王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

突撃訪問


良く晴れた今日。
 

とーさまはお仕事で少し遠くに行くので明日の夜にご帰宅するらしいので、不在。

にぃ様は学園に行かれていて不在。

僕はお部屋で文字とお絵描きの練習。


そろそろ表にも出ていくことになるから言葉遣い何かをきちんとするよってばぁやがスパルタ教育をしてくる。
ばぁやは好きですが、偶にとんでもなくスパルタモードになるので逃げたいです。







「坊ちゃま。追い返しましょう。」

そんなばぁやは今、スパルタモードからダークモードにチェンジしている。

何故かというと突然なんのお知らせもなくお爺様のお祖母様が屋敷に押しかけてきたからだ。


とーさまからアーバスノイヤー家に近づくの(もっと言えばルナイス・アーバスノイヤーに近づくこと)を固く禁じられているはずのお二人の愚行に使用人達の視線はとんでもなく冷たい。

それなのにめげずに門前で粘って喚き散らしているお爺様とお祖母様はある意味すごいと思う。




「先にとーさまとお話します。」


イライラして気が立っているばぁやにそう言うと、さっきまで気配を消していたヨハネスがさっと魔導通信機の板を僕の前に差し出してくれた。

ばぁやは少し落ち着いたのか、うんうん頷いて僕のことを微笑ましく見ている。




ピピピ



「…どうした。」


「とーさま。お時間よろしーですか?」



通信に出たとーさまの声は少し硬かったけど、僕だって分かると少しふんわりした雰囲気になったように思う。
良いとの承諾を受けたので僕は今の状況をとーさまにお話しする。




「すぐに兵を送る。」

怒った声でそう言ったとーさまとのお話を終えて考える。


数分で兵士さんは来てくれるだろう。
けど、それまであのお二人を対応する使用人が少し可哀想。

屋敷の使用人達は皆戦闘スキルが高いけど、兵士に拘束されるような人達でも使用人より身分は上。
下手に手を出せないのだ。


使用人が手を出して許されるとすれば…




「僕、お二人にあいに行きます。」


僕がそう言ってササササーと歩き出すと慌てて追いかけてくるばぁやとヨハネス。



「坊ちゃま!危のうございます!!」


「相手をする価値もないかと。」



ばぁやとヨハネスが反対するのは予想していたことなのでスルーしてトトトトと掛けて屋敷の門へと向かう。

時々伸ばされるヨハネスの手をサッサッと避けて辿り着いた屋敷の門。


玄関を飛び出した所から僕の後ろにはばぁやとヨハネスだけではなく多くの使用人がぞろぞろと付いてきている。




「やっと出てきたか!!」

お爺様が僕を見つけて声を更に荒げる。


「私達をこんな門前にずっと立たせる何て礼儀のない!!」

お祖母様が声を荒げて扇子をパチンパチンしている。

チラっとお爺様方の馬車に目を向けると青ざめた顔をした従者一人と質素な馬車が一台のみ。
たぶん叔母様達はこの状況を知らないんだろう。

知っていてお爺様達が此処にいるのなら従者は青ざめてないし、馬車ももう少しきちんとしたものに乗ってきているはずだもの。





「おかえりください。」

兵士が来る前に早く帰ってもらわないと従者が可哀想だ。

今もコルダに詰め寄られてガタガタと震えている。
脅されてお二人を乗せてきたのでしょうが、なにかしらの罰は逃れられないだろう。



「生意気な!」

「娘を殺した罪を償いなさい!!」


パシッ



僕の言葉が気に入らなかったのだろう。

再び騒ぎ出したお二人。そしてお祖母様が投げた扇子が僕の顔に当たったことで一気に使用人達の様子が変わった。




「なっ!」

「無礼者!離さぬか!!」




コルダがお爺様を地に伏せさせ、メイド服の使用人二人がお祖母様の両腕をガッチリ拘束した。


アーバスノイヤー公爵家次男に手を挙げたのだ。
使用人がお二人を拘束しても何の問題もないし無礼でもない。

ヨハネスは剣を抜き、お二人に突きつけ冷たい眼差しで見下ろしている。


ばぁやはすぐさま僕の顔の腫れを治療しようとしたけど、僕が止めた。

なぜならこれがなくなると証拠にならないから。




お二人が騒ぐ中、兵士達が到着した。

僕の顔の怪我を見せてきちんと状況説明をしたら、兵士さんは納得して僕にすぐ治療を受けるように言いお二人と失神寸前の従者を連れて去っていった。

すぐさまばぁやに治療をされ、屋敷の部屋に戻った所でヨハネスからとーさまと繋がっていると魔導通信機を渡された。




「ルナイス分かっているな。」

とーさまはいつもの優しい声ではなく、低くて鋭いお声で言った。


「…ぁぃ。」

怒られるかなぁっとは思っていたけど、いざ怒られるとつい声が小さくなっちゃう。



「一週間屋敷から出ることを禁ずる。庭もだめだ。」

まさかの軟禁宣言。


「帰ったら話を聞こう。詳しくな。」

とーさまはそう言って通信を切ってしまわれた。



これは…思っていた以上に怒られる予感。




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