4 / 7
4
しおりを挟む
「お別れなんだ、話したいこと、話し足りないこともあるだろう。少し時間を与えるから伝えたいことがあるなら今のうちだよ」
黒服の男は椅子から腰を上げると後ろを向きました。
少年は少女の両肩を優しく掴むと、しっかりと少女の目をみて言いました。
「少しのお別れだけど、必ず迎えに行くからそれまで待っていてほしい」
「お別れ……? 私、お兄ちゃんとお別れするの?」
「うん、ほんの少しだけ。だから待っていてくれないか?」
「うん、わかった。……待ってる」
2人はお互いに少し言葉を交わしたあと、少年は男に言いました。
「儀式について教えてほしい」
「儀式について……ね。いいよ、教えよう。その儀式とは…… 『オオカミ退治』のことだよ」
「オオカミ…たいじ……」
「そう、オオカミ退治。君も両親、祖父母から一度は聞いたことあるだろう? キミが住んでいるこの街にはオオカミが出るんだ。夏の終わりの夜に。だから夜は森に入ってはいけない。夜に外に出るとオオカミに食べられるぞ、ってね」
男は続けて言いました。
「もしかして、キミはそれを知っていて、今日森へ入ったのかい? そしてキミたちが初めて出会ったあの場所で星をみた、と?」
「サナに綺麗な星を見せてあげたくて……」
少年はこくりと頷きました。
「そうか……よかったね~オオカミに出会わなくて。出会ってたら、バクッと食べられて身体をぐちゃぐちゃにされてたかもね~」
男の言葉に2人は震えました。
「そこで星姫様のご登場だ。夏の夜に降る流れ星に星姫様が願い事をする。そして自らの肉体をオオカミに捧げることで、オオカミは人間を襲わずに眠りにつく。そうやって毎年オオカミを抑えてきたんだ。これがとても重要なことなのは理解できるかな」
「じ、じゃあ、儀式をしたらもうサナと一生会えないってこと?」
「そういうことになるね」
「イヤだ。絶対イヤだ!」
「なら、キミにできることは一つ。自分でオオカミを退治することだ」
「っ…………」
「とにかくそういうことだから、星姫様は連れて行くよ。……あ、そうそう。儀式は明日の夜、キミ達がさっきまで星空を見ていたあの場所で行われるから。楽しみにしているよ、少年」
この言葉を残して、星の使徒はサナを連れてどこかへ行ってしまいました。
少年とってこの日の夜はとても短く感じました。
黒服の男は椅子から腰を上げると後ろを向きました。
少年は少女の両肩を優しく掴むと、しっかりと少女の目をみて言いました。
「少しのお別れだけど、必ず迎えに行くからそれまで待っていてほしい」
「お別れ……? 私、お兄ちゃんとお別れするの?」
「うん、ほんの少しだけ。だから待っていてくれないか?」
「うん、わかった。……待ってる」
2人はお互いに少し言葉を交わしたあと、少年は男に言いました。
「儀式について教えてほしい」
「儀式について……ね。いいよ、教えよう。その儀式とは…… 『オオカミ退治』のことだよ」
「オオカミ…たいじ……」
「そう、オオカミ退治。君も両親、祖父母から一度は聞いたことあるだろう? キミが住んでいるこの街にはオオカミが出るんだ。夏の終わりの夜に。だから夜は森に入ってはいけない。夜に外に出るとオオカミに食べられるぞ、ってね」
男は続けて言いました。
「もしかして、キミはそれを知っていて、今日森へ入ったのかい? そしてキミたちが初めて出会ったあの場所で星をみた、と?」
「サナに綺麗な星を見せてあげたくて……」
少年はこくりと頷きました。
「そうか……よかったね~オオカミに出会わなくて。出会ってたら、バクッと食べられて身体をぐちゃぐちゃにされてたかもね~」
男の言葉に2人は震えました。
「そこで星姫様のご登場だ。夏の夜に降る流れ星に星姫様が願い事をする。そして自らの肉体をオオカミに捧げることで、オオカミは人間を襲わずに眠りにつく。そうやって毎年オオカミを抑えてきたんだ。これがとても重要なことなのは理解できるかな」
「じ、じゃあ、儀式をしたらもうサナと一生会えないってこと?」
「そういうことになるね」
「イヤだ。絶対イヤだ!」
「なら、キミにできることは一つ。自分でオオカミを退治することだ」
「っ…………」
「とにかくそういうことだから、星姫様は連れて行くよ。……あ、そうそう。儀式は明日の夜、キミ達がさっきまで星空を見ていたあの場所で行われるから。楽しみにしているよ、少年」
この言葉を残して、星の使徒はサナを連れてどこかへ行ってしまいました。
少年とってこの日の夜はとても短く感じました。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる