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第十四話

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レオルド伯爵とドレッド伯爵はそれぞれ応接室のソファで待たされていた。

「ドレッド叔父さん、何故だか先程から上機嫌ですね?」

そうレオルド・ベイカーはドレッド・ベイカー伯爵に尋ねる。

今日はレオルド伯爵と婚約する予定のステラお嬢様に会う予定だ。

それなら俺1人でいいのでは?とレオルドは不思議に思う。

「いやいや、可愛い甥っ子の門出を祝うのも、叔父の役目だからなぁ?」

一方、ドレッドは既にこの時、もうステラは自分の物になることを確信していた。

なにせ公爵夫人とこう約束したからだ。

100万ペルでうちの1番出来損ないの娘を譲ると。

世間体として、レオルド伯爵と婚約という事にすること。

もしステラが逃亡したら、それを捕まえて好きにしていいと。

ステラお嬢様は案の定逃げ出した。
しかし捕まえてしまえばなんの問題もない。

「しかし、ステラお嬢様が見当たらないとは、何かあったのですかね?」

そう暢気にレオルド伯爵は言う。

「さあな、急な婚約で嫌気がさして逃げたんだろ。」

こちらも暢気にドレッド伯爵は答える。

待っていると、1人の若い可愛らしい少女と公爵が入ってきた。

「そちらがステラお嬢様ですか?お話では私と同じ16歳だと聞いていたのですが…」

レオルド伯爵はあまりに若く見える少女に首を傾げる。

「いえ、実はステラがまだ見つかっておらず、この婚約は、本当に申し訳ないが、一旦破棄にさせてくれないだろうか?」

そう公爵は深く頭を下げた。
隣の少女もそれを倣って頭を下げる。

「そんな、頭を上げてください公爵様!それにお嬢様も!」

そうレオルド伯爵が言うと2人はゆっくり頭を上げた。

「それで、レオルド伯爵には大変申し訳ないのだが、こちらから別の提案をさせてくれないか?
実はこちらステラの下の娘、リザというのだが、ステラ以上に気立が良いんだ。
まだ11歳なのだが、もしよろしければリザとの婚約は如何だろうか?」

苦し紛れに公爵は提案してきた。

「長女が駄目なら次女と?」
レオルド伯爵は少し冷ややかに相手を牽制する。
それに対して公爵はすぐさま滅相も御座いません!と謝ってきた。

「今までもそうですが、お恥ずかしいことにうちのステラは大変我が儘でして、今回の件でステラを正式に破門しようと思います。
そうすれば、必然的にうちの長女はリザになります。」

「成る程、確かに筋が通りますね。」

チラリとレオルドはリザの顔を見やる。

リザはそれに応える様に可愛らしく微笑んだ。

レオルド伯爵は少し考えた後、こう告げた。

「分かりました。急な事ですが、こちらも前向きにリザお嬢様との縁談を考えさせて頂きます。」

その後、レオルド伯爵とリザの縁談はスムーズにまとまっていった。
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