで交渉だ」

 王子様のクセに何とゲスな顔してるですか。
 もう信じられないです。
 大嫌いです!

「先ほどの条件で獣人を説得してくれ。スマイリー嬢にならできるのだろう?」
「……夏休みを冒険者活動に当てて学費を稼ぐつもりだったです。今……」
「学院には非常勤の危機管理委員を置くことが定められていてね」

 私の言葉を遮ってブライアン殿下が続けるです。
 危機管理委員? 何です、それは。

「学院の警備員の一種だよ。本来は引退したAクラス冒険者が生活に困ることがないように設けられた制度だ。だがまあハイクラスの冒険者ともなると、程度の差はあっても皆裕福でね」

 首を竦めた様子を見せる殿下。
 癇に障る仕草ですね。

「常に定員割れしてるんだ。この制度に学院の生徒は除かれるなんて例外はないから、Aクラス冒険者たるスマイリー嬢が委員になっても誰も文句は言えない。当然給与が支給される。どうだい?」
「迫り来る魔物に対して誰かが備えなければならないのよ」
「対魔物に関して言えば、正直騎士よりも獣人戦士の方がずっとうまく対処できるでござる。スマイリー嬢もそう思うでござろう?」
「獣人との相互理解のためにも利がある」

 うはあ、賢い生徒会オールスターズの皆さんの波状攻撃です。
 とても断れる気がしないです。
 悪の親玉ブライアン殿下が付け加えてきます。

「危機管理委員になれば生徒会役員に準じた扱いにできるよ。課外活動要素として成績に加点されるんだ。何なら生徒会室に出入りしてもらっても……」
「あ、それは本当に結構です。私は所詮男爵の娘ですから、天上人である皆さんと立場が違いますです。今日こうして生徒会室に呼び出されたことも、寮でどう言い訳しようかと考えているところです」
「そ、そうかい」

 殿下は何故かガッカリしているですけれども。
 他お三方は私を見つめているです。
 私が承諾するのを待っているですか?
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