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第六章 【二つの世界】

6-419 受け入れるべき事実

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「さて……と」


『……くも……よくも、やってくれたわね?』



「何言ってんだ?それは、こっちのセリフだよ。あんなところに閉じ込めておいてさ、アンタ酷くない?」



その言葉もサヤにとっては、相手を責める意思は込められていない。
それよりも、あの空間から逃げ出せた事実を突きつけて、どちらの実力が上かを見せつけていた。
そのことを感じた盾の創造者は、修復しつつあるハルナの肉体が感情に溢れて震えていた。


しかし、相手は素直なハルナと違い一癖もあるサヤだ。盾の創造者は、軽く息を吐いてた高ぶる感情を無理やり抑え込んだ。





『……それにしても、どうやってあの空間を出ることができたのかしら?』


「あ?……あぁ、そのこと?それならアンタの相棒が力を貸してくれたんだよ」


『相棒……あの存在のこと?だけど、そんなことできるはずがない……ありえないわ!?あの空間を抜け出すなんて……そうよ。物理的に破壊……する……しか……まさか』



盾の創造者は、サヤたちがこの場にいる理由を探した。
いくつか思い浮かんでいく可能性の中で、盾の創造者が考えうる一番最悪な可能性にたどり着いてしまい言葉が途切れていった。
そのことを察したサヤが、盾の創造者の心情を少しだけ考慮しながらその想像が間違っていないことを告げる。


「……アンタが強引にことを進めなけりゃ、こんなことにはならなかったんだ。アイツだってアンタを止めようとしてただろ?だけどアンタは聞きやしなかったんだ」

『……こんなことって……あなたたちには何の関係もないでしょ?元々はこの世界の存在じゃない!しかも、この世界は”私たち”が創ったのよ、どうしようといいじゃないの!?それに、完全に消し去るわけじゃなくて、もう一回創りなおすって言ってるのだから、何の問題もないでしょ?どうして私が悪いことになるの!?』


「剣の創造者さんは……アナタが壊そうとしていたこの世界が気に入っていたんですよ!?」

「……ハルナの言う通り、アイツはこの世界をアンタから守るためにアタシたちに託したんだよ……その身を掛けて……な」


そのサヤの言葉が、再び考えたくもなかった先ほどの予測を思い出させた。
盾の創造者はその存在を確認すべく、サヤに今の剣の創造者の状況を確認した。


『ね……ねぇ。サヤ?』

「ん?……なに?」

『あ……あの、いま……あの存在は……どうしてるの?少しでいいから、話しさせてくれる?』


サヤはその盾の創造者からの質問に、一瞬戸惑いを見せる。
あそこまで”匂わせた”はずなのに、もしかしてそのことを理解できないのかと……しかしその考えも、すぐに自分の中で否定をした。
この感触は、”知りながら聞いている”ものだと。
だからこそ、サヤはここではっきりと事実を伝えた。


「だから、言ったろ?アイツはアタシたちを逃がすために自分の存在を資源化させたんだ。それをアタシたちが圧縮させ、暴発させてあの空間を破壊して逃げ出せたってわけ」


この世界に逃げ出した種明かしをすると、盾の創造者の目は虚ろになり、顔の表情からは力が抜けていた。






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