ゆめも

殺人鬼エンドへようこそ

４

私は、王城に引き取られた。第二王子と一緒に。
メルクラン王弟殿下が私の身元引受人兼義父だ。つまり、第二王子と従兄弟になったのだ。
王弟殿下は大変第二王子を可愛がっていた。
アレク様が私にべったりなので、離れさせるのは可哀そうと言うことで、私を引き取り、そのまま、第二王子の婚約者兼友人になった。アレク様も私もまだ3歳なんだけど・・・。11月生まれの殿下。3月生まれの私。4か月だけ離れている殿下の方が年上だが、今は同じ3歳である。

ちなみに、名前も変わった。
・・・と言うかまともにつけてもらった。
教会にいるときは聖女様としか呼ばれなかったが、今は、マリア・エスティバルと言う名前になった。偶然にもゲームのヒロインと同じマリアである。まあ、マリアって言う名前、この世界には一杯いるので、無問題。
ただ、気になるのは名字である。
エスティバル。
王弟殿下は名字がエスティバルなのだ。前世の私の名前と一緒だ。

何故、王弟殿下がエスティバルなんだろうか？
王も王子も名字はアルストイックなのに。

と言っても、6週クリアーした中で一切王弟殿下の存在は出なかったので、今の私にはわからない。6週シークレットキャラも攻略したのに、私の存在はゲーム内には存在しなかった。
・・・まさか、学園入学前に死んじゃうの？
ま、まさかね？

・・・いや、そんな訳ないよね？？？

だ、大丈夫。だって、元がチートだもの。きっと大丈夫。
前世ではやった転生系の小説を思い出す。
転生自体は何度も経験してきたが、そこで感じたのは知識チートはほとんど無理と言うこと。
何度か前世を持った人間が挑戦しているのを見たが、勝手が違うのだ。料理系は同じものを作れたとしても味覚が同じではないので、微妙なことになる。挑戦できそうな揺れない馬車とかは、職人の力あってこそ。既に釣鐘式の馬車があるので、私は満足だしね。

それに何より、それらの技術が戦争に結びつくことを知らなかった転生者たちは嫌が応にも徴兵されて、戦争に行くことになったのだ。無双絶対しない。

他人がやるなら、別に手は出さないけどね。
戦争になっても止めたことは無い。流れを止めると逆に犠牲が増えると知っているからだ。
そして、一番に死ぬのは私になる様にしている。
戦争で私を守るために死ぬ妖精や精霊が出たら困るからだ。
確かにその場合は、退場するけど・・・。
え？戦争起こるの？マジで？嫌だなぁ・・・。

でも、それだったら納得する。
・・・でも、このゲーム好きだったんだよなぁ・・・。足掻いていいだろうか？
ちなみにゲームの舞台となる学園は13歳から16歳。後10年のうちに戦争が？

・・・確かによく考えれば、騎士団長自体もかなり若かった気がする・・・。宰相もだ。ゲームで宰相やってた人じゃない。
と考えると内戦が考えられるな。よし、王弟殿下には役に立ってもらおう。
ゲームイベント実に楽しみなんだ。
誰が殺人鬼役になるのか？そして、誰がヒロインから選ばれるのか。そして、コレクションは一体どんなものになるのか。実に楽しみだ。