王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

国出の前に頼るべき人がいる

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ノヴァからも大体予想がつくけれど、きちんと説明をしてほしいと言われ仕方なくホルス様達に国を超える前に開けた所に降りてもらいにぃ様達に何があって国出を決意したのかを説明することにした。



「よしルナイス、そんな糞みないな国は捨てるぞ」

「ですよね!」


ヒュー様は最近レッドドラゴンと仲が良いから、国がドラゴンに酷いことをしようとしているってことに僕と同じように怒って国出に賛成してくれた。



「ルナイス。国を出てユエの両親達と合流したとしよう。ドラゴン達が住まう平穏な地に突如人間達がやってきて、それを追って多くの人間が武器を携えて侵入してきたとなったら世界の均衡を大きく崩すことになるし、関係のないドラゴンが傷つく可能性がある」


「最悪捕らえられたドラゴンは殺されるだけでなく長く苦しむことになる可能性だってある。ドラゴンの自由を思い通りにする為奪おうというアーナンダ国の考えは到底受け入れられないが、ドラゴンの為を思うのならばもう少し話し合いをするべきだ」




ヒュー様と出てやる!って意気込んでいるところにまさかのにぃ様からのストップがかかった。

にぃ様は小さい頃から僕の味方で、僕の我儘に付き合ってくれて…


でもにぃ様は只僕を甘やかすばかりではなかった。



泣いて立ち止まれば何時までも待っていてくれるけれど、再び歩き出さないことを許してはくれなかった。




ノヴァも基本的には僕の願いを叶えてくれるし、僕を凄く尊重してくれる。

だけど僕が暴走しだした時にはきちんと方向を正してくれる。




だからにぃ様達の言いたいことは分かるのだけど…







「ルナイス。何もルナイスの考えを全て否定したいわけじゃない。言っただろう?国のやり方や考え方は俺だって気に入らない。だから、違う方法で国に抗議しよう」


「違う方法?」


ぐぅっと奥歯を噛み締めて不満が隠せない僕の頬を両の掌で包み込んだノヴァが小さい子に言い聞かすように言う。

もう子供じゃないんだよって不貞腐れる気持ちと、凄く大切に触れてくれることへの喜びとで複雑な心境になるのだけど…それでもこれをされると昔から荒れていた気持ちがちょっとずつ落ち着いてくるから大人しくノヴァの手を受け入れる。





「いくら王家や一部の貴族達がドラゴンを思いのままに扱おうとしても共に戦う騎士達はその命令には難色を示すだろうし、少なくとも父上やヒル侯爵はまずその命令に首を縦には振らないだろう。あの2人が首を縦に振らない事案を強引に推し進めようものならこの国は大きな戦力を失い自滅するということくらいあの阿呆でも分かるだろう」



にぃ様に言われて、ホルス様達を連れて強引に国を出て色んな国を混乱させて結果ドラゴン達を傷つけてしまうかもしれない前に僕には頼れる人達が周りにいて、その人たちを頼らなくてはいけなかったことに気がつく。





「しかしホルス様達が不愉快な思いをする可能性はあるんだ。ドラゴン達には一時的にアーナンダ国の手が届かない所に居てもらった方がいいんじゃないか?」


僕と同じように少し冷静さを取り戻したらしいヒュー様が言う言葉に僕もうんうんと頷く。



『それならば我等は一時的に魔界にでも邪魔しておこう。ユエはルナイスから離れたがらないだろうが、良い社会経験になるだろうしな。念のためこの国に居るドラゴン全てに今回の件は知らせておこう』


僕達の話を黙って聞いていたホルス様がそう言ってくれて、その言葉をそのままにぃ様達に伝える。




「そう言えばホルス様は魔界に伝手があったのだったな。不便をかけるがよろしくお願いいたします」


ホルス様の言葉に、にぃ様達が頭を下げるので僕も慌ててホルス様へ頭を下げる。



『何時かはこういうこともあるだろうとは思っていたからな。ルナイス、会えるようになった時には我を思い出し、我の名を呼ぶのだぞ。そうすればまた会える』


「はい!」



長い時を生きるホルス様は何時かこんな日がくることを予想していたというから、もしかしたら過去に同じような経験をしたことがあるのかもしれない。

しばらくの間の別れなのだと思うと、また会えるのだとしても悲しくなってホルス様の足にぎゅっと抱き着く。



ホルス様も喉を鳴らして顔をすりすりと擦り付けてくれて、僕達はしばらくの別れを惜しみ、そしてホルス様率いるドラゴン達は目の前に開かれた魔界への扉の奥へと姿を消してしまった。






____________________

ヒュー様のことをヒル様と記載しておりました。

ヒュー様の出番がしばらくなかったので、あれ?となっていました…
ヒュー様の怒った顔が思い浮かび慌てて修正しました(笑)

修正しましたことをここにご報告させていただきます。


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