王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

にぃ様の好物が超進化してました

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昼食をとってから僕達は王都へ買い物に出かけることにした。


こうして2人きりで王都に足を運ぶのも初めてだ。
何時もなら護衛が居るのだけど、今日はヨハネスもガンナーもレオもコルダもみーんなお休みって言ってあるから本当に2人きり。

男爵くらいの家格なら護衛なしで歩くこともあるけれど、公爵家の大事な後継者が護衛なしで出歩くなんて本来は許されることじゃない。
というか、普通に危険すぎて無理。



だけどにぃ様は凄く強いし、僕も万が一の時は自分の身くらいは守れるのでとーさまから許可が下りた。

『アドルファスが限界で使い物にならんのも困るので許したが…ルナイス、今度は私とも一緒に休日を過ごそう』

と嬉しいことを言ってくださったとーさま。



今のとーさまは近衛騎士団長の座から降りたから前ほど忙しくなくなったみたい。

それでも元近衛騎士団長として、アーバスノイヤー家当主としてまだまだ忙しい身である。


しかし国のことも落ち着いて、ちゃんとした休日を得られるようになったと言っていて、また僕とお休みを合わせてお出かけする予定なのだ。
今はにぃ様との休日を存分に楽しみたいので、とーさまとのおでかけの予定は頭の隅に追いやらせてもらっておきたい。









「あっ!にぃ様!雲飴があります!」

「…覚えていたのか」


目的地なく歩いていると雲飴を売っているお店を発見してにぃ様をそのお店の方へと促せば、にぃ様は照れくさそうにそう言うから、当たり前です!と胸を張りにぃ様の手を引いて店内へ足を踏み入れた。



「いらっしゃ…いませー!」


入店してきた僕達を見て、店員さんが一瞬動きを止めたけれど、すぐに復活して何故か目を輝かせて気合十分な感じで僕達に挨拶をしてくれる。

完全なるプライベートなので今日の僕達の格好は持っている服の中でも割と装飾が少なくシンプルなものにしているのだけれど…まったく平民達と同じ格好ていうわけにはいかなくてよほど地方の者でない限りは僕達がどこの誰であるかは一目で分かってしまう。




何だか反応が気になる店員さんだけど…萎縮されるよりはいい…のだろうか?






「…あの…雲飴2つください」

にぃ様の背に少し隠れるような形を無意識にとってしまったけれど、警戒しながらも店員さんに注文をする。


「はい!あ!あの私お二人のファンでして!決して怪しいものではございませんし、危害を加えるつもりなど赤子の爪の先程にもございませんのでご安心ください!!」


警戒心むき出しの僕に店員さんが慌ててそう言ってくるけど…ファンて?


いや、にぃ様なら分かる。

だって近衛騎士団副団長だし近衛騎士ってだけで結構モテるんだ。
例え既婚者であってもキャーキャー言われるし、アピールもされる。

それににぃ様は弟の贔屓目なしに格好いい人。




でも僕はファンがつくような要素ってひとつもない。

公爵家の次男だし、周りが凄い人多くて僕の存在って霞んでるって思ってたけど…





「お二人の仲睦まじいご様子は平民の間でも話題です!そんなお二人が私のお店に来てくれるなんて感激して…気合が入りすぎてしまいました。申し訳ございません」


「謝罪は必要ない。私達こそ必要以上に警戒をしてしまい申し訳ない」



反省した様子で頭を深く下げる店員さんに僕がぼーっとしている間ににぃ様が対応してしまった。

彼女の謝罪の原因は間違いなく僕なので、僕も慌てて謝る。





「雲飴のお味はいかがなさいますか?最近だと二種類の味を混ぜるのが人気ですよ!」

謝る僕達にとんでもないと慌てる店員さんは、場の空気を変えようと雲飴について話し出してくれたので僕達も謝罪を止めてどの味にするか真剣に悩む。


「では私は雷と雪味で」


僕が悩んでいる間ににぃ様はすっと決めてしまって、すぐに二種類をまぜてその場で雲飴を作った店員さんはにこやかににぃ様へ雲飴を渡す。

にぃ様の手に渡された雲飴は黄色と白が交互に混じっていて、すごく可愛いアイテムとなっている。



格好いいにぃ様がそれを持っていると、アンバランスな感じなんだけどそのアンバランスさがまた可愛い。





「んっと…僕は雷と雨味で」

「はい!……おまたせしました!バチバチしますよ!」


バチバチ?

雷味がパチパチするのは知っているけど…バチバチとは?と首を傾げながらもガブリと一口食べて驚き、思わず足をバタバタと踏み鳴らす。



「ルナイスどうした」


そんな貴族の子供として品のない行動ににぃ様が驚いて心配そうなお顔で僕の頬を両掌で包み込み近距離から観察される。

顔を左右に振られるけど、閉じられた口の中がバチバチと音を立てて咥内を刺激している。



始めは驚いたけれど、その感覚に慣れると今度は楽しく思ってきた。




突然バタバタするのを止めてじっと止まる僕ににぃ様も店員さんもすごく心配して、医者に連れていかれそうになったところで慌てて新触感の雲飴に驚いただけなのだと伝える。

どうやら水に電気が混じってバチバチするのを楽しめるように安全の配合で作っているらしく、僕達はこの店の店主に後日アーバスノイヤー家とウォード家に来て料理人へ講習を開いてくれと頼んだのであった。





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