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感謝の番外編
赤ん坊が優秀すぎてやばいsideルナイス
しおりを挟む昨夜、特別すごい満月の夜に子供が無事に生まれてきた。
名はナトゥア。
男の子だ。
深い黒髪の髪に深紅の瞳はザ、悪魔って感じ。
しかも赤ん坊にして何か色気あるし。
ノヴァも悪魔の気が強すぎる我が子にすぐにマモンを呼び寄せていた。
マモン以外にも何故かバグ様やマルコシアスさんまで来た。
どうやら人間界に強い魔族の気配を察知して興味津々で集まったらしい。
こんなに強い気を持っているのにどうやって腹の中で隠していたんだとか何とかめちゃくちゃ盛り上がってた。
彼らが言うには魔族の気は強いが間違いなく半魔だし、人間の気もちゃんとあるってことらしいし、魔族の血が濃い分、たぶん人間の子育てより楽だし、出産も楽だったろ?と聞かれて納得。
まじで楽な出産だった。
僕は鼻からスイカを産む覚悟をしていたのだけど、何かぬるんって出てきたし、圧迫感はあれど痛みはなかった。
「こいつ魔力の扱いが上手いから出てくる時に君が痛みを感じないように工夫したみたいだね。半魔のくせに優秀だ」
って楽しそうに笑ってみんな魔界に帰ってった。
「行ってくる」
ナトゥアが優秀すぎてノヴァは早々に育児休暇を切り上げた。
と、いうより、優秀すぎる赤ん坊は僕に近づく者を許さなかった。
それは父であるノヴァもしかり。
ノヴァが僕に触れようものなら、ナトゥアから黒い煙が吹き上がってくる。
ノヴァが注意しても聞かないが、僕が注意すると渋々聞く。
だが、別の方法でノヴァを僕から引き離そうとする。
ナトゥアが寝ている間に僕とノヴァとで、今はナトゥアをあまり刺激しないでおこうってなった。
ナトゥアが大事にするのは母体である僕だけで、周りはどうでもいいみたいで容赦が全くない。
僕の世話をしようとした使用人が怪我をする事件も起きてたからそうしようってなったんだけど…
「ナトゥア、僕そろそろノヴァに抱きしめてもらいたい」
「ぅぁ」
「ナトゥアの独占欲も愛らしいんだけど、僕ノヴァに甘やかれるのが好きなの。にぃ様にも会いたい」
ナトゥアが生まれて4ヶ月。
情けなくも僕は我が子に半泣きで訴えた。
その結果、ナトゥアはふて寝した。
何度つついてもコロンと丸まって動かない。
試しにノヴァが僕を抱きしめてもナトゥアはこっちを見ないでじっとしたまま。
僕は蓑虫になった我が子の横で半泣きで我が子に訴えた内容をノヴァに自白した。
「なるほどな。ルナイス今のうちにアドルファス様の所へ行ってこい」
「え?」
生まれたばかりの子に何をしているんだって言われるかと思っていたのに、ノヴァは今がチャンスだと僕ににぃ様に会うことを勧めてきた。
呆気にとられている僕をノヴァは笑って送り出してしまった。
「え?」
「気にする必要はない」
馬車に詰め込まれて、何故か馬車の中には人型になったホルス様がいて、全てを知っているようにホルス様は僕に何の問題もないって笑う。
アーバスノイヤー家についたら、知らせでも届いていたのか汗だくのにぃ様と門前で鉢合わせた。
どうやら知らせを聞いて急いで帰ってきたそうだ…走って。
談話室でお茶を飲み、ほっと一息ついたところで何故か僕の目から涙が溢れてきた。
そんな僕に、にぃ様は何も言わずにそっと優しく抱きしめてくれる。
「慣れない出産に育児と頑張っているなルナイス」
とーさまの声が聞こえて振り向けば、いつの間にかとーさまが傍に立っていた。
「え…でも…ナトゥアは凄くいい子で…純粋な人の赤ん坊に比べたら全然」
「私がここまで近づくまで気が付かなかったのはルナイスが思っている以上に疲れているからだ。それにこんなことを言ってしまってはお前が気にするかと思っていたが…本来人間の男が出産なんて出来ない。稀に魔族の気まぐれで妊娠する者がまったくいないわけではないが…本来男は子を産める生き物じゃないんだ。そんな体で出産を経て育児に取り組んでいるルナイスはすごいということを自覚しなさい」
「ふぇ」
とーさまからの言葉に情けのない声が口からもれた。
全然手が掛からないナトゥアの育児なのに、疲れているだなんて僕が我儘なんだと思ってた。
でも、周りはそうは思っていなくて…頑張れているんだって、僕。
「僕、僕、ナトゥアは僕をすごく求めてくれてて独占欲も嬉しいのにぃ!」
「まぁ、確かに赤ん坊でありながら些か独占欲が強すぎはするけどな」
僕の言葉に1度ナトゥアに会いに来てくれた時のことを思い出したのか、とーさまは遠い目をしてボソリと呟いた。
ひんひん泣いて落ち着いた頃、ひゅんっと目の前に突然何かが現れた。
何故か僕は咄嗟にそれに手を伸ばし、落とさないようにギュッと抱きしめて、確認した腕の中のものにギョッとした。
「あぅ」
「ナトゥア!」
よっと言うように片手をあげて挨拶する我が子に驚き過ぎてすごく大きな声で名前を呼んでしまったが、ナトゥアは驚くこともなく僕の胸元の服をぎゅっと握ってお乳を催促してきた。
ぱっと時計を確認したら、いつもお乳をあげている時間で、もう条件反射的にさっとナトゥアの為に胸を差し出した。
ナトゥアはごくごくとお腹いっぱいお乳を飲んで、けふっとゲップを零すと再びシュンっと消えてしまった。
「「「え?」」」
余りのことに僕は慌てて転移で家に帰って、わーわーと騒いだ。
ノヴァ曰く、僕がいない間ナトゥアとどうすれば僕が泣かずに済んでナトゥアの思いも満たせるのかという話をしていたらしい。
ある程度話がまとまったところで、突然ナトゥアが消え、数分後に突然ベッドの上に戻ってきたのだとか…
ノヴァは「まぁ、魔族の血が濃いからな」と言うが、僕はとても優秀すぎる我が子のこれからを思い、ちょっと気絶しかけた。
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めちゃくちゃ面白くて一気読みしました!
番外編とか予定はないでしょうか?
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素敵な作品をありがとうございました(^^)/
結構長い話ですが、一気に読んでいただけるほど楽しんでいただけるとは!
ありがとうございます!
ここだけの話(笑)
受賞の感謝に番外編の投稿を考えています。
時間がかかっちゃうとは思いますが、楽しみにお待ちくださると幸いです。
よろしくお願いします!