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27a:王妃というもの
しおりを挟む謝恩パーティーが終わり、それぞれが家族と共に帰って行く。
王族もそれぞれの馬車に分かれて乗り込んだ。
馬車が走り出した瞬間、急停車する。
アメリアとアルフィーの乗る馬車の前に、フーリーが飛び出したのだ。
「話をさせてくれ!」
そう叫び、退く様子も無い。
「どうしましょう?」
馭者が困惑気味に聞いてくる。
さすがに昨日まで仕えていた相手を無視するのは気が引けるようだ。
物理的にも無視出来ない。
「馭者席に乗せてあげなさい。家族との最後の別れの挨拶くらいさせてあげましょう」
優しく微笑みながらも、決して馬車内には入れないアメリアに、アルフィーは苦笑した。
王宮のサロンにアルフィーとアメリア、そしてフーリーが居た。
アルフィーとアメリアが席に座っている。
王と王妃は、会うのを拒否した為、ここには居ない。
「おい、俺の椅子は!?」
フーリーがお茶の準備をしているメイドを怒鳴りつける。
「正式に招待していない平民に席はございません」
アメリアが優しく諭す。
「な!?」
怒りに顔を赤く染めるフーリーを見ても、アメリアは変わらない。
「お話とはどのような内容でしょうか」
フーリーに話をするよう促す。
その姿は、民の声を聞く王妃だった。
王宮のプライベートサロンで、アルフィーとアメリアはお茶をしていた。
散々「俺は騙された」「アメリアを愛している」「必ず幸せにする」と訴えるフーリーの話を聞かされ、アルフィーは疲れ切っていた。
「なぜまだアメリアと結婚出来ると思うのか、理解出来ない」
溜め息を吐くアルフィーに、アメリアは優しい笑顔を向ける。
見ると安心するような笑顔だ。
「理解する必要の無い方です。王家の、いえ貴族の婚姻の意味も解っていないから、不貞行為も出来たのでしょう」
アメリアの表情は変わらない。
「自業自得です」
笑顔でバッサリと切り捨てる事の出来る、無慈悲な王妃がそこには居た。
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