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第六章 【二つの世界】

6-300 追及

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剣の創造者からの三回目の説明によって、ハルナもようやく落ち着いて世界の崩壊と自分の力の関連性は認めつつ、力の大きさが直接的な原因ではないことを理解した。




「確かに、私の力のせいで崩壊することはないことはわかりました。でも、その要因にはなりえる……そういうことですね?」



「あぁ、そうだ。だからこそ、今すぐこの世界がどうにかなるということはない」






剣の創造者の能力は、世界という”箱”を用意するようなものだといった。反対に盾の創造者は、その中身を埋めていく能力だという。
その盾がこの世界と、もう一つの世界を管理しているため、今すぐに何かが起きるといったことはないという。



そこでハルナは、ある疑問が浮かぶ。どのような理由があるにしても、世界が崩壊してしまう可能性があるということ。まずハルナは、その条件について情報を得ようと考えた。

そうすれば、その結果にならないように行動すれば良いのだから。



「……でしたら、どうすれば世界が崩壊してしまうのですか?」



ハルナの質問に剣の創造者は、一旦言いかけた言葉を飲み込んだ。その後に再び視線をハルナの背中の盾に移し、表情には見せないが迷うような雰囲気が本の僅かな沈黙と空気の中から漂ってくる。
きっとそのことを伝えれば、盾が本来知らなかったことまで知らせてもらう可能性があると、剣の創造者はハルナからの質問に答えることを躊躇していた。

しかし、ハルナの猜疑心を晴らすためには、これから起こりえる問題点を説明して理解してもらう必要がある。最終的には、ハルナがこちら側に協力してもらわなければ、本当に世界の危機が訪れてしまう。



「……」


黙ったままのサヤ――今は剣の創造者が、どのように対応するのか迷っている姿を見たハルナは、待ちきれなくなり声をかけた。



「サヤ……じゃなくて剣の創造者さん、質問を変えましょう。あなたとサヤちゃんはどうして協力しているのですか?」



「それは、お互いの目的が一致したためだからだ。私もこの世界の行く末を心配している、当然子の身体であるサヤも……っ」


「……どうしました?」


「いや、すまない。自分のことは語ってほしくないらしい」




そう言いながら、剣の創造者は自分の胸のあたりを人差し指でトントンと指し示した。
その行動でハルナも、今の剣の創造者の頭の中で、サヤの声で”あの”いつもの勢いで自分のことを語られることを阻止したのだろうと判断した。

そのやり取りを少し羨ましそうに感じながら、ハルナの中では少しずつ剣の創造者に対する警戒感が薄れた気がした。





「では、もう一つお聞きしたいのですが」


「……なんだ?」


ハルナからの質問の言葉が、少しだけ和らいだ声の色に思えた剣の創造者は、先ほどよりも少し心配事が軽くなりハルナの次の言葉を待つ。


「あなたは、この世界をどうしたいのですか?もし、救いたいのだとしたら、その理由が知りたいのですが……」


「世界を……救いたい……理由?」




剣の創造者は、今まで聞かれたことのない質問に、自分の中にその答えを探るように意識を集中させた。






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