王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

敵意も好意もない視線は逆に目立つ

魔鏡で本当に子供達を保護されている状況であると分かったし、確認に走らせた者からも魔界にてバグさんに子供の保護を依頼しているということが確認できたのでほっと一安心。

ノヴァも行動を制限される子供達を気にしていたし、守る対象が大勢いる状況よりも魔力操作などに気を張らなくていいから楽になったみたい。



例え子供達が居ないとしても、孤児院はあの子達の帰ってくる家で、これから先も残念なことではあるが絶対に必要不可欠な場所だから建物が壊されないように護らないといけない。
だから子供達が孤児院にいないからと結界を解くわけにはいかないし、突然解いたり力をあからさまに弱めると相手に感ずかれる。

数日もすれば感づかれるかもしれないが、気づかれるのはなるべく遅い方がいい。






「シスター達は一緒に避難しなくて良いのですか?」


「私達はこの孤児院を守る義務があります。それに、私まで一緒に行けば相手に可笑しいと思わせてしまうでしょう。怖くはありますが…男爵様の結界が護ってくれていますし、騎士様達も子等がいなくなっても変わらず巡回して下さっていますので、私達は此処に残ります。数名実家に避難したいと言う者は帰らせておりますので問題ありません男爵夫人様」



シスターはそう言って笑顔で頷いた。

シスターは平民の者も居るけれど、貴族出身のお嬢様も多く居て、こういう時って真っ先に逃げたがると思っていたけれど、意外にも彼女等は強く逞しい人達みたいだ。

いざという時には武器を手に取れるくらいの訓練はしているというのだから、僕は彼女達の見方を改めなければならないな。





「ウォード家はこれからも結界と必要な補助をいたしますので、必要な物があれば遠慮せずに申し出てください」


「はい男爵様。男爵様の心遣いに深く感謝申し上げます」


ノヴァはシスターの返事にコクリと頷いて、孤児院の周りを見回るのでっと告げ歩き出す。

僕のノヴァに続いて孤児院の周りを歩き、結界に緩み等がないかを見て周る。




ノヴァの数歩後ろを歩きながら周りを見渡していると不意にこちらへ向けられる視線を感じた。

悪いもののようには感じないけれど、良いものでもない…無な視線は逆に不自然で気になる。
チラっと結界を見て周っているノヴァに視線を向けるが、彼は気が付いていないのかわざと知らぬふりをしているのか…確かめたいが視線の正体の耳が良くこちらの声が聞こえてしまったらよくない。



ひっそりと影の中にいる坊に視線の元へと行くよう指示を出し、僕は視線に気が付いてないふりでノヴァの後を歩くことにした。















にゃ~ん


ドサ



「ぐぅ」


しばらくして視線の主が敵と判断した坊が僕達の前に毒で動けなくなった男を連れて戻って来た。

そこでノヴァは近くに不審人物が居たのだと気が付いたみたいでちょっと悔しそうな顔をしている。



「敵意も好意もない視線って逆に不自然だったから念の為坊に見晴らせてたんだけど…坊が連れてきたってことは僕達に何かしら害を加えようとしたってことだよね」


にゃん



そうっと鳴く坊の頭を撫でてやりながらノヴァに軽く説明しつつ、捉えた男にも確認する。



しかし坊が与えた毒が予想以上に多かったのか男は苦しむばかりで会話など出来そうにない状態である。




見かねたノヴァが少しだけ解毒してやり、男が喋られるような状態にし喋らそうとした瞬間、四方から投げナイフや弓が飛んできたので全て空中に闇奈落を発動し無効化した。

すぐに黒い服に身を包んだ如何にも怪しげな恰好をした者共が僕達を武器片手に囲み、炎やら風やら色々な魔法を操って攻撃を仕掛けてくる。



これだけの魔法を繰り出せるのだから敵はやっぱり力のある者達が集まった集団なのだと確信する。






今のノヴァにあまり魔力を消費させたくないし、きっと敵方の狙いもそこだと思う。

結界の力を弱めたいのだ。


「ノヴァ!」


離れた所に居るノヴァに呼びかけるとノヴァは直ぐに僕がやりたいことを理解して、一瞬の隙を突いて僕の背後に瞬間移動してくれた。

その隙に僕は敵がいる方に広範囲に重力魔法を展開し、奴等の動きを封じる。


しかし重力で押されているにも関わらず、敵は立ち上がり更にはこちらへ向かってこようとする。
彼等がどんな思いや信念があってそこまでして立ち向かってくるのか知らないが、僕はノヴァを殺されるわけにはいかないし、僕が死んでしまうことで悲しむ人達がいると知っているから負けてやるわけにはいかない。





本当は生きて捉えて、奴等からも情報を引き出したかったのだけど…この状況では仕方ない。

それにすぐにヨハネス達が姿を見せないってことは、足止め要因の者共もいるのだろうし、のんびりと対応しているわけにはいかないのだ。



悔しく思いながらも重力魔法の圧を強めることで、敵は圧死し動かなくなった。





貴重な情報源はなくなってしまったけれど、坊が捕らえた男は残っている。

坊が見張って自死もできないようにしてあるからこいつから聞き出せることを全て聞き出すしかなくなった。



後はヨハネス達が捕らえてくれていれば…と思うが、僕達と同等レベルの敵と対当したのだとすれば生きて捕らえることは期待できない。







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