40 / 60
Lesson4 重なる二人の想い出
STEP⑧ サービス残業
しおりを挟む
九月に入った頃、paletteはいつもと違い、忙しさがあった。どういう風の吹きまわしか、社長は一度に三件の依頼を引き受けたのだ。「今月は給料アップしてあげますから」と社長は俺達を鼓舞した。
俺が受け持つのは二件。もう一つは写真を使う。俺は会議で決めた大体のイメージを白紙の画面に具現化していく。パソコンの画面で専用のペンの先は順調に進んでいた。
「青野さん、よくペンが止まらないわね」
小坂が俺の後ろで絵の出来具合を見物していた。小坂はいつも俺のラフを見ながら色をどう塗っていくのかイメージを膨らませるのだ。
「今日はちょっと調子がいいかもね」
「調子がいい? 全然変わらない気がするんだけど?」
「え!? 嘘……」
「へこみすぎでしょ……」
小坂はただこうやって俺とくっちゃべりながらイメージを膨らませているわけではない。
たまに小坂からこうした方がいいんじゃないかという提案もしてくる。最初の頃は見ていただけだったが、俺が以前意見を求めたことがあり、それから小坂は積極的に提案をしてくるようになった。俺も意見を言う時には、小坂からまともな返しが来る。同意する時はするし、私はこうした方がいいと思うんだけどみたいな感じで意見を述べてくる。小坂のそういう所は仕事がしやすいと思っている。
勤務終了時間となり、従業員達は帰り支度をする。
「あー……今日は疲れちゃったよう~。僕、過労死しちゃうかも」
倉井さんが大げさなことを言いながら事務所を出ていく。
「倉井さんはもっと働いた方がいいですよ」
「ええ!? 小坂君、それ僕に対するイジメかい?」
「あははは……」
法堂さんが二人のやり取りを見て苦笑する。
「あれ? 青野さん、帰らないんですか?」
鹿賀里さんが椅子に座ったままの俺を見て、不思議そうな顔で訊く。
「ちょっとやることがあるからね」
「社長が来るまでやってるんですか?」
「社長が帰る頃に俺も終わるよ」
「まさか、残業で仕事する気!?」
小坂はまるで青天の霹靂と言わんばかりに驚愕している。俺が残業するのは新人の時にしかなかった。小坂が入った頃には仕事にも慣れ、残業する必要もなくなったのだ。だから、俺が残業で働くと聞くのは小坂にとって初めてなのだろう。
「いや、仕事とは関係ないから」
「だったらここでやらなくてもいいんじゃない?」
「まあ、そうなんだけど、ここならけっこう色々揃ってるし、やりやすいから」
俺は微笑する。小坂と鹿賀里さんは顔を見合わせて首を傾げる。
「そうですか。あんまり頑張りすぎないでくださいね」
鹿賀里さんが心配してくれる。
「そうだよ、青野君。あんまり頑張ると過労死するからね」
「はいはい。もうそのネタいいですから」
小坂が倉井さんをあしらいながら去っていく。
「じゃ、青野君頑張って」
「ちゃんと社長が来るまでいてくださいよ? 鍵持ってるの、社長しかいないんですから」
「うん」
俺は鹿賀里さんの忠告を受けて首肯する。
法堂さんと鹿賀里さんの顔が見えたのを最後に、事務所の扉が閉まった。
静かになった事務所。一人だけになって、デスクに置いてある小さなカレンダーを見る。カレンダーには日付に丸をした隣に、小さく手書きで仕事関係のメモが書いてある。九月のカレンダーから二枚捨てれば、十一月になる。その月は館花さんの結婚式がある。
俺は結婚式には行けない。だけど、このままでいいのか……。
館花さんとはただの同級生で、周りから促されて話をしだしたようなものだ。イチコイ作戦という名の恋人ごっこでかわした言葉も仕草も、全ては本物の恋人と上手くいくための練習でしかない。つまり、嘘で包まれた恋だったのだ。
だとしても、互いに本物の恋人のために努力してきた者同士である。蘭子の言った同志というのはそういう意味なのだとすぐに分かった。
今海香ちゃんと付き合えているのはみんなのおかげだ。そのみんなの中には、間違いなく館花さんも入っている。
いつの間にか俺は館花さんに強い仲間意識を持っていたらしい。その仲間が目標を達成しようとしている。少し感慨深いものがある。海香ちゃんと付き合えたことのお礼、そして、仲間が目標を達成しようとしていることへのお祝いをしたい、という衝動に駆られてしまった。そこで思いついたのが、新婦が身に着ける小物を作ってプレゼントをすることだ。
まずはイメージ図を作る作業から入りたい所だが、まだアイディアが無い。白紙の状態だ。なんせ思いついたのが昨日なのだから無理もない。なので、情報収集から開始だ。隣の倉井さんのデスクのパソコンを使い、結婚式で新婦が身に着ける小物の種類を調べる。俺はそれを確認した後、候補の中から絞り込むため、図書館で借りた装飾品の図鑑を見たりしながら具体的な物にしていく。
俺がそんな作業をしている内に事務所のドアが開いた。誰が入ってきたかは分かっている。
「誰かと思いきや、青野さんじゃないですか」
制服姿の社長が入ってきた。学校帰りだろう。
「お疲れ様です」
「何してるんですか?」
一人でいる俺を社長は不審な視線を向ける。
「ちょっと描きたい絵があるんですよ」
「仕事ですか?」
「いえ、個人的な物です」
「そうですか。まあ、ぼちぼちにしてくださいよ? 体調崩したら大変ですから」
社長はそう言いながら社長室に入っていく。
「はい。ありがとうございます」
俺は制作を続行する。
今回はいつものようにデザインがどうとかというだけでは収まらない。設計図としての役割を持たせなければならないのだ。材質は何にするのか。どうやって作るのか。予算は捻出できるか。様々な事柄を考慮しながらデザインをどうするのかを考えなければならない。
俺は浮かんだイメージを白いページに視覚化させてみる。しっくりこなくて消去。また浮かんだイメージをページに描き、しっくりこなくて消去。それを何度も繰り返す。二ヵ月という期限に焦りを感じながら考えていく。
俺が受け持つのは二件。もう一つは写真を使う。俺は会議で決めた大体のイメージを白紙の画面に具現化していく。パソコンの画面で専用のペンの先は順調に進んでいた。
「青野さん、よくペンが止まらないわね」
小坂が俺の後ろで絵の出来具合を見物していた。小坂はいつも俺のラフを見ながら色をどう塗っていくのかイメージを膨らませるのだ。
「今日はちょっと調子がいいかもね」
「調子がいい? 全然変わらない気がするんだけど?」
「え!? 嘘……」
「へこみすぎでしょ……」
小坂はただこうやって俺とくっちゃべりながらイメージを膨らませているわけではない。
たまに小坂からこうした方がいいんじゃないかという提案もしてくる。最初の頃は見ていただけだったが、俺が以前意見を求めたことがあり、それから小坂は積極的に提案をしてくるようになった。俺も意見を言う時には、小坂からまともな返しが来る。同意する時はするし、私はこうした方がいいと思うんだけどみたいな感じで意見を述べてくる。小坂のそういう所は仕事がしやすいと思っている。
勤務終了時間となり、従業員達は帰り支度をする。
「あー……今日は疲れちゃったよう~。僕、過労死しちゃうかも」
倉井さんが大げさなことを言いながら事務所を出ていく。
「倉井さんはもっと働いた方がいいですよ」
「ええ!? 小坂君、それ僕に対するイジメかい?」
「あははは……」
法堂さんが二人のやり取りを見て苦笑する。
「あれ? 青野さん、帰らないんですか?」
鹿賀里さんが椅子に座ったままの俺を見て、不思議そうな顔で訊く。
「ちょっとやることがあるからね」
「社長が来るまでやってるんですか?」
「社長が帰る頃に俺も終わるよ」
「まさか、残業で仕事する気!?」
小坂はまるで青天の霹靂と言わんばかりに驚愕している。俺が残業するのは新人の時にしかなかった。小坂が入った頃には仕事にも慣れ、残業する必要もなくなったのだ。だから、俺が残業で働くと聞くのは小坂にとって初めてなのだろう。
「いや、仕事とは関係ないから」
「だったらここでやらなくてもいいんじゃない?」
「まあ、そうなんだけど、ここならけっこう色々揃ってるし、やりやすいから」
俺は微笑する。小坂と鹿賀里さんは顔を見合わせて首を傾げる。
「そうですか。あんまり頑張りすぎないでくださいね」
鹿賀里さんが心配してくれる。
「そうだよ、青野君。あんまり頑張ると過労死するからね」
「はいはい。もうそのネタいいですから」
小坂が倉井さんをあしらいながら去っていく。
「じゃ、青野君頑張って」
「ちゃんと社長が来るまでいてくださいよ? 鍵持ってるの、社長しかいないんですから」
「うん」
俺は鹿賀里さんの忠告を受けて首肯する。
法堂さんと鹿賀里さんの顔が見えたのを最後に、事務所の扉が閉まった。
静かになった事務所。一人だけになって、デスクに置いてある小さなカレンダーを見る。カレンダーには日付に丸をした隣に、小さく手書きで仕事関係のメモが書いてある。九月のカレンダーから二枚捨てれば、十一月になる。その月は館花さんの結婚式がある。
俺は結婚式には行けない。だけど、このままでいいのか……。
館花さんとはただの同級生で、周りから促されて話をしだしたようなものだ。イチコイ作戦という名の恋人ごっこでかわした言葉も仕草も、全ては本物の恋人と上手くいくための練習でしかない。つまり、嘘で包まれた恋だったのだ。
だとしても、互いに本物の恋人のために努力してきた者同士である。蘭子の言った同志というのはそういう意味なのだとすぐに分かった。
今海香ちゃんと付き合えているのはみんなのおかげだ。そのみんなの中には、間違いなく館花さんも入っている。
いつの間にか俺は館花さんに強い仲間意識を持っていたらしい。その仲間が目標を達成しようとしている。少し感慨深いものがある。海香ちゃんと付き合えたことのお礼、そして、仲間が目標を達成しようとしていることへのお祝いをしたい、という衝動に駆られてしまった。そこで思いついたのが、新婦が身に着ける小物を作ってプレゼントをすることだ。
まずはイメージ図を作る作業から入りたい所だが、まだアイディアが無い。白紙の状態だ。なんせ思いついたのが昨日なのだから無理もない。なので、情報収集から開始だ。隣の倉井さんのデスクのパソコンを使い、結婚式で新婦が身に着ける小物の種類を調べる。俺はそれを確認した後、候補の中から絞り込むため、図書館で借りた装飾品の図鑑を見たりしながら具体的な物にしていく。
俺がそんな作業をしている内に事務所のドアが開いた。誰が入ってきたかは分かっている。
「誰かと思いきや、青野さんじゃないですか」
制服姿の社長が入ってきた。学校帰りだろう。
「お疲れ様です」
「何してるんですか?」
一人でいる俺を社長は不審な視線を向ける。
「ちょっと描きたい絵があるんですよ」
「仕事ですか?」
「いえ、個人的な物です」
「そうですか。まあ、ぼちぼちにしてくださいよ? 体調崩したら大変ですから」
社長はそう言いながら社長室に入っていく。
「はい。ありがとうございます」
俺は制作を続行する。
今回はいつものようにデザインがどうとかというだけでは収まらない。設計図としての役割を持たせなければならないのだ。材質は何にするのか。どうやって作るのか。予算は捻出できるか。様々な事柄を考慮しながらデザインをどうするのかを考えなければならない。
俺は浮かんだイメージを白いページに視覚化させてみる。しっくりこなくて消去。また浮かんだイメージをページに描き、しっくりこなくて消去。それを何度も繰り返す。二ヵ月という期限に焦りを感じながら考えていく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる