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本編
第四話 まずは謝罪から
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「は……? と、いいますと?」
「貴方は本当に救いようがないなシューリース子爵。否、貴方だけじゃない。貴方がた4人全員だ。サラ嬢、フラン夫人。そしてアランくん。これだけのことをしたんだ。まずは謝罪からするのが筋だろう?」
アベル公爵がそう言うと4人はハッとしたような顔になりアベル公爵に向き直ると全員で同時に頭を下げた。
「公爵。本日は貴殿が主催したパーティーでこのような騒ぎを起こしてしまい申し訳ありませんでした! 妻も娘もこの通り反省しています。どうかお許し頂けないでしょうか?」
「私からも申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」
「俺からも謝罪します。公爵のパーティーの空気を乱してしまい申し訳ありませんでした」
お父様が、お母様が、サラが、アランが公爵に申し訳なさそうに__否、恐らく保身の為の素振りで実際は申し訳なさ等覚えてないであろうが__ともかく、頭を下げて謝罪の言葉を口にした。
「はぁ……セリア。君もきっとこんな家族で苦労したことだろう。本心では、もっと早く家を出たいと思っていたんじゃない?」
「えぇ……まぁ……」
この国では、貴族の娘が勝手に家から離れて就業する、なんてことは基本的に許されていない。成人の儀を迎えるまでは婚約者の家に住むことすら基本的には許されないのだ。もっとも、婚約者の身分が公爵以上なら多少融通が効くが。
私の家族は、なんというか自分本位な人達ばかりで、両親は私より甘え上手なサラのことを可愛がっていた。
正直に言うと家から早く離れたかった。今の有様をみていると特に思う。
だって私の慢心じゃ無ければ恐らく公爵が求めているのは__
「君たちが謝るべきなのは僕じゃなくてセリアだろう? どれだけ僕を馬鹿にすれば気が済むんだい?」
アベル公爵はそう言って4人に向かって微笑んだ。もっとも、その瞳は全く笑っていなかったが。
「はぁ!? なんで私がお姉さまなんかに……!」
「おいサラ! 黙りなさい。公爵。セリアの事でお気持ちを害してしまったなら大変申し訳なく思っております。セリア。軽率なことを言ってすまなかった。ほら、サラも謝りなさい」
「ッ……すみませんでしたお姉さま」
「ごめんなさいねセリア」
「俺も悪かったよセリア。もう少し時と場所を弁えるべきだった」
そう言って4人は今度は私に向かって頭を下げた。どうせお父様は公爵を敵に回すのが怖くてその場を丸く収めようとしているだけだろう。サラは悔しそうに私を睨みつけている。
「ふん。どうせ保身の為に謝っただけだろう……セリア。どうする? これで君の気が晴れたなら僕も彼らを許すけど」
「え……!? わ、私ですか……? えっと……少し釈然としませんが、謝ってくれたので私はもう満足です」
「そっか。セリアは優しいね。じゃあ行こうか」
そう言ってアベル公爵は私の手を引いて歩こうとする。
「は……? 公爵。どちらへ?」
「バルコニーに」
「それはまたどうして?」
「僕とセリアはこれから夫婦となるんだ。積もる話もあるとは思わないかい?」
アベル公爵はそう言うと、お父様を一瞥して私の手を引いたままバルコニーへ向かって歩き出した。
「貴方は本当に救いようがないなシューリース子爵。否、貴方だけじゃない。貴方がた4人全員だ。サラ嬢、フラン夫人。そしてアランくん。これだけのことをしたんだ。まずは謝罪からするのが筋だろう?」
アベル公爵がそう言うと4人はハッとしたような顔になりアベル公爵に向き直ると全員で同時に頭を下げた。
「公爵。本日は貴殿が主催したパーティーでこのような騒ぎを起こしてしまい申し訳ありませんでした! 妻も娘もこの通り反省しています。どうかお許し頂けないでしょうか?」
「私からも申し訳ありませんでした」
「申し訳ありませんでした」
「俺からも謝罪します。公爵のパーティーの空気を乱してしまい申し訳ありませんでした」
お父様が、お母様が、サラが、アランが公爵に申し訳なさそうに__否、恐らく保身の為の素振りで実際は申し訳なさ等覚えてないであろうが__ともかく、頭を下げて謝罪の言葉を口にした。
「はぁ……セリア。君もきっとこんな家族で苦労したことだろう。本心では、もっと早く家を出たいと思っていたんじゃない?」
「えぇ……まぁ……」
この国では、貴族の娘が勝手に家から離れて就業する、なんてことは基本的に許されていない。成人の儀を迎えるまでは婚約者の家に住むことすら基本的には許されないのだ。もっとも、婚約者の身分が公爵以上なら多少融通が効くが。
私の家族は、なんというか自分本位な人達ばかりで、両親は私より甘え上手なサラのことを可愛がっていた。
正直に言うと家から早く離れたかった。今の有様をみていると特に思う。
だって私の慢心じゃ無ければ恐らく公爵が求めているのは__
「君たちが謝るべきなのは僕じゃなくてセリアだろう? どれだけ僕を馬鹿にすれば気が済むんだい?」
アベル公爵はそう言って4人に向かって微笑んだ。もっとも、その瞳は全く笑っていなかったが。
「はぁ!? なんで私がお姉さまなんかに……!」
「おいサラ! 黙りなさい。公爵。セリアの事でお気持ちを害してしまったなら大変申し訳なく思っております。セリア。軽率なことを言ってすまなかった。ほら、サラも謝りなさい」
「ッ……すみませんでしたお姉さま」
「ごめんなさいねセリア」
「俺も悪かったよセリア。もう少し時と場所を弁えるべきだった」
そう言って4人は今度は私に向かって頭を下げた。どうせお父様は公爵を敵に回すのが怖くてその場を丸く収めようとしているだけだろう。サラは悔しそうに私を睨みつけている。
「ふん。どうせ保身の為に謝っただけだろう……セリア。どうする? これで君の気が晴れたなら僕も彼らを許すけど」
「え……!? わ、私ですか……? えっと……少し釈然としませんが、謝ってくれたので私はもう満足です」
「そっか。セリアは優しいね。じゃあ行こうか」
そう言ってアベル公爵は私の手を引いて歩こうとする。
「は……? 公爵。どちらへ?」
「バルコニーに」
「それはまたどうして?」
「僕とセリアはこれから夫婦となるんだ。積もる話もあるとは思わないかい?」
アベル公爵はそう言うと、お父様を一瞥して私の手を引いたままバルコニーへ向かって歩き出した。
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