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二人の視点

君とずっと側に

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 朝、目を覚ますとマナが起きていた。

「マナ……」
「ああ、先輩目が覚めたので一足先に食事を取っていました」
「分かった……」

 私は目覚めたばかりだったのでのろのろと着替えて、マナから貰った血液パックを飲み、顔を洗って目を覚ました。

「さて、どうしよう」
「大学に行きますか」
「早いけどそうするか」

 私達は一緒に大学へと向かうことにした。

 朝早いと言うのに、女達が私に近づいてきた。
「先輩、なんでこんな子がいいんです~?」
「私達の方がいいですよ、一緒に遊びましょうよ~!」
「学問をおろそかにする君達と私は相容れない、そしてその目つき気に食わん。マナに何かしてみろ、私が直々に制裁を下してやる」
 私がそう圧をかけると女達は逃げ出した。


 そしてマナと学部と講義の都合で別行動をすると、色んな輩がやってくる。
「クルスくんーあんな子じゃなくて私と付き合いましょうよぉ」
「断る」
「どうして!」
「彼女とは既に婚約済みだし、彼女以外結婚相手は考えられない」
「そ、そんなの破棄して……」
「くどい!」
 其処まで言うと、黒服の存在がやって来て近づいてきた連中を連れて行く。

「貴方がたは?」
「マナさんから頼まれました、自分が目の届かないところでもクルスさんをお守りしてあげてほしいと」
「マナが……」
 余計な心配をかけてしまったと思い、限界まで自分でどうにかするから見守ってほしいとお願いした。




 それが裏目に出た。
「あんな女とじゃなくて私と付き合ってよ!」
「私とよ!」
「俺の妹と付き合えねぇってのか⁈」
「私達と付き合いましょうよ‼」
「俺の姉貴と付き合えよ!」
 気持ち悪い。
 欲だらけで吐き気がする。
 気持ち悪くなり、私は朝飲んだ血を吐き出した。

 悲鳴が上がる。
 同時に黒服の者達が連中を別の車に乗せていくと同時に、私を別の車に乗せた。
 そして私のマンションに行き、どうやってか私の部屋まで行き、私の手当を始めた。
「黒服さん?」
 マナの声が聞こえた。
 疲れて目が開けられない。
「女達に囲まれ、男にも囲まれ、精神的にきたらしく吐いた所を救助しました、学校には報告済みです」
「……で、囲んでいた連中は?」
 マナの声は静かだ。
「全員連れて行きました、大学側にも報告済みです」
「お世話有り難う、後は私がやります」
「はい、では」
 黒服の者はそういって部屋を出て行ったらしく、マナが鍵をかける音がした。
 顔を拭かれる。
「先輩……」
「……マナ?」
 私は漸く目を開ける事ができた。
「先輩、大丈夫でしたか?」
「大丈夫……黒服の……人物が助けてくれた」
「それは良かった」
「……マナの知り合い、なんだろう?」
「まぁ、そうですね」
「だから信用した」
 ちがう、嫉妬した。
 マナからの信頼を得ているから。
「有り難うございます」
 嘘をついてすまない。
「マナ」
 だからもう嘘はつかない。
「はい、何でしょう」
「結婚してくれ」
「はい?」
 マナの声がうわずる。
「結婚してくれ」
 だが私はもう一度言う。
「卒業まで待てませんか」
「ああ、待てない。結婚した方がいいと思った」
「……はい、いいですよ、先輩」
「本当か、なら……」
 喜びの声を抑えながら、私は言う。
「?」
「クルス、と読んでほしい」
 そう、名前で呼んでほしかった、これからは二人の時も。
「分かりました、クルスさん」
「さんづけか……」
 少し不満げになる。
「すみません、そういう性格なもので」
 分かっている君の性格だ。
「いや、いい」
 先輩は起き上がりました。
「せ……クルスさん、無理しちゃ駄目ですよ」
「指輪を買って、両親達にも言おう」
「……分かりました」
 マナは困ったように笑った、そんな風に困らせて、我が儘ばかりですまない。

 その後、マナが選んだジュエリーショップでおそろいの指輪を購入して身につけた。。
 それから両家の家族に電話をして結婚式を挙げたいと私が言ったので、急遽マナのご両親とクルスさんの父母がやって来て、話合い。
 まだ早すぎるという私の父母に早くない、寧ろ結婚しないとトラブルが頻発すると私が言うとマナの母親が、クルスさんがそう言って居るならそうしても良いですよという一声を出したのをきっかけに二ヶ月後に式を挙げることになった。

 その間、母と私の父母と私達で結婚式の式場の選択と呼ぶ人の選択、そしてドレスやケーキのデザイン等を依頼しました。

 そして二ヶ月後──
「露出控えめで有り難いです」
「マナ、綺麗だねぇ」
「マナ、本当に綺麗よ……!」
「マナ、うう綺麗だ、本当に、綺麗だ……」
「マナちゃん、本当に綺麗よ」
「マナ、あーその、綺麗だな」
「マナ姉さん綺麗!」
「うん、綺麗!」
 マナの家族総出でマナのドレス姿を褒めていた、ああ、本当に綺麗だ。

「マナ」
「クルスさん」

「マナ、綺麗だ」
「有り難うございます。クルスさんも素敵です」
 マナに近づきそう言うと、思って居ない言葉を返された。
「そうか、有り難いな」
 私はそう言ってマナの両親の方を向きます。
「このたびは私の我が儘を通してくださりすみません」
「いいえ、いいのよ」
「可愛い孫の晴れ姿をこうして見せてもらえて幸せですとも」
 マナの祖母も言う。
「マナを……よろしく頼みます」
「はい」
 マナの父君の言葉に、私は強く頷いた。

「クルス素敵よ」
「ああ、立派になった」
「マナが居るからです」
 父母とそんな会話をする。
「マナさんを大事にな」
「はい」
 父に言われて頷く。


「そろそろ式の時間です」

 スタッフの言葉に私達は案内される。
 母とバージンロードを歩き、誓いのキスをして、場所を移動、マナの母君からの手紙にマナは涙して、私も母の手紙に涙して、そしてケーキをたべっこさせてから、お色直し。
 そして歓談。
 ああ、幸せだと思いました。
 誰にも邪魔されず、結婚できるなんて幸せだなぁと。

「これからは私のマンションに住んでくれ」
「はい、クルスさん」

 マナはにこりとクルスさんに微笑み、私も嬉しそうに笑った。




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