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第014話:今日だけは王宮料理人
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エストリア王国国王フリードリヒ四世は、執務室で憂鬱な表情を浮かべていた。
「まったく……我が娘ながら、どうしてこう男勝りに育ったのか……」
手元にはレイラに関する報告書が届いている。市井から男を招き、白薔薇騎士団のメンバーたちに料理を振る舞ったと書かれていた。毒味すらさせず、作ったものを平然と口に入れたとある。およそ「高貴なる者」の食べ方ではない。
「ウィリアムといい、レイラといい……どうもお前の性格が強く出すぎているのではないか?」
そう言ってジロリと視線を向ける。その視線ので、赤髪の美熟女が嫋やかに笑っていた。
「ホホホッ、良いではありませんか。生まれだけを誇りにして地位に傲る者より、市井に足を運ぶ気軽さの方が、私は好きですわ。それに、話によるとその料理は信じられないほどに美味しかったとか…… 私も食べてみたかったですわ」
「美味い料理か……マルコも、食べることが出来れば良いのだがな」
その呟きに、王妃エリザベートの笑みが消えた。第一王子と王女は健康そのものだが、第二王子は病弱で食事もロクにできない。我が子を心配しない母親などいない。エリザベートにとっても、第二王子マルコのことは心配であった。
その時、扉が叩かれた。宮廷内を司る「宮宰」のセバスが入室してくる。
「陛下、実はレイラ殿下が……」
話を聞き、フリードリヒ四世は盛大な溜息をついた。
「あれるぎー? それは一体、どんな病なのだ?」
「アレルギーは病ではなく、体質の一種です。そうですね…… 例えば埃っぽいところに行くと、人はクシャミをしたり咳をしたりしますね? これは体内に入ってきた異物を外に出そうとする、人の体が持つ反応なのです。私たちの身体は〈これは身体にとって有毒だ。外に出せ〉と判断する機能を持っています。これを免疫反応と呼びます」
ここで言葉を切り、相手が理解できているかを確認する。レイラは少し首を傾げたが、マルコは頷いた。
「通常、この免疫反応は有毒なものに反応し、無毒なものには反応しません。ですが、人の体は全員が同じではないのです。無毒なもの……例えば小麦にも免疫反応をしてしまう場合があるのです。これがアレルギーです」
「そ、その……パンを食べると僕の身体が赤くなるのは、そのせいだってことですか?」
「その通り。このアレルギーの厄介なところは、パンに反応するのではなく、小麦に反応するということです。つまり、小麦が使われた料理全般に反応してしまうのです。心当たりはありませんか?」
「そう言えば、料理長が以前に作った、小麦を練った具を入れたスープを飲んだ後も、マルコは辛そうだったな……」
「食べるだけではなく、小麦畑を横切っただけでアレルギー反応を起こす場合もあるのです。できるだけ、小麦から遠ざかることをオススメします」
「だが、それでは生きていけないではないか。小麦は王国の主要農作物の一つだ。毎食にはパンが出るし、他にも小麦を使った料理はある。マルコに、このままずっと芋を食べろと言うのか?」
「小麦以外の穀物なら大丈夫でしょう。例えばコメなどは大丈夫なはずです。それに、芋だってやり方次第では美味しい料理になりますよ?」
「……でも、パンは食べれないんですよね? 母様や姉様と同じモノは食べれないんですよね?」
マルコ少年は、瞳をウルウルとさせて縋るように見つめてくる。年端のない少年が、縋るように救いを求めているのだ。これを無下にするほど、俺の心は冷たくない。
「臨時ではありますが、今日の夕食は私が作りましょう」
そう言って、俺は立ち上がった。
儂の名はジョエル。エストリア王国王宮料理長を任されている。儂は今、猛烈に腹を立てておる。先々代の料理長に十二の時に拾われ、皿洗いや鍋磨きから修行を始めた。あれから四〇年、儂は一日も欠かさず、少しでも美味い料理を陛下にお出ししたいと、研鑽を続けてきた。王宮内にあるこの厨房は、儂にとっては我が家のようなものである。そこに突然、外部の奴がやってきたのだ。
「ふーん、食材は悪くない。スープのストックもあるし、香辛料も中々に揃っている。これならできるかな」
カトーとかいう若造が、厨房内をアレコレと見回っている。儂は此奴を知っておる。市井で噂される「ホットドッグ」という食べ物を作っている男だ。かく言う儂も、ホットドッグを一度食べ、なんとかその味を再現しようと研究しておったところだ。料理人として、儂は王国一を自負しておる。その儂が、こんな若造に料理人として負けるなど、あってはならんのだ。
「カトー殿、私も見ていたいのだが……」
「ダメです。ここは料理人の戦場です。コックコートを着ていない者は、厨房に入る資格はありません」
厨房の出入り口から顔を覗かせるレイラ殿下に、平然とダメ出しをする。そう。腹ただしいことに、カトーは料理人の心得を体現しておる。自分で食べるならともかく、人にお出しする料理を作るならば、最低限の服装というものがある。髪が落ちないよう、頭髪を整えて帽子をかぶり、前掛けをする。そして良く手を洗ってから厨房に入る。先々代に拳骨混じりに教えられたことだが、カトーは言われる前にやっておる。しかも儂以上に徹底してだ。黒い布のズボン、純白の服と前掛け、煙突のような縦長の帽子をかぶり、髪を出さないようにしている。厨房に入る前には、爪の中から肘まで念入りに洗っておった。だから儂も、腹を立てながらも文句は言わなかった。
「これより、マルコ殿下が美味しく食べられる料理を作ります。殿下は、小麦を食べることができません。小麦に触れただけで、体調を崩されてしまうのです。ですので今日は、小麦を一切、使わない料理を作ります。複雑なお気持ちなのは理解していますが、これもお客様のためです。どうか今日だけは、お力を貸してください」
そう言って、カトーは頭を下げた。客の為か…… フンッ、やってやるわい!
俺が作るのは今日だけだが、王宮料理人たちがその後も作れなければ意味がない。食材、調味料、料理道具まで、出来るだけこの厨房にあるもので再現できるようにする。最初に神スキル「アルティメット・キッチン」で呼び出したのは、コックコートと片栗粉である。
まずは片栗粉である。今回は手持ちの物を使うが、今後のためにも作り方を示す必要がある。男爵芋のような異世界の芋「ポッテト」の皮を剥く。すると料理長のジョエルが指示を出した。
「トーマスッ! レオンッ! 何をボサッとしている。皮むきせんか!」
そして俺に顔を向ける。険しい表情のままだが、口元には笑みが浮かんでいた。
「今日だけは、お主に料理長を任せてやるわい。そのかわり、必ずマルコ殿下が喜ぶ料理を作れ!」
俺もまた、笑みを浮かべて頷いた。
「片栗粉……ポッテト・スターチとでも呼びましょうか。皮を向いた芋のうち、半分を摩り下ろして、それを清潔な布で包みます。木桶に水を張り、その中で布の上から良く揉んで下さい。芋の成分が水に溶けだします。それを抽出したのが、ポッテト・スターチです。十分間揉み洗いし、最後に濾し布をしっかり絞って、ポッテトから水気を抜いて下さい。そして桶の中にスターチが沈殿するのを待ちます。その間に……」
蒸籠が無いので、蒸し器を即席で作る。鍋に皿を伏せて置き、周りに水を張る。その上にもう一枚、皿を載せて芋を置いていく。最後に鍋に蓋をすれば、蒸し器の完成だ。
「これは〈蒸す〉という調理法です。茹でるよりも早く、芋に火が通ります。それを潰して、先ほどスターチを絞った後に布に残った芋と混ぜ合わせます。それにスターチを混ぜるのですが、時間がないので俺が持っているスターチを使いましょう。スターチは使い勝手が良いので、ぜひ自作して下さい」
片栗粉の粉末を皿に盛る。ジョエルが食い入るように、真っ白な粉を見つめていた。俺は匙で少量を取り、ジョエルに差し出した。指先で確認した後、口に入れる。
「フム、味は殆ど無いな。小麦粉に似ておる。じゃが、微かにトロみを感じるの」
「そうですね。これはソースにトロみを出す時などに使います。ですがダマになったりするので、水に溶いてから使って下さい。固さの確認も必要です」
「面白い。芋からこんな食材が作れるとは……」
裏ごしした芋に片栗粉を混ぜ合わせる。小さな玉になるように、千切っては丸め、フォークの背で潰す。
「これは〈ニョッキ〉というものです。芋だけで出来ていますから、小麦がダメなマルコ殿下でも問題ありません。次に、これに合わせるソースを作りましょう。このトメートを使います」
ヘタを取ったトメートを深鍋に並べる。今回は皮もタネもすべてを使うつもりだ。焼き色がつくまでしっかり火にかけ、そして木ベラで潰していく。刻んだニンニク、微塵切りにした玉葱、胡椒と月桂樹の葉を加えて煮込んでいく。トメートは酸味が強いので、少し長めに煮込む必要がある。最後に塩で味を整えて、トマトソースの完成だ。
「ニョッキのトメートソースは良しとして、あとスープと肉を用意しておきたいな。芋を使ったスープとなると、やはりヴィシソワーズか。フードプロセッサーが無いから、モドキになってしまうが……」
深鍋にバターを溶かし、芋と玉葱を摩り下ろして入れる。本来なら長ネギを使うのだが、今回は仕方がないだろう。全体的に火が入ったら、ストックされていたビッグ・カウの骨スープを鍋に入れ、ゆっくり火を入れていく。さらに牛乳を加え、塩と胡椒で味を整える。シノワで越して、粗熱を取り、乳脂を入れれば完成だ。
「ほぉ……このスープも初めてだ。この味は殿下も喜ぶであろう」
匙で味見したジョエルが満足そうに頷く。だがこれだけではまだ足りない。野菜が不足しているし、肉も出してやりたい。俺は最後の料理に取り掛かった。
「最後に、メインとなる揚げ料理〈唐揚げ〉を作ります!」
そう宣言し、スティングチキンのもも肉に手を伸ばした。
「まったく……我が娘ながら、どうしてこう男勝りに育ったのか……」
手元にはレイラに関する報告書が届いている。市井から男を招き、白薔薇騎士団のメンバーたちに料理を振る舞ったと書かれていた。毒味すらさせず、作ったものを平然と口に入れたとある。およそ「高貴なる者」の食べ方ではない。
「ウィリアムといい、レイラといい……どうもお前の性格が強く出すぎているのではないか?」
そう言ってジロリと視線を向ける。その視線ので、赤髪の美熟女が嫋やかに笑っていた。
「ホホホッ、良いではありませんか。生まれだけを誇りにして地位に傲る者より、市井に足を運ぶ気軽さの方が、私は好きですわ。それに、話によるとその料理は信じられないほどに美味しかったとか…… 私も食べてみたかったですわ」
「美味い料理か……マルコも、食べることが出来れば良いのだがな」
その呟きに、王妃エリザベートの笑みが消えた。第一王子と王女は健康そのものだが、第二王子は病弱で食事もロクにできない。我が子を心配しない母親などいない。エリザベートにとっても、第二王子マルコのことは心配であった。
その時、扉が叩かれた。宮廷内を司る「宮宰」のセバスが入室してくる。
「陛下、実はレイラ殿下が……」
話を聞き、フリードリヒ四世は盛大な溜息をついた。
「あれるぎー? それは一体、どんな病なのだ?」
「アレルギーは病ではなく、体質の一種です。そうですね…… 例えば埃っぽいところに行くと、人はクシャミをしたり咳をしたりしますね? これは体内に入ってきた異物を外に出そうとする、人の体が持つ反応なのです。私たちの身体は〈これは身体にとって有毒だ。外に出せ〉と判断する機能を持っています。これを免疫反応と呼びます」
ここで言葉を切り、相手が理解できているかを確認する。レイラは少し首を傾げたが、マルコは頷いた。
「通常、この免疫反応は有毒なものに反応し、無毒なものには反応しません。ですが、人の体は全員が同じではないのです。無毒なもの……例えば小麦にも免疫反応をしてしまう場合があるのです。これがアレルギーです」
「そ、その……パンを食べると僕の身体が赤くなるのは、そのせいだってことですか?」
「その通り。このアレルギーの厄介なところは、パンに反応するのではなく、小麦に反応するということです。つまり、小麦が使われた料理全般に反応してしまうのです。心当たりはありませんか?」
「そう言えば、料理長が以前に作った、小麦を練った具を入れたスープを飲んだ後も、マルコは辛そうだったな……」
「食べるだけではなく、小麦畑を横切っただけでアレルギー反応を起こす場合もあるのです。できるだけ、小麦から遠ざかることをオススメします」
「だが、それでは生きていけないではないか。小麦は王国の主要農作物の一つだ。毎食にはパンが出るし、他にも小麦を使った料理はある。マルコに、このままずっと芋を食べろと言うのか?」
「小麦以外の穀物なら大丈夫でしょう。例えばコメなどは大丈夫なはずです。それに、芋だってやり方次第では美味しい料理になりますよ?」
「……でも、パンは食べれないんですよね? 母様や姉様と同じモノは食べれないんですよね?」
マルコ少年は、瞳をウルウルとさせて縋るように見つめてくる。年端のない少年が、縋るように救いを求めているのだ。これを無下にするほど、俺の心は冷たくない。
「臨時ではありますが、今日の夕食は私が作りましょう」
そう言って、俺は立ち上がった。
儂の名はジョエル。エストリア王国王宮料理長を任されている。儂は今、猛烈に腹を立てておる。先々代の料理長に十二の時に拾われ、皿洗いや鍋磨きから修行を始めた。あれから四〇年、儂は一日も欠かさず、少しでも美味い料理を陛下にお出ししたいと、研鑽を続けてきた。王宮内にあるこの厨房は、儂にとっては我が家のようなものである。そこに突然、外部の奴がやってきたのだ。
「ふーん、食材は悪くない。スープのストックもあるし、香辛料も中々に揃っている。これならできるかな」
カトーとかいう若造が、厨房内をアレコレと見回っている。儂は此奴を知っておる。市井で噂される「ホットドッグ」という食べ物を作っている男だ。かく言う儂も、ホットドッグを一度食べ、なんとかその味を再現しようと研究しておったところだ。料理人として、儂は王国一を自負しておる。その儂が、こんな若造に料理人として負けるなど、あってはならんのだ。
「カトー殿、私も見ていたいのだが……」
「ダメです。ここは料理人の戦場です。コックコートを着ていない者は、厨房に入る資格はありません」
厨房の出入り口から顔を覗かせるレイラ殿下に、平然とダメ出しをする。そう。腹ただしいことに、カトーは料理人の心得を体現しておる。自分で食べるならともかく、人にお出しする料理を作るならば、最低限の服装というものがある。髪が落ちないよう、頭髪を整えて帽子をかぶり、前掛けをする。そして良く手を洗ってから厨房に入る。先々代に拳骨混じりに教えられたことだが、カトーは言われる前にやっておる。しかも儂以上に徹底してだ。黒い布のズボン、純白の服と前掛け、煙突のような縦長の帽子をかぶり、髪を出さないようにしている。厨房に入る前には、爪の中から肘まで念入りに洗っておった。だから儂も、腹を立てながらも文句は言わなかった。
「これより、マルコ殿下が美味しく食べられる料理を作ります。殿下は、小麦を食べることができません。小麦に触れただけで、体調を崩されてしまうのです。ですので今日は、小麦を一切、使わない料理を作ります。複雑なお気持ちなのは理解していますが、これもお客様のためです。どうか今日だけは、お力を貸してください」
そう言って、カトーは頭を下げた。客の為か…… フンッ、やってやるわい!
俺が作るのは今日だけだが、王宮料理人たちがその後も作れなければ意味がない。食材、調味料、料理道具まで、出来るだけこの厨房にあるもので再現できるようにする。最初に神スキル「アルティメット・キッチン」で呼び出したのは、コックコートと片栗粉である。
まずは片栗粉である。今回は手持ちの物を使うが、今後のためにも作り方を示す必要がある。男爵芋のような異世界の芋「ポッテト」の皮を剥く。すると料理長のジョエルが指示を出した。
「トーマスッ! レオンッ! 何をボサッとしている。皮むきせんか!」
そして俺に顔を向ける。険しい表情のままだが、口元には笑みが浮かんでいた。
「今日だけは、お主に料理長を任せてやるわい。そのかわり、必ずマルコ殿下が喜ぶ料理を作れ!」
俺もまた、笑みを浮かべて頷いた。
「片栗粉……ポッテト・スターチとでも呼びましょうか。皮を向いた芋のうち、半分を摩り下ろして、それを清潔な布で包みます。木桶に水を張り、その中で布の上から良く揉んで下さい。芋の成分が水に溶けだします。それを抽出したのが、ポッテト・スターチです。十分間揉み洗いし、最後に濾し布をしっかり絞って、ポッテトから水気を抜いて下さい。そして桶の中にスターチが沈殿するのを待ちます。その間に……」
蒸籠が無いので、蒸し器を即席で作る。鍋に皿を伏せて置き、周りに水を張る。その上にもう一枚、皿を載せて芋を置いていく。最後に鍋に蓋をすれば、蒸し器の完成だ。
「これは〈蒸す〉という調理法です。茹でるよりも早く、芋に火が通ります。それを潰して、先ほどスターチを絞った後に布に残った芋と混ぜ合わせます。それにスターチを混ぜるのですが、時間がないので俺が持っているスターチを使いましょう。スターチは使い勝手が良いので、ぜひ自作して下さい」
片栗粉の粉末を皿に盛る。ジョエルが食い入るように、真っ白な粉を見つめていた。俺は匙で少量を取り、ジョエルに差し出した。指先で確認した後、口に入れる。
「フム、味は殆ど無いな。小麦粉に似ておる。じゃが、微かにトロみを感じるの」
「そうですね。これはソースにトロみを出す時などに使います。ですがダマになったりするので、水に溶いてから使って下さい。固さの確認も必要です」
「面白い。芋からこんな食材が作れるとは……」
裏ごしした芋に片栗粉を混ぜ合わせる。小さな玉になるように、千切っては丸め、フォークの背で潰す。
「これは〈ニョッキ〉というものです。芋だけで出来ていますから、小麦がダメなマルコ殿下でも問題ありません。次に、これに合わせるソースを作りましょう。このトメートを使います」
ヘタを取ったトメートを深鍋に並べる。今回は皮もタネもすべてを使うつもりだ。焼き色がつくまでしっかり火にかけ、そして木ベラで潰していく。刻んだニンニク、微塵切りにした玉葱、胡椒と月桂樹の葉を加えて煮込んでいく。トメートは酸味が強いので、少し長めに煮込む必要がある。最後に塩で味を整えて、トマトソースの完成だ。
「ニョッキのトメートソースは良しとして、あとスープと肉を用意しておきたいな。芋を使ったスープとなると、やはりヴィシソワーズか。フードプロセッサーが無いから、モドキになってしまうが……」
深鍋にバターを溶かし、芋と玉葱を摩り下ろして入れる。本来なら長ネギを使うのだが、今回は仕方がないだろう。全体的に火が入ったら、ストックされていたビッグ・カウの骨スープを鍋に入れ、ゆっくり火を入れていく。さらに牛乳を加え、塩と胡椒で味を整える。シノワで越して、粗熱を取り、乳脂を入れれば完成だ。
「ほぉ……このスープも初めてだ。この味は殿下も喜ぶであろう」
匙で味見したジョエルが満足そうに頷く。だがこれだけではまだ足りない。野菜が不足しているし、肉も出してやりたい。俺は最後の料理に取り掛かった。
「最後に、メインとなる揚げ料理〈唐揚げ〉を作ります!」
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