王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第3章

相手が元気すぎると戸惑う

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マルコシアスさんの訓練から3日。


ノヴァが空間魔法を習得した。
安全性も確かめられ、ホルス様からも良しを貰い、親子ドラゴンはノヴァが創り出した別空間の中で過ごしてもらうこととなった。



僕もノヴァと一緒に訓練してたんだけど…バグさんやマルコシアスさんの言う通りちょっと危険度の高い空間しか創れなかった。

僕が入る分には問題ないのだけど、そこに他者が入ると迷って出られなくなるし、僕も見つけ出せなくなる。



そんな空間に『面白そうだ』と言って入ろうとする(訓練するのにアドバイスを求め来てもらっていた)オリヴァーを必死に止めて、僕が創り出した空間に放り込まれたのはコルダが捕らえた不法侵入者兼暗殺者。





オリヴァーを必死で止めている時に突然現れて、ヒュンって投げ入れたから僕もオリヴァーも思考も体も停止したよね。


問答無用、無慈悲に人を投げ入れたコルダはしばらく空間を見つめてグリンと僕の方を振り向いた。

どうでもいいけど、今日は庭師の恰好してる…何て現実逃避をしているとコルダが手をどうぞって無言で…




どうぞって…









やってしまったものは仕方ないっと心を落ち着かせて空間の中に手を突っ込み探るが何も掴めなかった。

しばらくは空間の出入り口を開いておいたのだけど帰ってこず。


僕自身には何も問題はないし、違和感もない。




結果、近くで見守っていたヨハネスが


「ルナイス様は通常その魔法は使わない方が良いでしょう。当主様にはご報告なさったほうがよろしいかと。」



と言ってその場を締めくくり解散。







空間を開けっ放しは危ないので、閉じたけど…放り込まれた人が、どこか別の場所に到着していることを願おう。


























ノヴァが創り出した空間は快適のようで、藍色のドラゴンも回復し、卵も元気に育っている。



『ルナイス、ルナイス!遊んで遊んで!』


「…卵とどうやって遊べば??」


『コロコロ―ってして!』


「僕に死ねと?」



本当に元気に育っている。



僕の魔力をまだ分けてあげないといけないから、定期的にノヴァがお屋敷にやってきて、こうしてノヴァの創った空間の中に入りドラゴン達に会いに来るのだけど、卵のドラゴンはまだ殻も破ってないのに遊ぶことを要求してくる。


しかも卵を転がして遊べだなんて…母ドラゴンに殺される。





ノヴァには卵ドラゴンの言葉は聞こえないので、突然僕の口から出てきた不穏な言葉に顔を顰めて僕の周りに防御魔法を展開してしまった。

魔力の無駄遣いである。



問題ないので魔法を解くようにノヴァに言って、少しだけ卵をユラユラと揺らしてあげると、ケラケラと笑う声がして、楽しんでいる様子でなによりだ。





















そうして平和に過ごして3カ月後。


無事に卵が孵り、子ドラゴンが産まれた。



そして子ドラゴンに名前を付けるよう藍色のドラゴン、ククちゃん(クク・イエネオドロス・デメテル)に言われ考えに考え抜いた結果、アガパンサスと名付けた。

前世にも今世にも存在する花で、名前も花言葉も同じ。



アガパンサス・ハギアゾー・デメテル
 

愛の花の意を持つ青紫色のドラゴンの爆誕である。





ホルス様やククちゃんのように、名前が長いので愛称で呼ぶことに。



「パン、それは食べないほうがいいんじゃない?」


『大丈夫!大丈夫!もぐっ……ぐぅるぅあぁぁあああ!!!』


「あ、大丈夫。苦い草拾い食いして悶えてるだけ。」




パンが生まれてからククちゃんはパンを連れて勇竜の寝床へ住まいを移した。



アーバスノイヤー家まではそこそこ距離があるけれど、パンは魔力が多く生まれて次の日には魔法で魔獣を狩れるくらい優秀ドラゴンなので頻繁に一匹でやって来る。

遊びにきたパンに付き合ってアビスの森に護衛を引き連れて来ているのだけど、まだ生まれて間もないパンはよく拾い食いをしていて、世界のものに興味津々。






まだ硬いお肉は食べられず、ククちゃんが噛んで柔らかくしたお肉しか食べられないのに色んなもの口に入れるからお腹を壊したり、喉を詰まらせるパンにククちゃんは困って呆れているが、食べられるものと食べられないものを知っていってる成長段階と見守っているみたいだ。





今も毒ではないけど、すごく苦い草を食べようとするので一応止めたのだけど、もちろん言う事を聞かないパンはもぐっと草を食べ、そして地に転がり悶えている。

突然のドラゴンの咆哮に護衛達が戦闘態勢を取り警戒するのを大丈夫ですよーっと宥めて、悶える小さなドラゴンを見つめる。



小さいと言ってもユエみたいには小さくないし柔らかくもない。

151㎝の僕の腰位の大きさで、体は頑丈な鱗に覆われてすごく硬い。



すごくやんちゃで元気いっぱいなパンは見ていて面白いけど、今まで周りにいないタイプの元気さでどう相手をすればいいのか…戸惑っている。




『あ!ちょうちょ!』



「あ!それはクプグス……あーぁ。」



悶えていたパンが突然近くを飛んでいたクプグスにちょっかいをかけて、僕の制止虚しく痺れ粉にやられて再び地に伏した。


さっきまでと違い、痺れで上手く声を上げられずアウアウと唸り、ピクピクと痙攣しているので地も揺れていない。




ヨハネスが状態回復の薬を出そうとしたのを止めて、少しは反省して落ち着いてくれ、と痙攣をしているパンをじっとしばらく眺めることにした。







______

補足

クプグス
蛾のような魔物。
草食で他種を襲うことはないが、攻撃を受けたり危険を感じると
強力な痺れ粉を放つ。


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