45 / 113
乙女ゲーム本編突入です。
第45話:デビュタント(ダンス)
しおりを挟むバカ殿下とチョコアがフロアへと出て来ます。
踊り出すのかと思いきや、腕にチョコアをぶら下げたままバカ殿下がこちらに歩いて来ました。
バカ殿下は馬鹿だから、チョコアを伴って私をフロアに引きずり出す気みたいです。
3人で踊るってか!?フォークダンスか!マイムマイムか!?
ふざけんなよ。
自分が恥ずかしいダンスを披露したくないからって、私と踊ろうってか。
チョコアをパートナーに選んだんだ。
テメエのケツくらい、テメエで拭け。
どこの世界に違う女を連れてパーティーに出たくせに、婚約者と踊る馬鹿がいるんだよ。
あ、ここに居たわ。
義姉がさりげなくバカ殿下と私達の間に移動します。
その間に、兄は私をダンスに誘いました。
ライジ殿下が踊り終わってますので、私が兄と踊っても問題ありません。
特に今の状況なら、誰も文句は言わないでしょう。
兄の手を取り、颯爽とフロアへ。
兄妹ですが、見た目の可憐さは先程のライジ殿下達に負けません。
私達が踊り出すと、サラ達もフロアに出て来て踊り出しました。
サラの貫禄ボディのせいで、デビュタントに見えないとは、本人の前では言ってはいけない。血を見るよ!
ミリフィール、ジェラールもフロアに出て来ます。
私達はそれぞれ目が合うと微笑み合い、デビュタントを満喫してます!アピールですよ。
兄とのダンスが終わると、まだ立ちすくんでいたバカ殿下が寄って来……ようとしたのを遮って、ライジ殿下が私にダンスを申込みました。
この腹黒殿下め。
「フィオ、今日は異母兄がすまなかったね」
フロアの中央でライジ殿下が囁いてきた。
ダンスで密着してるから、まあしょうがないんだけど、甘い声にゾクゾクする。
「陛下に、ちょっと『学園に平民が1人だけだから、デビュタント後は肩身が狭いだろう』事と、異母兄と仲が良い事を伝えただけなんだけどね」
確信犯め。爽やかな笑顔に見えるけど、目が笑ってないよ。
「いやぁ、フィオ用に用意されていたドレスを彼女のサイズに直すのに苦労したよ」
え?今なんと?
「あれ?知らなかったのかい?
マカルディーは君の為にドレスを用意してたんだよ」
チラリとチョコアを……正確には着ているドレスを見る。
金を基調に紫のレースがふんだんに使われている。
正直、私には絶対に似合わない。
色も、デザインも。
「男尊女卑、の主張しかないドレスですね。私に似合うかとか、一切考えられてない、マカルディー殿下一色のドレス。
これはチョコア様に感謝しなくてはいけませんね」
私の正直な感想に、ライジ殿下は楽しそうに笑う。
「今日のドレス、とても似合っているね」
私の色を使った、私に似合うデザインのドレス。小物は兄の色。
「ありがとうございます」
素直にお礼を言っておいた。
私と踊った後、ライジ殿下はサラと踊ります。
サラの赤のドレスはライジ殿下の瞳のような綺麗な赤。
レースの金もライジ殿下のプラチナブロンドとバランス良く、まるで2人がパートナーのようです。
ん?ライジ殿下が唯一身に付けている宝石は、赤紫。
青味の強いプラムのような、まるでサラの瞳のような色です。
あれ?やっぱりそうなのかな?
サラと踊り終わったライジ殿下は、ミリフィールと共にフロアに戻って行った。
デビュタントだからか、ライジ殿下大盤振る舞いである。
他の公爵家令嬢とは、もう踊らないんだろうけど。
今日デビュタントの公爵家のうち、令嬢は6名。
公爵家総数が10家な事を鑑みると、8家が殿下達と同級になる事に成功したわけだ。うちらも含めて、だけど。
侯爵家は総数24で16家が同級。
皆、子作り頑張ったね。
ちなみに、うちは偶然です。
バカ殿下とチョコアですが、フロアの端でコッソリ踊ってましたよ。
皆、両殿下の動向には注目しているので、本当にコッソリになってたかは謎ですけどね。
足を踏まれたり、フワリと回るはずがチョコアの体幹がしっかりし過ぎて動かなかったり、面白ダンスになってましたわ。
しかも、一曲終わっても非常識女が殿下を離さず、ずっと踊ってましたよね。
いやぁ、見てて楽しかったわ。
応援ありがとうございます!
11
お気に入りに追加
1,897
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる