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Ⅱ章――――俺たちの夏がやってきた
08 ダイブ開始
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店を後にした俺たちは流れで一緒に帰ることになった。
ガヤガヤとしながら坂の多い道を歩く。佐士島さんと烏丸さん、二人ともヤブと朝川、村島と話で盛り上がっている。そこに折谷も加わっているどころか、見るからに楽しそうだ。……納得いかない。
信号待ちで止まっていると、同じく信号待ちをしているラフな格好をした男性二人組の話が聞こえてきた。
「本当にあるのかねぇ? マリンフェアリーなんて」
「さあね。だけど実際に写真がある以上、存在するってことだろ?」
「でも他のヤツは見てねえんだろ? そのマリンフェアリーを撮った写真家ってヤツも、どこで撮ったか言わずに亡くなったみたいだし」
「あの映像を撮ったら、視聴数稼げるんじゃね?」
「あー! 確かに」
「そんで、大金持ちってな!」
「気晴らしに挑戦してみるのもアリだな!」
身なりから推測するに観光客だろう。
俺は観光客から折谷へ視線を移す。わずかに折谷の顔が観光客の方へ傾いている。鋭く刺すように熱い視線が観光客へ注がれていた。なんとなくでしかなかったが、その瞳には深い敵意があるように感じた。
Φ Φ Φ Φ
テストという荒波を抜けた。船体はボロボロだ。
テスト結果にボディブローを受けながら、なんとかオアシスの切符を手に入れた。
じゃ次はダイビングライセンスの取得のためにいっちょやりますか! ってなるほど勉強漬けができる性質じゃない。とりあえず夏休みを満喫できることを祝おうではないか!
ということで、村島たちと海へダイブしに行った。一足先にやってきた観光客もおり、一つの楽しみであったビーチバカンスも拝めた。満足である。
三日後、夏休みとなった。俺はいつになく気合が入っていた。夏休みに入る前から勉強はしていたから、試験のために復習するのみだ。
ダイビングスクールでは大学生らしき男の人に勉強を見てもらい、次のステップに進んでも大丈夫とのことで、最近実技講習に入った。少し気が早いが、親に頼み込んで購入したウェットスーツ。俺が習い事に興味を持ったことに喜んでくれたようで、今回は特別に買ってもらった。嬉しくて家の中で着てしまった。
そして本日、実技講習が始まる。準備万端。眩しい太陽の下を駆け出した。
「いやっほーい‼」
「こらこら」
爽やかな大学生のインストラクターに止められた。
「そっちじゃないよ」
「え?」
海岸から数十メートル先。男子大学生の人について行けば、ただの市民プールだった。いきなり海でやるわけじゃないらしい。
いざ実技講習となった。水泳は得意な方だが、どうやらダイビングに水泳が得意かどうかはあまり関係ないらしい。
知識と技術を身に着け、ダイビングに必要な注意力を養うため、実際にやって学んでいくスタイルというわけだ。いや、まあ学科講習の時に散々頭に入れたけど、実際やるとなったら普通にテンパってしまう。
大学生のお兄さんにも俺のテンパり具合は伝わったようで、一つ一つしっかり覚えていこうとアドバイスをもらった。
翌日のこと、ダイビングライセンスの筆記試験を受けた。
合格か不合格か。眠れない夜をいくつ重ねたか————なんてことはなかった。
数時間後、合格のしらせが入った。メールで。
緊張感の欠片もなかったが、第一段階はクリアだ。あとは実技講習でスキルを身に着けられたと認めてもらうだけ。そうすればライセンス、Cカードが手に入る。
Cカードはスキューバーダイビングを楽しみたい観光客が取っていくことが多いそうだ。取得はそこまで難しくないと言われたが、微妙に手こずっている。
まず何が大変ってタンクだ。とにかく重い。これを背負ってプールに入るだけでも疲れるのに、スキューバーダイビングを観光の目玉にしていることもあり、練習するために数メートルの深さのプールが作られていた。
そこで練習をするわけだが、これがけっこう怖い。
荷物を背負いながらという特殊な状態もあるのか、沈んでいくだけで微妙な恐怖感がある。うまく体勢を取ろうと思う前に、体が言うことを利かない。その時は指導担当の大学生のお兄さんがいてくれて助かったが、初めて本気で溺れると思った。
恐怖心を拭い去るため、落ち着いて再びトライ。お兄さんの指導のまま順になぞって、どうにかクリアできた。
何度も挑戦して、体に染みつかせていった。
ガヤガヤとしながら坂の多い道を歩く。佐士島さんと烏丸さん、二人ともヤブと朝川、村島と話で盛り上がっている。そこに折谷も加わっているどころか、見るからに楽しそうだ。……納得いかない。
信号待ちで止まっていると、同じく信号待ちをしているラフな格好をした男性二人組の話が聞こえてきた。
「本当にあるのかねぇ? マリンフェアリーなんて」
「さあね。だけど実際に写真がある以上、存在するってことだろ?」
「でも他のヤツは見てねえんだろ? そのマリンフェアリーを撮った写真家ってヤツも、どこで撮ったか言わずに亡くなったみたいだし」
「あの映像を撮ったら、視聴数稼げるんじゃね?」
「あー! 確かに」
「そんで、大金持ちってな!」
「気晴らしに挑戦してみるのもアリだな!」
身なりから推測するに観光客だろう。
俺は観光客から折谷へ視線を移す。わずかに折谷の顔が観光客の方へ傾いている。鋭く刺すように熱い視線が観光客へ注がれていた。なんとなくでしかなかったが、その瞳には深い敵意があるように感じた。
Φ Φ Φ Φ
テストという荒波を抜けた。船体はボロボロだ。
テスト結果にボディブローを受けながら、なんとかオアシスの切符を手に入れた。
じゃ次はダイビングライセンスの取得のためにいっちょやりますか! ってなるほど勉強漬けができる性質じゃない。とりあえず夏休みを満喫できることを祝おうではないか!
ということで、村島たちと海へダイブしに行った。一足先にやってきた観光客もおり、一つの楽しみであったビーチバカンスも拝めた。満足である。
三日後、夏休みとなった。俺はいつになく気合が入っていた。夏休みに入る前から勉強はしていたから、試験のために復習するのみだ。
ダイビングスクールでは大学生らしき男の人に勉強を見てもらい、次のステップに進んでも大丈夫とのことで、最近実技講習に入った。少し気が早いが、親に頼み込んで購入したウェットスーツ。俺が習い事に興味を持ったことに喜んでくれたようで、今回は特別に買ってもらった。嬉しくて家の中で着てしまった。
そして本日、実技講習が始まる。準備万端。眩しい太陽の下を駆け出した。
「いやっほーい‼」
「こらこら」
爽やかな大学生のインストラクターに止められた。
「そっちじゃないよ」
「え?」
海岸から数十メートル先。男子大学生の人について行けば、ただの市民プールだった。いきなり海でやるわけじゃないらしい。
いざ実技講習となった。水泳は得意な方だが、どうやらダイビングに水泳が得意かどうかはあまり関係ないらしい。
知識と技術を身に着け、ダイビングに必要な注意力を養うため、実際にやって学んでいくスタイルというわけだ。いや、まあ学科講習の時に散々頭に入れたけど、実際やるとなったら普通にテンパってしまう。
大学生のお兄さんにも俺のテンパり具合は伝わったようで、一つ一つしっかり覚えていこうとアドバイスをもらった。
翌日のこと、ダイビングライセンスの筆記試験を受けた。
合格か不合格か。眠れない夜をいくつ重ねたか————なんてことはなかった。
数時間後、合格のしらせが入った。メールで。
緊張感の欠片もなかったが、第一段階はクリアだ。あとは実技講習でスキルを身に着けられたと認めてもらうだけ。そうすればライセンス、Cカードが手に入る。
Cカードはスキューバーダイビングを楽しみたい観光客が取っていくことが多いそうだ。取得はそこまで難しくないと言われたが、微妙に手こずっている。
まず何が大変ってタンクだ。とにかく重い。これを背負ってプールに入るだけでも疲れるのに、スキューバーダイビングを観光の目玉にしていることもあり、練習するために数メートルの深さのプールが作られていた。
そこで練習をするわけだが、これがけっこう怖い。
荷物を背負いながらという特殊な状態もあるのか、沈んでいくだけで微妙な恐怖感がある。うまく体勢を取ろうと思う前に、体が言うことを利かない。その時は指導担当の大学生のお兄さんがいてくれて助かったが、初めて本気で溺れると思った。
恐怖心を拭い去るため、落ち着いて再びトライ。お兄さんの指導のまま順になぞって、どうにかクリアできた。
何度も挑戦して、体に染みつかせていった。
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