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49話 第7の物語
しおりを挟むちゃんと強い意志を持って生まれ変わった第7の物語
全てをちゃんと覚えていた。
直ぐに君を探しに行きたかった。
少しでも長く、君といたいから!!
そして、第6の物語で学んだこと…それは、有名になること!
有名になれば君に気が付いてもらえる。
でも、今回は男に生まれたので【歌姫】とはいかないようだ。
きっと、君を見つけ出す!!
そう意気込んでいた。
10歳になった時だった…
テレビの中に君を見つけた。
ほんの一瞬だったけど、あれは確かに君だった!!
早くも君を見つけられたことが嬉しかった。
そして、君も俺と同じ考えだったんではないかと思った。
だとすると、今回も君は記憶を覚えているっ!!
そんな浮かれた気持ちだった。
キラキラなオーラに包まれて歌って、踊っている君。
可愛らしい容姿は今までで一番、雨の君に似ていた。
歳もきっと俺と同じくらいだ!!
男性アイドルの後ろで踊る君をずっと追いかけた。
いろいろ調べて、やっと君にたどり着いた。
自分ではまだどうすることもできない子どもだったから、母親に頼んで事務所のオーディションを受けさせてもらった。
有名になるためにしていた、ダンスレッスンやボイストレーニングが役に立った。
そして、オーディションの日
君を見つけた!!
やっぱり君だった!!
嬉しさと興奮でテンションが上がりまくっていた。
まさかオーディション会場に君がいるなんて思わなかったから…
目が合ったような気がした。
俺を覚えている?
直ぐに聞きたかった!!
すると、その瞬間突然雨が降り出した。
その雨の音に懐かしさを覚えた。
---君が降らせた雨。
ドキドキが止まらなかった。
また、君と一緒に居られる。
なにがなんでも、合格するしかなかった。
オーディションの終わりに君を探したけど、君はもういなくなっていた。
それから、数日たって合格の通知が届いた。
初めてのダンスレッスンの日、胸がうるさくて興奮状態だった。
早く君に逢いたくて
君も俺を見ていたから、きっと覚えている…
勝手にそう思い込んでいた。
でも、君は…覚えていなかった。
その瞬間膝から崩れ落ちてしまいそうなくらいショックだった。
こんなに近くに居ても、見つけ出せても…思い出してもらえない事もあったから。
今回も思い出してもらえないかもと思うと…
さっきまで興奮状態だったのに、一気に冷静になった。
こんなにも早く、、君を見つけられたのに…
早く見つければいいわけではないのは、もう学習済みだ。
だから、余計に苦しくなった。
それでも、運命は俺の味方だった。
同じグループになったり、シンメになったり。
君と俺の関係は深くなるばかりだった。
一緒に笑ったり、一緒に辛い事を乗り越えたり…
今までで一番充実している人生なのかもしれない。
君に愛してると言えなくても…
君をこの腕に抱かなくても…
この幸せで充分なのかもしれないとさえ思ってしまう事もあった。
でも、心は欲張りだから…
そんな幸せな日が続くと
やっぱり君を抱きたくなるし
君に愛されたいと思ってしまう。
そして、あの日君に…
恐る恐る問いかけた
『月が綺麗だね…』
その一言に全てを込めた
けれど…
君は気が付かなかった
思い出している様子もなければ
何か考える様子もなかった。
その言葉にどれだけの威力があるのか、俺は知っていた。
だいたい一言これを言えば思い出す
思い出してもらえない時は…もう…ずっとt年思い出してもらえない。
それくらい、スゴイ言葉。
何度か君に、前世を連想させる言葉を言っても…
君は反応しなかった。
…つまり、そういう事だ…。
そう思っていた、なのに…
それなのに、君は…
思い出した!!
俺の長い長い物語を…ひーくんは涙を零しながら聞いていた
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