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ep.1目覚め
6 神子様って……②
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「え、これ?」
エリンが持ってきてくれたのは、想像していたのと少し違うパンツだった。三種類も持ってきてくれたけど、全部俺の思ってたのと違う。一つは紐みたいだし、もう一つは宝石もついたレースみたいなヒラヒラが沢山ある派手なやつ。穿くとゴワゴワしそうだ。最後の一つはシンプルだし俺が思っていたパンツに近い。でもちょっと生地が薄いような気がするけど。
「エリンはどんなのを穿いてるの?」
「えっ⁉︎」
「神官のみんなは?」
気になって見せてもらおうと思ったのに、顔を真っ赤にして全然見せてもらえなかった。扉の前にいた神官たちにも聞いたけど、みんな逃げまわって教えてくれない。仕方なくそれ以上追究するのは諦めた。結局俺が思っていたパンツに近い形の下着に決める。穿くとスースーするけど、ノーパンより落ち着くからまだマシかな。
前と同じような白い服に着替えて、髪も丁寧に乾かしてもらい、再びエリンが髪を結ってくれる。面倒だからばっさり切ってしまえばいいと思うんだけど。そういえばエリンもシリンもおかっぱだし、この世界では短髪は流行らないのかな。偉い人はみんな髪を結い上げたり三つ編みにしたり、とにかく飾り立てていたような気がする。でもアルバートはシンプルだったな。髪も長くなかった。
豪華なお風呂をすませると、扉の外ではエリンそっくりの双子のシリンが待っていて、食事の準備ができたと教えてくれた。聞いただけでお腹がぐーっとなる。健康にお腹が空く感覚、久しぶりだな。どんな料理が出てくるんだろう。
「お部屋に運びましょうか」
「俺、結婚式の会場で食べなくていいの?」
「アルバート殿に任せておけば大丈夫です」
「任せてばかりだと悪いよ」
よくわからないけど、俺もこの結婚式の主役だと思うし。みんな俺たちのために来てくれているなら顔を出した方がいいんじゃないかな。
困っているエリンとシリンのもとに、おじさんの司祭様がやって来た。たしかキリアンっていう名前の優しそうな司祭さん。もう泣いてない。
「出席者の方々にはお酒もふるまわれていますから、神子さまの安全のために別の場所で食事を召し上がっていただく方がよろしいでしょう。ですが、かなめ様がどうしても会場が気になるようでしたら下の階の様子が見える場所にお食事を準備いたします」
「じゃあそれでお願いします」
キリアン司祭さまが案内してくれたのは、吹き抜けに面した特別席だった。下の方にさっきまで結婚式を挙げていた祭壇も見える。こんな場所があったなんて気づかなかった。カーテンやシャンデリアがあるから見えなかったのかな。
下の階ではみんなが踊ったり、料理を食べたり、楽しそうに話をしてる。テレビで見たことのあるコンサート会場にいるみたいで興奮する。
「手を振った方がいいかな」
「こちらは下の階からは見えないように魔法がかけられています」
「そうなのか」
魔法が当たり前にある世界って不思議だ。
会場の人混みの中にアルバートの姿が見えた。着飾った人たちと笑顔で何か話してる。やっぱりかっこいいな。顔が整っていて姿勢が良くて、隣のお腹の出たおじさんとは比べ物にならないくらいスタイルがいい。さっき初めて会ったのに、なぜか姿を見ると安心する。
「かなめ様、お食事をお持ちしました」
「あっ、ありがとう」
立派な石のテーブルに料理が次々と運ばれてきた。名前も知らない料理ばかりだけど美味しそうだ。いい匂いがする。野菜や豆の入ったスープ、ソースのかかった柔らかそうなお肉やお米に似た雑穀の炒め物、鮮やかな色の果物、色のついた飲み物もたくさん。食器も豪華で白に金色の模様が入ってる。扉や神官の衣装に入っているのと同じ模様だ。
箸はなくて、大きさのさまざまなスプーンが並んでる。串みたいなものもあるけど、これは何に使うんだろう。
キリアン司祭さまと一緒に、神殿の料理長だという赤い顔をした中年のおじさんがやって来た。
「みっ、神子さまのために毎日書物を読み、お好きだと言われている料理を何年も修行してまいりました。まさか、神子さまご本人に召し上がっていただける日が来るとは……」
「どれも美味しそうです。どうもありがとうございます」
お礼を言うと料理長さんは膝から崩れ落ち、なんだか土下座までされてしまった。感激してるのかな。ここまでされると料理は絶対残せない気がする。神子さまってとんでもないな。
エリンが持ってきてくれたのは、想像していたのと少し違うパンツだった。三種類も持ってきてくれたけど、全部俺の思ってたのと違う。一つは紐みたいだし、もう一つは宝石もついたレースみたいなヒラヒラが沢山ある派手なやつ。穿くとゴワゴワしそうだ。最後の一つはシンプルだし俺が思っていたパンツに近い。でもちょっと生地が薄いような気がするけど。
「エリンはどんなのを穿いてるの?」
「えっ⁉︎」
「神官のみんなは?」
気になって見せてもらおうと思ったのに、顔を真っ赤にして全然見せてもらえなかった。扉の前にいた神官たちにも聞いたけど、みんな逃げまわって教えてくれない。仕方なくそれ以上追究するのは諦めた。結局俺が思っていたパンツに近い形の下着に決める。穿くとスースーするけど、ノーパンより落ち着くからまだマシかな。
前と同じような白い服に着替えて、髪も丁寧に乾かしてもらい、再びエリンが髪を結ってくれる。面倒だからばっさり切ってしまえばいいと思うんだけど。そういえばエリンもシリンもおかっぱだし、この世界では短髪は流行らないのかな。偉い人はみんな髪を結い上げたり三つ編みにしたり、とにかく飾り立てていたような気がする。でもアルバートはシンプルだったな。髪も長くなかった。
豪華なお風呂をすませると、扉の外ではエリンそっくりの双子のシリンが待っていて、食事の準備ができたと教えてくれた。聞いただけでお腹がぐーっとなる。健康にお腹が空く感覚、久しぶりだな。どんな料理が出てくるんだろう。
「お部屋に運びましょうか」
「俺、結婚式の会場で食べなくていいの?」
「アルバート殿に任せておけば大丈夫です」
「任せてばかりだと悪いよ」
よくわからないけど、俺もこの結婚式の主役だと思うし。みんな俺たちのために来てくれているなら顔を出した方がいいんじゃないかな。
困っているエリンとシリンのもとに、おじさんの司祭様がやって来た。たしかキリアンっていう名前の優しそうな司祭さん。もう泣いてない。
「出席者の方々にはお酒もふるまわれていますから、神子さまの安全のために別の場所で食事を召し上がっていただく方がよろしいでしょう。ですが、かなめ様がどうしても会場が気になるようでしたら下の階の様子が見える場所にお食事を準備いたします」
「じゃあそれでお願いします」
キリアン司祭さまが案内してくれたのは、吹き抜けに面した特別席だった。下の方にさっきまで結婚式を挙げていた祭壇も見える。こんな場所があったなんて気づかなかった。カーテンやシャンデリアがあるから見えなかったのかな。
下の階ではみんなが踊ったり、料理を食べたり、楽しそうに話をしてる。テレビで見たことのあるコンサート会場にいるみたいで興奮する。
「手を振った方がいいかな」
「こちらは下の階からは見えないように魔法がかけられています」
「そうなのか」
魔法が当たり前にある世界って不思議だ。
会場の人混みの中にアルバートの姿が見えた。着飾った人たちと笑顔で何か話してる。やっぱりかっこいいな。顔が整っていて姿勢が良くて、隣のお腹の出たおじさんとは比べ物にならないくらいスタイルがいい。さっき初めて会ったのに、なぜか姿を見ると安心する。
「かなめ様、お食事をお持ちしました」
「あっ、ありがとう」
立派な石のテーブルに料理が次々と運ばれてきた。名前も知らない料理ばかりだけど美味しそうだ。いい匂いがする。野菜や豆の入ったスープ、ソースのかかった柔らかそうなお肉やお米に似た雑穀の炒め物、鮮やかな色の果物、色のついた飲み物もたくさん。食器も豪華で白に金色の模様が入ってる。扉や神官の衣装に入っているのと同じ模様だ。
箸はなくて、大きさのさまざまなスプーンが並んでる。串みたいなものもあるけど、これは何に使うんだろう。
キリアン司祭さまと一緒に、神殿の料理長だという赤い顔をした中年のおじさんがやって来た。
「みっ、神子さまのために毎日書物を読み、お好きだと言われている料理を何年も修行してまいりました。まさか、神子さまご本人に召し上がっていただける日が来るとは……」
「どれも美味しそうです。どうもありがとうございます」
お礼を言うと料理長さんは膝から崩れ落ち、なんだか土下座までされてしまった。感激してるのかな。ここまでされると料理は絶対残せない気がする。神子さまってとんでもないな。
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