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1章 投げる冒険者

31話 評価爆上がり

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 聞き取りが終わった後、俺は宿に戻り、ベッドの上で泥のように眠った。血塗れの服で何も考えずに。

 結果、疲れは取れたが、宿から洗濯代として金を取られてしまった。こればかりは水浴びをしなかった俺のせいだ本当に申し訳ない。

 ギルドに復帰したのは、帰ってきてから3日後。職場に戻った俺に待ち構えていたのは、他の冒険者達からの羨望の眼差し。そして、2桁の指名依頼だった。

「これは、一体どういうことです?受付嬢さん」

「情報もロクに無い魔物を2人で計97体も倒したんですから当然の評価ですよ。では、こちらから好きな依頼を1つお選び下さい。指名依頼は2週間が経過すると、自動的に無指名依頼になるのでお気をつけて」

「分かりました・・・じゃあ、このプチゴーレム討伐で」

「かしこまりました!では、行ってらっしゃいませ!!」

 プチゴーレム。洞窟で自然発生した1mサイズのゴーレム。複数体いる為、2人以上での参加を推奨します・・・か。

「とりあえず、朝ごはん食べよ」

 腹が減っては戦はできぬ。どんなに活躍しても慢心はいけない。しっかりと腹を満たしてから挑む事にしよう。

 酒場は、食事処としても機能している。酒場でも、視線を向けられたが、気にせずテーブル席に座る。これじゃ、友達もできやしないな・・・。

 若干の孤独を感じていると、対面するように、1人の少女が座ってくる。

「・・・生きてたのね」

「そちらこそ」

 ヘリナ先輩だ。既に全快していたらしい。

「昇級試験、どうでした?」

「審査待ち。でも、オーナー曰く、合格は確実らしい」

「おめでとうございます」

 良かった。これで、失敗とかだったら目も当てられない。

 背中を預けて戦った仲間とはいえ、関係はまだ始まったばかりで薄い。どんな会話を続けて良いか分からず困っていると、俺の依頼を奪ってきた。

「へぇ、プチゴーレム・・・面白い依頼来てるじゃん。2人以上って書いてあるけど、誰と行くの?」

「今から募集しようかと思いまして」

「ふ~~~~ん・・・」

「・・・・」

「・・・・」

「・・・一緒に行ってはくれませんか?」

「・・・はぁぁ~仕方ないわね。暇だし、お金もなるべく貯めておきたいし、評価あがるかもしれないし、アンタとは相性良いみたいだし、悪い気はしなかったし。良いわ、一緒に行ってあげる。ただし、報酬は半分ね」

「9000ルースですね、分かりました。朝ごはん一緒にどうです?」

「もう食べた。だから、アンタを見てる」

 宣言通り、食べ終わるまで見続けられた。一応気に入ってはくれたみたいだ。
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