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第六章 【二つの世界】

6-192 違和感2

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「あの……ステイビルさんは今どこに?」



「ステイビル……」

「……さん?」




エレーナとソフィーネの二人は、ハルナの頭越しに顔を見合わせた。
二人には自分たちが知っているハルナのようだが、何かどこかが自分たちの知っている今までとは違うハルナであるように感じていた。
だが、それが何によって違和感を感じているのかまでははっきりと判っていなかったが、いまのハルナの問いかけに対し、エレーナがとりあえず答えるとソフィーネに頷いて答えた。


「あ……あのね、いまステイビル王は……準備中なの」


「準備?なんの??」


「攻撃の……よ。グラキース山の麓に立てこもっているキャスメルおう……いやキャスメルを制圧するためのね」


ハルナはエレーナの言葉に知っているような状況が、頭の中に入ってくる……が、所々自分が知っているものと違う箇所があり、それがいつまでも自分の中で飲み込めないでいた。

エレーナもその話に対してのハルナからの反応を待っているのか、黙ったままハルナの顔を見つめている。
それは決して焦らせているものでもなく、相手と話し合うための雰囲気を用意してハルナの言葉を待っていた。

それに気付いたハルナは、今の段階で自分が感じているおかしな内容を、エレーナに問いかけてみた。


「えっと……ステイビル王子が……グラキース山に立てこもってるキャスメル王子……ね、まさかナルメルさんやイナさんたちも?」


「そうよ……それにキャスメル王子じゃないのよ?」


「王子……じゃない?……ちょっとまって、どういうこと!?」



ハルナはその事実に驚き、食い掛り気味にエレーナに迫っていく。
自分の知っている世界と所々が異なることに、一体何が起きたのかを知るために。
それよりもエレーナたちが、ハルナに感じていた違和感を解消するために、ハルナに優しく問いかけた。


「あのね……ちょっと落ち着いて、ハルナ。あなたちょっと昨日までと全然違うじゃない?一体何があったの?」


「わ、私……違う場所に……ううん、同じ場所なんだけどを……違うところに」



ハルナは、サヤと自分の身の上に起きたことをエレーナに説明しようとした。しかし、何から話していいか分からず、うまく伝えられるかどうかも。さらには、信じてもらえるかどうかもわからないし、目の前のエレーナも自分の知っているエレーナではない可能性もあった。
そう考えると、ハルナの口に出したい情報は、自分の中にいるもう一人の自分が、それを止めようとしていた。


そんなハルナの様子をみて、エレーナはハルナの身に何かが起きたことを察して、まず先程のハルナの質問に答えることにした。


「まず、さっきのハルナが言った”ステイビル王子”のことだけど……」


エレーナがハルナに説明した話は、ステイビルは王選に勝利し、現在は国王としてその地位を父親から引き継いでいると説明した。
そのことは国民からも祝福され、キャスメルもそのことについては納得のいく結果だと認めていた。
そこまではハルナも自信が手を貸していたステイビルが国王となったことに

だが、そこから先に問題が生じたという……王妃という問題を。






「そして、王妃に選ばれたのは貴女なのよ……ハルナ」








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